初級雪山トレ(4) 北八ヶ岳・天狗岳  (報告/なおみ)


■日 程 : 2012年3月13日(金)〜3月18日(日)

■山 域 : 北八ヶ岳・天狗岳

■参加者 :

なおみ
(リーダー)

Tankuro
(サブリーダー)

ココノール
(記録・写真・渉外)

yuka
(装備・医療)

maho
(食料・会計)
■行 動 :

3/16(金) 西宮20:00〜駒ヶ根SA1:00仮眠

3/17(土) 起床5:00〜駒ヶ根SA6:50発〜渋ノ湯8:35発〜黒百合平11:00着テント設営〜ビーコンと雪質(14:30〜16:00)〜就寝19:00

3/18(日) 起床4:00〜出発6:15〜東天狗岳7:25〜黒百合平8:35〜テント撤収出発9:55〜渋ノ湯10:35〜西宮20:00

▲東天狗岳頂上




初級雪山教室は今回で4回目。GWの立山・剣岳修了山行にむけて、maho、yukaの今回の課題は天狗岳から硫黄への重いザックでの雪山縦走、アイゼン歩行、天狗の下りでのフィックス通過、読図・ルートファインディングである。Tankuro、ココノールはmaho、yukaと初めての雪山となるため直前ではあったが、六甲でのボッカアイゼントレ、不動でのフィックス通過練習をおこなった。読図についてはミーティングでTankuroのアドバイスを受けて、事前にポイントを12ヵ所決めてコンパスで角度を測定してその角度で歩いてみることや概念図を書き頭にいれておくことであった。また、なおみが雪山教室の初リーダーとなるため、サブリーダーはTankuro、メンバーにココノールが加わり心強いサポート体制があった。天気予報では日本海は気圧の谷や寒気の影響で雪または雨、降水確率80%、気温も上昇するので雪崩に注意が必要だった。決行するか判断に迷いTankuro、ココノールの意見を聞くと「行ってみて判断しては」と言われた。実際1日目は降雪で風が強く見通しが悪かったので縦走は中止した。黒百合平で幕営、翌日は曇り、天狗岳を往復してアイゼン歩行を体験することができた。先輩方から学ぶことの多い山行でした。


読図角度は間違い・アウター忘れた!

▲駒ヶ根SAで雨をよけてパッキング

3/16 20:00 JR西宮駅北側で集合してココノール車で名神に入り、高槻バス停でTankuroをピックアップする。なおみテルモス忘れたことに気づくがすでに遅い。途中SAの休憩で読図のポイント角度をTankuroが確認する。なおみ、yukaは磁石の北の示す角度を書いていて間違いを指摘される。当たり前だがコンパスの矢印の示す角度が正解だ。mahoは正解、yukaも気づいていた。氷ノ山で失敗した読図をこれで検証できるかなおみ、yuka、mahoにとっては課題である。順調に駒ヶ根SAに着くが雨が降っている。あずま屋の屋根の下で初ダンロップV6を設営する。6人用で5人だと快適だが寝るといっぱいになる。mahoが車に荷物を見に行って戻るのが遅いと思っていたら「アウターズボン忘れてきました。」「サービスエリアでカッパ買います。大丈夫ですか?」という。縦走で風が強く気温が下がるとビニールカッパでは防寒ができず低体温症をおこすことになる。ココノールは「縦走は無理やな」とひとこと。とりあえずTankuroの厚めのズボンをはき、ビニールカッパで対応することにした。yukaのパンツも冬山を対応できるものを持っていた。天候も悪く無理はしたくないので、縦走は中止して黒百合平で幕営、天狗岳往復に計画を変更した。mahoは「単独では絶対アウター忘れることはないのに・・・甘えがあったかも」と落ち込んでいたが代用できるものがないと山行を中止することもありえるので、出発前の装備点検はしっかりとおこないたい。リーダーのテルモス忘れもあわせて反省点だ。


初ダンロップ設営は1時間

3/17 5:00起床。予報どおり雨が降っている。渋ノ湯に近づくころは雪となる。渋ノ湯駐車場に着くと数台駐車があった。気温は−4度それほど寒くはない。

ビーコンチェック、コンパス角度を再度確認してyukaを先頭にTankuro、maho、ココノール、なおみの順に歩き出す。雪はしまっているので歩きやすい。トレースは明確だが前回の教訓を生かして、読図ポイントの角度や地形を確認しながら歩く。全員ザックは20キロ以上あるが歩き方は問題ない。yukaは新しいザックなのでまだ身体になじまず休憩時調整している。少し汗ばむとmahoのカッパの内側は水滴が溜まり撥水が悪い。mahoは「大丈夫です」という。読図はコンパス角度の方向でほぼ合っていて順調に黒百合平に到着した。風が強く見通しが悪いが天狗岳をめざすパーティーもあった。

▲初使用のテントを設営
私たちはまずV6テントを設営する。初めての雪山設営なので冬用外張りの貼り綱12ヵ所も取付けしてみることにする。装備係のRyuchanが準備してくれた竹ペグとスリングはしっかりしていた。テントのペグもあわせると22ヵ所のペグとなる。外張りの貼り綱を本体ポールに付けるのは細かい作業でたいへんだ。結局1時間かかってしまう。近くのダンロップテントは貼り綱をしていない。天候や地形などにあわせて貼り綱は減らすことはできそうだ。テント設営後は昼食、食担のmahoがおいしいチャイを入れてくれる。天気図までは時間があるのでビーコンチェックをおこなうことにする。テントをでると高校生山岳部の20人近くパーティーがやってくる。カラフルなアウターを着ている。女の子も多い。テント泊は夕方には10テントぐらいになっていた。午後から来る人も多く黒百合ヒュッテも満員のようだった。

mahoのビーコンチェックは4〜5回おこなった。範囲が狭かったので5分以内には見つけることができていた。時々ビーコンを振りすぎてしまい方向が違っていたので注意が必要だ。弱層テストもおこなう。シャベルコンプレッションテストをおこなったがスノーソーがなかったためシャベルで上の雪面を切ることになり30cmの四角柱に刺激が大きく入ってしまう。Tankuroの四角柱は円柱テスト状態となり30cmでズレを生じていた。5cm程度の新雪の下はしまり雪があり30cmぐらいにざらめ状の層があった。握ってみるとまとまらないのでしもざらめかと思われたがココノールはクビを振っていた。正確なテスト、雪質、雪崩判断するにはさらに学習が必要だ。天気図の時間になりあわててラジオをあわせるが聞き取りにくい。低気圧は日本海に停滞し翌日も天候はよくないことがわかった。翌日の天候次第で天狗岳往復することとして早めの夕食準備となった。水は黒百合ヒュッテでもらえるので雪からつくらずにすんだ。

この日はTankuroの誕生日と勘違いしたなおみが黒百合ヒュッテオリジナルの赤ワインを買ってきていた。「おめでとう」と差し出すと「2月やで」と言われる。またやってしまった。しかし2月生まれはmahoもいたので2人の月遅れの誕生祝いとなった。ワインは美味しかった。夕食は餅入りシチューで縦走を考えたボリュームあるメニューだった。mahoは料理が得意なようで下ごしらえもばっちりで鶏肉ウインナーには黒こしょうがきいていた。高野豆腐も入り材料も多く2回に分けてつくり3回目のお変わりにはチーズをのせてとさらに栄養満点で美味しくて全員たべすぎ状態となっていた。早々と19時に就寝。思ったより風は少なくダンロップは快適に眠れた。


東天狗から硫黄が見えた

▲ガスが切れて下に稲子岳の姿が…
3/18 4:00起床。まだ暗く雪は降っていない。朝食は力うどん、乾燥させた野菜に煮干しと大活躍の高野豆腐、さらにうどん、もちと入る。全員しっかりと食べて準備をする。5時過ぎると明るくなり東の空は少し明るくなっている。ラッキーだ。まだまわりは出発していない。アイゼンをつけてmahoを先頭に歩きだす。北八は人気があり人が多いのでトレースははっきりしている。中山峠をすぎるとシラカバと岩の緩斜面を行くと森林限界となる。雪はしまりアイゼンはきいている。Tankuroから下山を考えて後の景色をみておくようにアドバイスがあった。急登になり左側には雪庇がでてくる。maho、yukaにしっかりけりこむようにココノール、Tankuroが声かけする。天狗の鼻の岩峰手前ではさらに急登になりココノールが先頭に変わりローダガーポジションで登りmahoと続く。前方には一組直登して降りてくるパーティーもあったが、私たちは右側に回り込み頂上に出る。風はあるが強風ではない。

▲頂上は右奥に
硫黄への下りを確認すると数mではあるがやせ尾根となっている。4年前にTankuro、なおみが来た時は強風で初めてのフィックスロープに時間かかっていた。初心者がいる場合はロープが必要だろうとココノールが言う。登って来た若者3人に記念写真を撮ってもらう。迷っていた2人も登ってくる。下山しようとすると一瞬硫黄が姿をみせてyukaが声をあげている。下山もしっかりアイゼンを効かせるようにアドバイスがある。途中でココノールからトラバースや方向転換、下りの方法を指導して練習する。高校山岳部や中高年の大人数のパーティーや少人数のパーティーが続々登ってくる。50人以上いて予想以上に多かった。下りもyuka、mahoの歩き方は安定している。順調に黒百合テント場に戻る。お茶を飲んでテント撤収する。渋ノ湯までアイゼンなしで下る。maho、ココノール先行するとゆっくり行くように言っても早くなる。mahoは下りが得意でどんどん降りてゆく。yukaが後を続き、Tankuro、なおみが離れてしまい2回待ってもらうことになる。スリップはyuka1回、Tankuro2回。無事に渋ノ湯到着して留守本部に報告する。温泉は渋ノ湯をやめて少し先の「明治温泉」にはいる。有馬の金泉のような茶色の温泉もある。昼食に諏訪SAに寄ると休日のせいか大勢の人だった。反省会もおこない帰路についた。maho、yukaは着々と力をつけている。次はGW立山修了山行だ!

▲バックステップで下るmaho

メラピークKOBE(兵庫県労山に所属する神戸の山岳会)

大山弥山尾根と
別山バットレス中央稜
剣岳別山尾根

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