第1日目(10日)
今回は八ヶ岳のバリエーション。石尊稜と赤岳主稜を狙う。天気は曇り。気温もそれほど寒くない。3連休なので、いつもより早めに駒ヶ岳SAを出発し美濃戸へ向かう。美濃戸から車を上に上げようという意見もあったが、万一スタックしたら面倒なので下の駐車場に止める。ほどほどのペースで赤岳鉱泉まで歩き、いつもの小屋玄関の向かいにテントを張る。大阪のアルデと山歩渓のメンバーとサイトを共有。宴会になりそうな予感。落ち着いてから石尊稜の取付き偵察の予定だったが、これだけ人が多ければトレースもあるだろう。ということで裏同心ルンゼを見に行くことに。裏同心ルンゼはトレースがなく、ラッセル1時間半。ルンゼの取付き近くまで行き終了。いいラッセルのトレになった。テントに戻ってからジプシーが石尊稜の取付き分岐を見に行く。無線機交信の練習も兼ねて、取付き分岐からトレースが付いていることを無線報告する。明日の朝は早く出発するので宴会は各テントで実施。
▲裏同心ルンゼの取付きまでラッセル
▲裏同心ルンゼの取付き
第2日目(11日)
今日は午後から天気が崩れる予報なので早めの5時半に出発。石尊稜取付きまでは順調に進む。アルデの4人が後から続く。取付きの左側支点に確保を取りジプシーがリードで登攀開始。いきなりルートを外し立ち往生する。右側支点から登り始めたアルデのルートにトラバースして事なきを得た。その後はアルデと後から来た数パーティーとゴチャゴチャになりながら雪稜を登る。下部岸壁の2ピッチを越えたらコンテでいいかもしれない。我々も3人パーティーながら、途中の雪稜は軽い確保のつるべ方式で時間短縮する。
▲下部岩稜1ピッチ目
▲雪稜
上部岸壁に着く頃には風雪が強まってきた。天気予報通りだ。上部岸壁の1ピッチ目をダブルアックスで快適に登る。このピッチが石尊稜のハイライトではないだろうか。被り気味の岩にスリングを回し確保を取る。岩の右側を抜けて進む。登り切ったところのピナクルで支点を取る。ピナクルは左右2つある。2ピッチ目は痩せたルンゼを右上する。ルンゼを抜けたら石尊峰まで歩きで行けるのでコンテでいい。石尊峰ではまつ毛も凍りつく強風が吹いていた。写真撮影もほどほどに下山を急ぐ。吹雪で視界が悪い。先行のトレースも消えかけている。強風の稜線を赤岳方面へ進み、地蔵尾根を下る。途中安易に先行パーティーの後を追い、道を間違えそうになる。視界不良の中、道を確認しながらようやく赤岳鉱泉に到着。疲労感が漂う。しかしアルデと山歩渓との合同宴会の時にはみんな元気になった。
▲上部岩稜1ピッチ目
第3日目(12日)
昨日の夜中、まあまあの雪が降る。明けて天気は悪くないが風は強い。赤岳主稜は無理でもジョウゴ沢には行けるだろうという案もあったが、アルデも山歩渓も下山するとのこと。よって我々も下山を決定。下山中に天気も回復。行けたのでは。もう少し粘ってもよかったのでは。帰路運転しながらさほど疲れていない頭で何度もそう考えた。
▲凍てつく石尊峰で
<カノン>
今回の連休は、あまり天気がよくなかった。本当は晴れた景色を期待していたが、ネットでみてもガイドパーティーも含め敗退しているパーティーが多いようだ。その中で石尊稜に登れただけでも良かった。
<ちびサンボ>
石尊稜の1ピッチ目でジプシーがルートを間違い四苦八苦。我慢して待つ事約1時間。完全に体が冷え切り指先の感覚は無い。ピッチ毎も休まずさっさと登りたいが、いちいち立ち止まる。昼から悪天予報なのでゆっくりする暇はない。アルパインはスピードが命。このままでは時間が掛かりすぎる。3人パーティーだが個々力量あるメンバーなので、途中からつるべ方式で登る事を提案。何とか少しはスピードアップ出来た。登攀後は寒さで疲れてはいたが元気は有り余っていた。12日は赤岳主稜の予定だが、午前中は気温も風速も11日より悪くなる予報。止める事に賛成してしまったが、午後から天候は回復する予報なんだからトライすべきだった。何でトコトン頑張らなかったのだろう。以前の自分なら、「雪山は寒くて当たり前だ。天候は良くなるんだから登ろう!!」と、皆を説得して登る事を選択したはず。何で言えなかったんだろう。自分の弱さが腹立たしい。下山して帰りの車の中でずっと後悔していた。自分が納得できる山行を続けたい。
<ジプシー>
最初の出だしでルートを間違えたのは反省点。カノンとちびサンボには寒い思いをさせてすみません。雪のバリエーションを3人で登るのは大変だと痛感した。まずロープを2本引き上げるのが一苦労。それに3人だと原則一人がずっとリードするのも負担が大きい。やはりシングルロープでつるべで登るのが早いし楽だと思う。八ヶ岳には手頃なバリエーションが他にも多くあるので、次は小同心クラックや広河原沢ルンゼなどにもチャレンジしてみたい。