念願の、剱岳・チンネ左稜線登攀   (ちびサンボ)


I葉ガイド

ちびサンボ

■日時:9月13(月)夜発〜16日(木)

■目的:アルパインクライミング

■山域:剱岳

■参加者:ちびサンボ、I葉ガイド

■行動記録:

9/13 北陸ドリーム号 23:00京都発

9/14 5:20富山駅着→始発電車で8:00室堂着→9:30ガイドと待ち合わせ合流→13:30別山岩場で軽くクライミング→15:30剱沢小屋着、宿泊

9/15 2:00起床、3:00出発→別山尾根から5:40本峰登頂→7:30三の窓→8:20チンネ左稜線登攀開始→12:20チンネ左稜線登頂→13:30長次郎雪渓下降開始→16:00真砂沢ヒュッテ着

9/16 8:30真砂沢ヒュッテ出発→10:20剱沢小屋着、ゆっくり休憩12:00ガイドと解散→13:30みくりが池温泉着→15:10室堂着→神戸・23:30帰宅




▲別山の岩場


剱は大好きで毎年登っている。昨年、源次郎、八ツ峰、Cフェース、AフェースをI葉ガイドに登らせてもらった。今年は会のメンバーと登りたかったが、休みが合わなかったのでガイドと登ることにした。
チンネ左稜線だけでは勿体なかったので、Dフェースから八ツ峰上半の縦走も計画した。天気予報は全て晴れ又は曇りのまずまずの天気だった。


14日(曇り、時々晴れ、時々小雨)

9:30ガイドと室堂で待ち合わせ。剱沢小屋へ行く途中、別山の岩場で軽く体ならしのクライミング。トップロープで準備してもらったが、小雨が降っていたので岩が濡れて気持ち悪い。少しかぶっているところが登りにくく昨年は登れず。今年は、「ここだ、分かった!」と思った瞬間に左足が滑ってテンション。悔しい・・「納得できんのやったら、もう一回登られ」とチャンスをくれたので、再トライ。核心で足を決めてやっと登れた。明日のために1時間ほどで終了。15:30に剱沢小屋へ到着し、のんびり明日の準備をする。


▲剱岳頂上




15日(晴れのち時々曇りのち雨)

2:00起床、3:00出発。気温は約10度、歩くには暑くもなく寒くもなくちょうど良い。真っ暗な中、ヘッドランプの明かりを頼りに登山道へ。4:00過ぎぐらいから後方に4〜5個のヘッドランプの明かりが見える。今回は本峰登頂が目的ではないので、下山道を通って本峰へ急ぎ5:45登頂。写真だけ撮って10分ほどで再スタート。そこからは北方稜線のザレ道。前夜、「長次郎の左俣で岩雪崩があったから注意して!」との情報があったので、少し緊張して歩く。池の谷乗越は下山で通過するので、余分な荷物(アイゼンや着替えなど)をデポして池の谷ガリーを下降、7:30三の窓へ到着。腹ごしらえをして、脆い雪渓とガレ場を通過し取りつきへ。
8:20いよいよ登攀開始。1ピッチ目、難しくはないが体が慣れてないからか緊張からか少し登りにくい。2ピッチ目、フェースに出るところが少し怖かった。ハイ松のリッジの5ピッチ目で「歩きのルートだからリードする?」と言われた。

▲左稜線取りつき
今回の道中、中級登山学校でリードの練習をしている事を話していたからだろうか、「いいんですか?やります」と即答。歩きと言えどもあんな高いところをリードするのは初めてだから緊張した。6ピッチ目はガイドがリード。7ピッチ目のリッジ上の凹角で再び「リードする?」と。もちろん「やります」と即答。しかし、シングルロープで次の支点も分からずリードするのは難しく、悩んで少し時間がかかった。ピナクルの立林するリッジを通過し、T5手前のテラスに着いたのは10:15頃。チンネは貸し切りだったので、ここで景色を眺めながらゆっくり休憩する。最高の天候で、最高の気分!!いよいよ核心へトライ。もう、何ピッチ目か数えていないが、急に壁が立ち、高度感が出てきて緊張する。ガイドは小ハングのところでヌンチャクを掛けながら「ここは登る前にしっかり足の置き場を見て考えて登るように」と私に指導する。ガイドの登りを確認し、いざ自分が登り始めると「怖〜」と声が出た。右側がすっぱり切れていて、三の窓を見下ろすと「落ちたら死ぬ」と思った。右から左へトラバースするのも勇気がいる。核心の小ハング下で「どこ持つか分からん。どうしよう!!」と、ひとり言のような質問のような大きい声を出すが、ガイドは聞こえてないのか返答無し。しかたが無いのでアドバイス通りに足元をしっかり探す。持つところを探すが今一がっつりつかめない。しかし、もたもたしてると腕が疲れてきた、足を踏ん張って「怖いよ〜」と叫びながらハングを乗っこす。何とかAOせずクリアー。その後も見た目は簡単そうなクラックとフェースだったが、やはり高いからかちょっと怖かった。

▲チンネ左稜線
そんなこんなの登攀を繰り返し、最後のナイフエッジ2ピッチほどを再びリードさせてもらった。「思うようにやってみられい」と言われ、思うようにやったが大失敗。少し下がったところにランニングビレイを取ったので、重くて重くて体が後ろへ引っ張られそうになる。「重かったら、細かく切っていいから」と言われたので、怖くて中途半端なところで切ってしまった。安定した支点が無かったのでボロハーケンと岩で支点を取ったが、それが間違いで、ハーケンが抜けてしまった。ああ、大失敗・・・何とか、最後をリードして12:20登頂!達成感でいっぱいですが、周囲が完全にガスってしまいました。山と渓谷の6月号の表紙はチンネの頭での写真。ガイドが、「同じポーズで撮ってあげようか?」と言ってくれたので、せっかくだから撮ってもらった。周囲がガスってるので雰囲気は全く違いますが、まあ、良しというところでしょうか。しっかり弁当を食べて下山。池の谷乗越のあたりから小雨がぽつぽつ降っては止み、降っては止みを繰り返す。明日、登攀予定のDフェースの写真を取りながら長次郎雪渓を下降していると、本格的に雨が降り出した。ずぶ濡れになり、16:00真砂沢ヒュッテ到着。天気予報は雨のち曇り一時晴れ。いずれにしても午前中は駄目なので、明日はゆっくりスタートの予定にして酒を楽しむ。

▲小ハングのフェース 核心


16日(雨)

夜中雨が降っていたので朝になったら止むかと思ったが、雨は止む様子もなく降り続いていた。本日は諦めて明後日にかけるか下山するか悩んだが、コンディションの悪い状況では面白くないので今回は潔く下山を決める。8:30真砂沢ロッジ出発。剱沢雪渓を登り返していると、私を誘惑するかのように雨が止んで太陽が見えたりする。名残惜しそうに山を見ていると、「海外遠征のため悪条件でのクライミングトレをして欲しいって言うんならやってもいいけど、頂上は無理だよ」と言われる。一瞬悩むが「いえ、そんな目標じゃないのでいいです」と断る。来年は源次郎、八ツ峰を自分で登りたいと思っていたので、取りつきの確認だけして黙々と雪渓を登る。10:30剱沢小屋着。おやつを出していただき、コーヒーを飲んでのんびり過ごす。ガイドはデポしているガイド協会の荷物を引き揚げに行くからそのまま小屋に泊るとの事。私ものんびり小屋に泊って過ごそうかと思ったが、のんびり出来ない質なので1時間ほど休憩して下山。下山中、やっぱり戻ろうかと立ち止り景色を眺めたり、野生のブルーベリーをつまみ食いして、13:30にみくりが池温泉着。ゆっくり温泉に浸かり15:30の高原バスに乗車。電車を乗り継いで23:30に神戸へ帰宅。空いた17日は、保塁岩クライミングトレに当てることにした。
今回は計画通りにいかなかったが、憧れのチンネ左稜線を登れただけでも成果あり。ロングルートは初めてだが、登りがいがあるし、景色を楽しめるし、最高に気持ちよかった!リードをさせてもらったおかげで、シングルロープのランニングビレイの取り方の難しさが良く分かった。ガイドは数年前、フリーソロでチンネを登ったらしい。1時間もかからないそうだ。私にはそんなの無理だが、次はもう少し余裕を持ってチャレンジしたい。稜線歩きとクライミングの両方が楽しめるチンネは最高に楽しかった!何度もトライしたいと思う。やっぱり剱は大好きだ!!



メラピークKOBE(兵庫県労山に所属する神戸の山岳会)

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