無事下山したものの、リーダーシップを初め、問題の多い山行だった。
▲順調に樹林を登り始めたのだが、、、、
菊屋さんに宿泊の問い合わせをした時は大雪で道路にも2mの雪が積もり、雪おろしを頼んでいるということだった。人数が決まり24日に電話すると「明日は雨みたいだけど、それでも来るの?」日中の最高気温は6℃の予想。テント場では雪だろう。1日目の午前中用に雨具は持って行くことにする。メンバーは最新のアウターなので雨でも大丈夫だ。今回は、雪山技術の3回目で冬道を歩くことと、雪洞を掘ることを主な目的にする。2mの雪の時はわかんのラッセルが出来ると思ったが雨ではね、、、。加えてなおみが近畿ブロックの雪崩講習会に参加したばかりなので雪洞を掘るに当たりシャベルコンプレッションテストの最新のやり方を習い雪崩判断を行うことにする。もちろん読図も行う。結果、読図は大きなミスを2回もしてしまった。ブナの反省が全く生かせなかった。きっちりフォロー出来たとは言い難いし、一番大切な引き返すということも出来なかった。今までリーダーだからといって体力がなければダメだということはない。きちんと指示や判断ができればいいと思っていた。ブナの後、氷ノ山は大丈夫かなという気持ちがあったがラッセルをしながらなら付いて行けると思った。やっぱり体力がないと、指示や判断のタイミングを失って取り返しがつかないことになることが分かった。今回はたまたま無事に行けたということだ。
今回はRyuchanとyukaにテント生活を仕切るように、なおみは今季、この山行が初めてだが、前季には詰めてトレーニングしているしルート経験もあるのでSLをお願いし、次回の北八ッを踏まえてLのつもりで行動判断を行ってもらうこととした。APは初めて装備を担当した。それらの結果は本人の報告に譲る。
mahoは歩行にもテント生活にも問題はない。歩きながらよく後ろを振り返る。引き返すことを考えているのだろう。磁石もよく見ている。共同装備もしっかり担ぎ、遅れることもない。特に注意することもなく、指示されなくても、さっさと食事の手伝いもする。一人で水作りをするよりは楽だそうだ。準備も早いしパッキングも早い。ペグの結び方もきっちり出来ている。お腹が減ると疲れるけど食べると大丈夫だそうだ。
2/24 順調にピックアップして朝来SAに到着。20分ほどでZONO達も到着。菊屋さんへ向かう。22:40頃isorokuからメールが入る。「今どこですか?後どれくらいかかりそうですか?」えっ?もう着いたの?姫路からは近いと言っていたけど、早いなあ。菊屋さんの場所が分からないのかな。調べたら分かるって言ったけど。「もう、着いたんですか?30分くらいで着きます」と返信する。道路は路肩にも雪はない。こんなに解けてしまったのかなあ、、、。その後、isorokuから返事がない。おかしいなあ、、と思い電話する。するとisorokuは朝来SAで待っていたのだった。直接という意味が私は菊屋へ、isorokuは集合場所へ。もう、23:00になっている。45分も待っていたことになる。私達が仮眠する菊屋さんに着いたのは23:30頃。isorokuは24:00になった。明日7:00出発と決めて寝る。なおみは5:30起床と指示をした。
2/25 なおみの声で起床。それぞれにレーションで朝食を済ます。外は雨。食糧や装備の配分を終え、パッキングを済ませて出発は7:00。なおみパーティーが先行。Ryuchanは読図はかなり出来るし、isorokuはGPSを持っているので、APに読図をやってもらおうと、AP、Ryuchan、isoroku、なおみのオーダーにする。marikoパーティーはZONO、yuka、maho、marikoの順だ。スキー場が開いているのでリフト乗り場からは行けない。福定まで歩く。が夏の降り口を通り過ぎどんどん進み駐車場へ下る。林道を歩くことになる。なおみの判断は夏道はトレースがなく急な斜面なので危険と思ったそうだ。スキー場の右端に出て登る。雨が降り気温が高くて暑い。氷ノ山国際ロッジでトイレ休憩。衣類調整。ここで磁石を合わせるが、東尾根の取り付きまでに迷う。今回冬道は一部だけで他は基本夏道通りだ。ガスが濃くて流れ尾は見えない。取り付きで記念碑を見る。事故のことを説明する。トレースはないと思っていたら、先頭はトレースを追って歩いていたそうだ。APは夏道の経験があると思っていたがルート取りがおかしい。isorokuが経験があると言うのでトップを代わる。急登を登りきると広い雪原に出る。あれっ?違うやん。ここで武奈の繰り返しだ。呼んでも聞こえない。8人となるとかなりの距離が開く。やっと止まる。東尾根にこんなところはない。もっと左だ、と言うとAPは「なにもないとこ行くの?大変じゃない?」なおみは「トレースがあるんですよ、トレースは左へ戻っているんです」と言う。トレースがある?今までこんなに雪が多い時に来たことがない。冬道があるのか?「トレースを追うトレに来たんじゃないからね」それでも、それじゃ、ということでそのまま進む。トレースは直登しているが私達は左へ戻る。広い樹林の急登になる。結構もぐる。これは思いがけずラッセル練習になるわ。なんてのんきに楽しんでいたが、、、。
▲ラッセルに四苦八苦 isoroku、Ryuchanがラッセルするが、3番目でももぐる
左に谷が見えた。正規のルートはひとつ左の尾根だ。上部には東尾根が見える。地図を確認するとこの尾根は東尾根につながっていて行けそうだとなる。引き返すとしたらここだったかな。するとなんと、2人パーティーが登って来た。軽い荷物で日帰りだ。尾根はどんどん急登になる。潜り込んで抜けるのに苦労する。後続に行けるところを探すように言う。行き詰れば下ればいい。そんなに時間はかからないだろう。と下りのルートを振り返りながら登る。緩斜面で休憩。小屋が左に見える。ここからさらに傾斜が強くなる。引き返すのも結構大変かも。でも東尾根はすぐそこ。行けるのかなあ、岩場のしるしはないけど、、、。大きな木がなくなりブッシュになる。ますます潜る。下がぬけているのだ。四苦八苦していると2人パーティーが追い越して行く。それを見上げる。やはり潜って苦労しているけど尾根に出れそうだ。東尾根避難小屋の見える範囲で少し右に出るのだろう、戻って休憩すればいいと登り始めは思っていたが。10:30やっと尾根に出た。休憩だ。みんなそれぞれに感想を述べている。ここで地図と磁石でこれからの方角を合わせる。ここからはトレースがあり千本杉への登りも安定していて大丈夫だ。引き返すことはないと思うが降り口付近に標竹を刺す。この辺りは視界はそこそこあるが、下山者と少し話しをすると上はホワイトアウトで何も見えない。ピーク近くまで行ったと思いますが引き返して来ましたと言う。千本杉の横の雪原はyukaがトレースを追ってトップで行く。途中でトレースがなくなりました。と立ち止まる。Ryuchanにトレースの見方を説明してもらう。最後はRyuchanに代わり無事頂上小屋着。
▲氷ノ山の頂上で
休憩していると他のパーティーもやって来た。スノーシューだ。流れ尾から来たとか。yukaによればネットの山行記録では冬季は最短ルートとして流れ尾が多いそうだ。ヤマケイに紹介されたからかなあ。紹介はいいが事故のことも書くように県連安全対策委員会から文書を送った。さて、今度はきっちり磁石を合わせて行こう。外に出て記念撮影して、ZONOがトップで行く。yukaも夏は経験があり後ろでアドヴィスしているが、、、、。「階段を下りるんですよね、夏は」でも、階段のかけらもない。ZONOが意を決して選んだルートはすぐに行き詰ってしまった。選手交代。なおみパーティーが行く。isorokuがトップ。少し戻り右へ行く。尾根に出て快適。イケイケのisorokuもここは立ち止った。甑岩だ。トラヴァースするか、岩を下るかは現地で判断と決めていたが、思ったよりトラヴァースも安定していそうなので、トラヴァースに決める。少し雪が硬くなっているが凍っていないので、そのまま行く。もなか雪に近い状態でボソッと潜る。前が騒がしいなあ、と思っているとisorokuが5mほど滑ったらしい。無事登り返してきた。東尾根のきれいな稜線に出た。右は雪庇。それくらいは見える視界なので安心。快適な尾根歩きだ。ところが広い尾根に出て先が不明になる。尾根が北向きになる地点までは行っていない。みんなちょっと右寄りに行っているなあとは思っていたそうだが。isorokuがGPSを出して谷へ下って登り返し正規の尾根に出た。ここでも引き返すべきだったが、、、、。GPSには勝てない。後で地図を見ると東尾根が少し右カーブしてるところから尾根が出ている。そこに入り込んだようだ。氷ノ山越まで3時間。雪洞を掘って寝る積りだったが時間がない。雪は多く小屋の近くを整地しテントを設営する。mahoはさすが秋田育ちだ。スコップの使い方が上手い。腰がしっかり入っている。水用の雪を運び、トイレへのトレースをつける。天気図には間に合った。明日は天気予報通り弱い冬型になる。各テントで食事を済ませる。メニューは寄せ鍋。軽くて戻さなくてもいいおうどんを試す。細いのでそうめんみたいだが、2食で140gは軽い。19:10からなおみパーティーのテントで集まって反省会&懇親会を行う。明日は予定通り鉢伏山まで行くか、トレ目標の雪洞掘りをするか、ZONOに尋ねたところ一度雪洞をきっちり掘ってみたいと言うので、提案しそうすることとなった。時間がないので高丸からスキー場を下ることにする。
▲雪がたっぷり 今年の氷ノ山越
2/26 4:00起床。昨夜から雪は降り続き、テントの周りの装備は雪に埋まってしまった。今日はテントを撤収し6:00から弱層テストをして、安全なら雪洞を掘る予定だ。2時間ほどで掘れるだろう。今日はルートをミスすることもない。6:20、準備が出来たのでなおみの指導でシャベルコンプレッションの弱層テストをする。先ずはどこでテストをするかが問題だ。30cm正方というのもまちまちだ。新雪は10cmほど。雨で氷の層があるがその前後に弱層はない。安定している。mahoは斜度が少し強い所でやったので25回でずれたそうだ。安定していることが分かったので、それぞれのパーティー毎に雪洞を掘る。時々氷の層に当たり苦労する。雪はたっぷりで良い雪洞が出来そうだ。なおみパーティーはやはり早い。男3人で1時間ほどでほぼ完成した。
▲掘り上げた雪洞で記念撮影泊まりたかった
▲苦労した樹林 でも楽しかった?
▲樹林を抜ければ顕著な稜線
こちらは女性3人でちょっと時間がかかる。掘り終えたなおみ、Ryuchanが助っ人に来た。1時間半ほどで4人がなんとか横になれる立派な雪洞が掘りあがった。雪洞掘りで体力使ったからしっかり食べる。休憩するには快適だ。雪洞の中でじっくり磁石を合わせる。雪洞掘りで体力を使ったから今日はルートミスをしてウロウロ出来ない。外に出ると風があって寒い。雪が降り続き視界はあまりない。ZONOがトップで歩く。北八ッのリーダーのなおみに参加を希望しているmahoの後についてもらって歩行を見てもらう。ZONOは自信を持ってトップを歩き始める。地図で方角を合しているので、夏道通しだ。冬道を取るなら直登だが、説明していなかった。ちょっと迷ったけど、良しとする。雪は安定しているので、雪庇を避けて間隔をあけて歩くように言うが、yukaは10mほどで後を付いて行く。雪は新雪の下が少し硬い。しっかり蹴り込んで歩く。雪庇が切れているところで稜線に出る。
尾根が狭くなっているところで、ZONOは雪庇の踏み抜きを避けて樹林の中にルートを取る。が、ここが大変だ。トラヴァースをするが潜ってしまう。だんだんと楽な方へと下ってしまう。元気なisorokuやRyuchanが上部からトラヴァースしてトップを交代する。isorokuはわかんを履けばどうかと言うが、ブッシュにはまると抜けそうにない。とうとう「こんなとこ無理やで、登られへん」なんて言ってる。膝が痛いなおみも頑張るがブッシュに足を取られる。Ryuchanがisorokuの数m横をなんとか登る。「もうちょっと頑張って下さい。ここまで登れば硬くなってます」と声を掛ける。やっと抜け出ることが出来た。良かった。ここからは稜線歩きになって快適だ。広い尾根になって大平の避難小屋に到着だ。疲れた。「雪洞でパンをしっかり食べとって良かった」とRyuchan。「みんな大丈夫?」「大丈夫です、お腹がへったけど」ということで飲んで食べる。APが食べている様子がない。そばへ行くとザックの蓋はあけたままで雪が入っているし、オーバーミトンを外してウールの手袋に雪が着いている。「蓋閉めなあかんよ、手袋も、ミトンせな」APは「手袋は乾くでしょう」とわけの分からないことを言う。「なにか食べた?」「いや」「なんで、食べなあかんで、食べられへんの?」「食べるものがないねん、雪洞でおしまいになった」「非常食、食べたらええやん」「それもないねん」「えっ?持って来なかったん?」「非常食を食べてしもた、雪洞で」隣にいたRyuchanが自分のレーションを分ける。なおみも自分の非常食を渡す。水はまだあると言う。今日はルートミスは許されない。みんな体力をかなり使っているし、時間がない。ラッセルもあるので、トップをRyuchanに頼む。下りになるので速い。下りのミスはつらい。登り返しが大変だ。慎重に下る。mahoの靴が雪にはまってなかなか抜けない。ストックで雪をかいてやっと抜けた。樹林も抜けかけてもう安心。と思っていたら樹林をトラヴァースし始める。なんで?と後を追いかけるが追いつくわけがない。するとみんなが立ち止っていた。先へ行けないのだ。良かった。ここで下ってしまったら、今日中に帰れないかも。ここは引き返えす。視界が開ける。スキー場も見える。みんなほっとしたのか、声が出る。mahoが「すごい自然破壊ですね」と言う。その通りです。目の前に小山が出てくる。直登する。視界が無くなり頼りは磁石だけ。無事高丸到着。間もなくスキー場に着く。がここでも視界が余りない。
▲3時間頑張って大休止 腹ペコ
リフトの側を下ろうと思っていたが、isorokuが直近のリフトは急なので無理という。次のリフトがガスって見えない。少し歩くと見えてきた。次のリフトからは視界が出てきた。結構スキーヤーが多い。どんどんゲレンデを下る。雪が多いので駐車場まで雪があって助かった。ザックがだんだん重く感じる。あとは舗装道を2km下る。なおみは硬い道なると足が引きずる。痛みはないというが。16:40。駐車場着。車に荷物を入れて、菊屋さんへ行く。今日は人数が揃っているので、あたらしいダンロップを張ってみることになっている。みんな時間は大丈夫というので、遅いけど予定通りやることに。おばさんがぜんざいを作ってくれていた。お腹が減っているので、すごくおいしい。宝塚労山のメンバーも来ていて、戻って来た。私達は新館の2階に上がりRyuchanの指導でテントを張る。先ずは夏仕様。次に冬仕様。冬の稜線でこのテントを張るような山行が出来るようになって欲しい。広くて快適そうだ。反省会もここで済ませる。帰りは温泉に寄り食事も済ませる。
後日、メンバーが感想を送ってくれる。誤解や伝えきれていないことがあることに気が付いた。3月5日に3時間ほど再度反省会を行った。忙しい中全員が集まってくれた。危ない危ないばかりでは登山の楽しみも減ってしまう。けれど、なぜ私がそんなことばかり口にするのか、それは過去に多くの事故が起こっているからだ。今回の山行の中で起こったような問題点が大きな事故につながった事例もある。過去の事故事例を挙げながら、何故それが問題なのかを説明した。今回は無事に下山出来たけれど、そうだからこそ、良かっただけでは済ませずに、今後の山行の安全のために、きちんと認識して欲しい。リーダーシップにも問題があった。これからリーダーをする人達は今回の山行を教訓として、またメンバーもリーダーをしっかり支えて楽しく充実した山行を重ね確かな力量をつけていって欲しい。登山では無事に下山することが最大の目的だ。その為に事前のトレー二ングやミーティングはもちろんのこと、こんな山行後のミーティングも大事だ。改めて思ったことは武奈の報告を今回のメンバーに送っていたら、同じようなことは起こらなかったかも知れないということと、読図を講習会のようにきっちり行うべきだったか?それをしていると前へ進まない。ピークが目的ではなくトレーニングが目的やろ、と大先輩に言われた。おっしゃる通りです。