雪彦山クライミング (報告/Ryucyan)



■日 程 : 4月29日(土)~30日(日)

■山 域 : 雪彦山(三峰友人登路ルート、不行岳北壁温故知新ルート、地蔵岳東面スラブルート2ピッチ)

■目 的 : マルチピッチクライミングトレーニング

■参加者 :

Ryucyan
(リーダー)

ちびサンボ
■行動記録

29日(晴れ一時雷雨):6:00ちびサンボ自宅集合→7:40雪彦山東屋→8:30三峰登攀開始→11:30三峰頂上→14:00地蔵東稜の取り付き地点で帰り支度→駐車場泊

30日(晴れ):5:00起床→7:00東屋→8:00不行岳下部からスタート→11:20不行岳肩→懸垂下降→13:00地蔵岳東壁取り付きで昼休憩→東面スラブルート2ピッチ登攀→懸垂下降→15:15終了→16:00東屋→帰神



この土日は北アルプス大日岳に雪山登山の予定でしたが、土曜日の悪天予報で中止にして雪彦山に来ました。29日は三峰友人登路から不行岳温故知新へ抜けようと計画しました。三峰取付きまで30分程度、早速汗をかきました。準備をしてリードはRyucyan1,3ピッチ、ちびサンボ2,4ピッチと決めました。Ryucyanは最初からアブミを出します。1ピッチ目は中間辺りで一度右に寄り、少しアブミを使わずにフリーになります。上部では2ピッチ目のビレイ点に向かって左にトラバースしますがRyucyanは支点につられて真っ直ぐ登りすぎました。少しクライムダウンして左に移りました。無駄なパワーを使い早速疲れました。ちびサンボはアブミも混ぜながら難なく登ってきます。

▲友人登路ルート
2ピッチ目はスラブを登りますが1ピン目までと2ピン目までの支点間隔が遠くて気色悪いです。ちびサンボは快適にリードしています。私はフォローですが逆層スラブが怖かったです。3ピッチ目は左斜上するランペを登ります。私は最初からアブミを使いますので、支点も適当な間隔でありそれほど苦労はしません。しかし、久しぶりのアブミでしたし、ただただ黙々とパワーのみで登ってきましたので途中疲れて休憩しました。フィーフィーの名前を忘れとったぐらい久しぶりにフィーフィーを使いました。ちびサンボはフリーで頑張って登ってきました。早かったです。4ピッチ目は長めのピッチで後半は弓状のクラックを登ります。支点はほとんどハーケンになり気をつけて登ります。ちびサンボがリードで登りますが弓状クラックを越したら姿は見えなくなり、声も届きにくくなりました。また、下の神社からピーヒャラ・ピーヒャラー・ドンドンと笛太鼓の音がしだして余計に声が届きません。聞こえているか分からないけど残りロープ10m、5mとコールします。5mで止まったようなので着いたのかな?ロープが前後してしばらくしたらロープアップするので解除して登る準備をしました。弓状クラックの小ハング越えで一度AOしました。最後5ピッチ目で三峰のピークまで登ります。

▲三峰頂上
ピークに着くと雷の音がゴロゴロ鳴り始めて黒い雲が近づいてきました。ピークで食事を取ろうと思っていたのですが、吹きさらしの場所ですし、雨が降り出す前に下りることにしました。一度、懸垂下降をして三峰の下降路まで下りてきた所で雨が少し降ってきました。もうやめて今日は下山しようかと思ったのですがちびサンボと相談をして温故知新は明日登ることにして、今日は三峰下降路から1ピッチ上がったところまで下見をして下りることにしました。下降路の上は草付き混じりの脆い岩面で、また雨で濡れているのでメチャ怖かったです。ちびサンボはこの状況でよくリード出来るなと思いました。上に人が居ているようで時々落石もあり大丈夫かなと思いました。登ってみると2人パーティーがこの雨で敗退するようで懸垂下降の準備中でした。その場所も足元が悪くて、あまり動くと小石がどんどん下にこぼれ落ちるような所でした。そこからもう少し先に行きたかったので、少し待ちました。足元の悪い懸垂地点から安定した道を左に15m程トラバースします。ここからルートは分かりやすくリッジになっていて、明日の楽しみにしました。

戻って、懸垂下降を2回して明日の取付きまで下りました。1回目は足元がザレザレで小石をボロボロとこぼしながら下ります。2回目の懸垂は三峰からの下降でよく知っています。とりあえず地蔵岳東稜の取付きまで戻って食事を摂りました。三峰のピークから食べ損ねていたのでかなり腹が減っていました。雨は止みましたが岩は濡れています。下山して明日に備えることにしました。雪彦山の登山口駐車場で一晩越すことにしました。時間はまだ15時前ですので結構な暇をもてなし、持ってきた酒も足りなさそうでしたので街まで追加買出しに行きました。食事はちびサンボが色々と用意してくださり満足のいくものでした。明日は不行岳を肩まで登って懸垂下降で下部まで下りて、地蔵岳取付きから東面スラブ~スベリ台~凹角~ピーク~下山と一応決めました。

翌日は5時に起床し朝食はちびサンボが米を炊いてくれました。しらす混ぜ御飯、味噌汁、味付け海苔、納豆と旅館の朝食みたいで美味しくこれまた満足しました。ゆっくり朝食をとり7時に出発しました。地蔵岳東稜の取付きに7時半についてギアを装着準備して不行岳下部に取付きました。ここでさらに軽量化しザックを一つにしてフォローが担ぐことにしました。1ピッチ目はスラブの登りで支点はハーケン、リングボルトで間隔もそこそこに開いています。ちょっと自信がなかったのでリードはちびサンボにお願いしました。ちびサンボは問題なくさっさと登って行きます。左に行って右に行って左に行く感じです。フォローで登りましたが今日は岩も乾いていて意外と登れました。2ピッチ目は昨日下見で登った所でRyucyanがリードします。岩も脆く残置支点はなく、時々木の枝でシュリングを使ってとります。一度持った岩が握りこぶし程度でちぎれました。草付き混じりの脆脆の岩場を恐る恐る登りました。所々の木の幹でロープが屈折してメチャ重たいですが強引に登りきりました。3ピッチ目はルート図のチムニー左のリッジを登ります。ここからは岩の状態も少し良くなっているイメージでした。ちびサンボは前にリードしたという事で、再度Ryucyanがリードで登り、ここからはツルベでした。階段状でただただ歩いているようです。支点はハーケンが時々あり30m程度登りました。ルート図でここが1ピッチ目と同IV級とは思えませんでした。

▲この右上登ってから温故知新ルート、左が薫風登路11b。間違うと大変!
4ピッチ目はちびサンボリードで草付きのルンゼを15m程右斜上します。草と、枝を持ちながらうっとうしい所を強引に登りました。

5ピッチ目はRyucyanリードで登りますがグレードは10a。どの程度難しいか想像もついておらず、行き詰まった時のために一応、アブミを持参しています。ここからはフリールートらしく支点はほぼハンガーになりました。始めは1ピン目まで細いバンドを7,8mトラバースします。気色悪いですがホールドがきちんとありました。1ピン目を掛けて一安心し上のルートを眺めると、「いけそうやなぁ」と思いました。支点間隔もそれほど遠くなく快適に登れました。スラブ状で細かいですがしっかりとしたホールド、スタンスがあったイメージで30m程度でした。6ピッチ目はちびサンボリードで10bの逆くの字の凹角を15m程登ります。

▲温故知新、逆くの字ルート
フォローで登ると左手方向に小さなクラックがありますが、ここは日陰で湿っている感じで、また脆いイメージで思い切って掴めなったのと、右手方向は逆層でこっちはうまく手が決まらずさっきの10aよりは難しいなと思いました。後半はフェースに出て最後にテラスを乗り越しますが、ここも脆い岩があったように思います。


▲逆くの字を抜けた所
最後不行岳肩までの7ピッチ目は10aでRyucyanがリードしました。最後は長めで40m強登ったと思います。ここは小さいハング越えが何度か出てきますが、いずれも越したあとに小さながらもしっかりとしたホールドがあるので安心しました。スラブは少し支点間隔が離れますが、ここも小さいけれどしっかりとありましたので快適に登ることが出来ました。



▲不行岳 肩より
地蔵岳より高度感があって心地よかったです。ここから懸垂下降を4回して不行岳の下部まで下りましたが、途中ロープダウン時に木に引っ掛かったりして以外に時間がかかりました。また私は疲れが溜まってきたのか、ビタミン不足がこのあたりからロープダウンでロープを引っ張ると指がつります。懸垂下降が終わり地蔵岳東稜の取付きまで下りて食事を摂りました。

まだ13時過ぎでしたが、私が疲れているのと指が頻繁につるのとでちびサンボにこのあとのルート変更を願い出ました。時間と体力的に前日に打合せした通りに地蔵岳ピークまではきついので、東面スラブを2ピッチ登って懸垂下降で下りてくるメニューをお願いしました。渋々了解してもらったので、とっとと東面スラブ取付きに向かいます。1ピッチ目はRyucyanリードで登ります。支点はハンガーが時々ありますが全て遠いです。登り始めにルートミスで左に寄りすぎて右に移動修正するのも怖かったです。その後も支点が遠く恐る恐る登りました。温故知新と違って全く快適ではないです。終了点まで2回ほど垂壁を乗り越します。1回目はなんとか乗り越しましたが、2回目になると、また指がつってきました。ここの正解は乗り越さずに左を大きく巻くことでしたが、ものすごくランアウトして落ちたらかなり振られそうで行く勇気がなかったです。どちらに行こうとしても指がつるのが治らずに右往左往していて時間が経ちます。ちびサンボが下から「そこで支点作って私を上げて~」とアドバイス。ここは支点もたまたま近くに2ピンありましたので、諦めてそうすることにしました。ちびサンボはスラブをとっとと上がってきます。なんでそんな簡単に登るん?怖くないのん?「こんな乾いた岩は大丈夫!」と。

▲地蔵岳東面スラブルート
そのままツルベで2ピッチ目もとっとと登って行き、地蔵岳東陵の取付きに懸垂下降することにしました。ハンガーの支点でしたのでロープシュリング6mmを残置して懸垂支点を作りました。下部まで降りて雪彦トレを終了としました。車まで戻ると16時でなんやかんやといい時間になっていました。



感 想

ちびサンボ:以前、新ルートの薫風登路ルートを懸垂下降する時に初めて温故知新ルートを見た。楽しそうなルートだと思ったので今回は登りたいと希望した。友人登路は中級登山学校の頃、一度だけ登った事があるがほとんど覚えていない。友人登路からそのまま温故知新を繋げたら早いと思っていたのでこのルートを選んだ。久々の雪彦山の逆層スラブはやはり緊張する。1ピッチ目の2ピン目を取る所と、3ピッチ目の上部はフォローでもしんどかった。4ピッチ目はロープいっぱいまで伸ばしたので重くて唸りながら抜けた。次回はザックを置いてフリースタイルでトライしてみたい。雨がしとしと降りだしたのでもう登れないのだが、明日、本当に温故知新を登るかどうか分からなかったので、取り付きだけは教えておこうと思って上を目指した。上から人の話し声がしたと思ったら落石が手に当たった。「落」のコールも何もなかったので、怒りながら必死に登ったら知り合いだった。ここはロープが擦れても落石する場所なので、他にパーティーが居る時は注意が必要だ。NO3チムニーの取り付き場所を教えて懸垂下降した。時間的に中途半端だが登れないので仕方なく、壺阪酒造まで車を走らせて日本酒を調達した。

2日目は二人とも初見の温故知新ルートで、ルートグレードの高い方をちびサンボが登ると決めていた。下部のスラブは乗り込めば上のホールドに届くが、ちびサンボには少し遠いのと、落ちると振られると思うと怖かった。Ryucyanが「すぐアブミ出したら御免やで。」と言いながら5ピッチ目に取付く。最初のトラバース気味の所は緊張したが、途中から「行ける。」と嬉しそうに言ってるのが頼もしかった。核心の10bのルートは逆層スラブだが、スタンスが広めなのと、左に脆いクラックがあったので岩を押さえるようにして登ると難なく抜けられた。次のピッチは長いので、途中で切れたら切ってもいいよと言っていたが、上まで抜けていた。温故知新は非常に快適なルートだった。ダブルロープで懸垂するから早いかと思ったが、意外と時間が掛かった。そして、空腹なので疲れていた。それでもご飯を食べたら元気になるだろうと思っていたら、Ryucyanからの意外な提案。「マジで!時間早いやん。」と言うが、指が攣ると言われたら仕方ない。地蔵東稜の東面スラブルートは登った事ないと言うので、そこだけ登って終わる事にした。1ピッチ目、下から指示するのにその方向に行かず、ピンから遠ざかる左方向に行く。なかなか右に戻れず、ビレーヤーも緊張する。その後は何とか抜けていたが、終了点手前で立ち往生している。ゆっくり考えたらいいと思って待っていたが、ヌンチャクを掴んでも登れないようだ。そんなに難しところ無かったはずなのになぁ~。同じところで30分近く粘っているが、解決できないなら無理だろうと思って、ちびサンボが登る事にした。そこに着くと、ガバは無いが乾いた岩のスラブなのでどこからでも登れそうだった。取りあえずリード交代して取り付くと「ええっ、そんなとこよう歩かんわ」と言うが、滑らなければ大丈夫だ。結果的にはいい時間になり終了した。

お互いに久々のマルチピッチだが、岩のコンディションも良く快適でした。ヒルもまだ少ない時期なので雪彦山に行くなら今がベストですね。また、皆で登りに来ましょう。

▲不行岳北壁
食事メニュー:Ryucyanは夜あんまり食べないのでアテメニューにしました。 夕食:数の子、冷奴、筑前煮、焼きウィンナー、ワンタンスープ、卵焼き、チーズ、トマト

朝食:しらす混ぜご飯、納豆、味噌汁、味付け海苔

メラピークKOBE(兵庫県労山に所属する神戸の山岳会)

初級クライミング雪彦山 登る苦しみ、滑る楽しみ

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