▲ユートピア小屋前にて記念撮影
リーダーの都合で、3月14日~15日八ヶ岳を日程、山域変更し大山となりました。受講生にとっては、氷ノ山に引き続き2週連続で負担をかける形となってしまいました。予定は、28日北尾根~夏道~弥山往復の予定でしたが、1日の天気が悪いので、宝珠尾根から登ることにする。このルートが思いのほかよかった。トレースがなく、ルートファインディングが求められ、雪稜あり、トラバースあり。キックステップ、アイゼンワークのいい練習になりました。雪山で求められる技術を集約した内容となりました。
蒜山SAで快適に仮眠し、南光河原駐車場へ向かうもタッチの差で満車。スキー場の駐車場へ移動。スキー場の駐車場までの道はしっかり除雪され車も安心。日帰り装備で出発する。念のためロープを持参する。大山寺の参道ではスリップに注意し、大神山神社で安全登山を祈願する。ジプシーによると2月初旬よりも雪は多いとのこと。前日の雪で10センチほど積もった様子。元谷への分岐からはトレースがない。思わず笑みがこぼれる。これは上までトレースがないということだ。下宝珠越まで受講生に交代でトップを歩いてもらう。ひざ下までのラッセル。稜線はしっかり見えているが、トレースがないのでどこからが登りやすいか検討してもらいながら歩いてもらう。いくつかルートが取れる。トレースがある場合も、この部分だけはルートを外して登れそうだ。宝珠尾根に乗ってからはピッケルに持ち替える。しばらくはブナ林を歩く。剣谷側には小さい雪庇も張り出している。ジプシーにトップを任せる。
▲宝珠尾根下部のブナ林
中宝珠ピークから中宝珠越までが一瞬迷う。ルートファインディングに困る。ここまできても赤布がほとんどない。ルートを通しても少なかった。これもよかった。ルートは尾根通しで明瞭であるが、所々尾根通しではいけず、トラバースするなど自分たちで考えるいい訓練になった。中宝珠越からの下りはブッシュも多く、あまり下りたくない。中宝珠越からはクラストしている。キックステップのいい練習になる。短いがナイフリッジも出てくる。尾根通しが無理なら、尾根から下りトラバース。どこで尾根に戻るかがポイント。先を見据えて登る。
▲宝珠尾根を登る
上宝珠ピークでルートが曲がる。ここでアイゼンをつけるのがいい。実際はもう少し行った先で着けた。ここからはアイゼンがよく効く。アイゼンがなかったら厳しかった。つけるタイミングがポイントになる。所々細い雪稜も出てくるが短いし、ブッシュもあるので安心。上宝珠越でようやくトレースが出てくる。元谷からのものと思われる。ここで一瞬霧が晴れ、ユートピア小屋を確認でき、ルートが読める。このトラバースでロープ使用を考えていたが、アイゼンがしっかり効くし、傾斜もそれほどでもないのでそのまま進む。右斜めに上がる感じで尾根を二つ越える。途中勝山ケルンを発見。ここは間隔をあけて、支稜で休憩し一気に登る。またまた霧が晴れ、ユートピア小屋が目の前に現れる。このトラバースは視界がなければ難しい。ルートが読みにくい。右斜めに上がらないとユートピア小屋にたどり着けない。ロープを出すにしてもどこでピッチを切るかも問題。ユートピア小屋ではゆっくり休憩する。木造のまだ新しい建物で快適。外に出ると陽がさしてきて、登ってきたルートを一望できる。
▲宝珠尾根を振り返る
弥山ピークも顔を出す。弥山西稜、別山バットレスも見えるが、渋滞気味。こちらの貸切が余計にうれしくなる。最後の登り、三鈷峰を目指す。ここもトレースがない。遠くからルートに検討をつけ登って行く。ピークの標識は雪の下でした。記念撮影し、下山にかかる。トラバースは雪が緩んで、時折ステップが崩れる。慎重に下る。
▲ユートピア小屋からのトラバース
このまま登った尾根を忠実に下る。下宝珠越からはトレースを外して駆け降りる。大神山神社でアイゼンを外し、お礼を述べて駐車場へ向かう。明日は天気が崩れるので終了とする。途中中山温泉に入る。たまたま見つけた温泉であったが、こじんまりとした快適な町営温泉であった。途中でテントを張り、ジャッキーシェフのディナータイム。カルパッチョから始まり、牡蠣と豚の鍋、締めはラーメンと満腹になる。翌朝は小雨の中テントを撤収し、鳥取道経由で帰りました。
▲三鈷峰を望む
トレースのない雪山は格別であった。やはり、自分でトレースを刻むのは最高だ。なかなか制約がありアルプス方面に行くのは難しいが、近郊でも雪山を楽しみたい。ユートピア小屋から望んだ東に延びる振子山、野田山への稜線をたどりたい。今回は見えなかったが烏ヶ山方面も魅力だ。弥山西稜から主稜線を縦走し上宝珠越から元谷への周遊も楽しそう。そういえば弥山東稜をすっきり登る宿題も残ったままだ。山に来ると次への目標が浮かんでくるのがいいことです。早く実現させたい。