13日
出発前々日まで13,14日は雨予報でした。カノン他バットレスのみチームは山行の変更も考えていました。ギリギリになり14日は回復するだろうと天気予報を信じて計画通りに動くことになりました。今回はバットレス登攀後に南方向の縦走を予定していました。南北方向にJRで計ると15駅程度です。伊那に車を置いて17日の帰りは伊那大島駅から電車を乗って車を取りに行く形となりました。
高速道路の伊那インターを下りたらすぐに安価なコインパーキングがあります。5日間停めていても¥1,500で済みました。このパーキングからタクシーを予約しておいて高遠のバス停まで20分程移動します。伊那駅からもバスは出ているのですが、駅前に安価な駐車場がなかったのと、高遠でのバスの乗り継ぎが悪かったのでコインパーキングからタクシーを使う手段となりました。高遠バス停から市バスで仙流荘、仙流荘から南アルプス林道バスで北沢峠、そして南アルプス市営バスで広河原までとバスを乗り継ぎます。タクシー降車後、高遠のバス停で始発の待ち時間が少しありました。停留所にはバスの職員さんの待機所の様なのがあり、ジャッキーが地元の方とふれ合っていました。ほのぼのとした気分になり、広河原までのバス移動はまるで「いい旅・夢気分」の様でした。
途中、カノン達と仙流荘で途中合流しました。カノン達はバットレス登攀の翌日に下山予定で仙流荘に戻ってきます。合流後、北沢峠でバスを乗り継ぎますが、少し待ち時間があるので装備、食料の受け渡しをしてパッキングをすることにしました。ここでだいだらぼっちが車にロープを忘れてきたことに気付きました。あれこれ考えましたが取りに戻るしか無いです。テント場まで独りで大丈夫ということなので、取りに戻ってもらいました。おそらく3時間程のズレとなります。
13日は終始、雨が降ったり止んだりでした。広河原に到着後、雨が強くなってきましたが、仕方なく本日テント泊予定の白根御池小屋を目指してなかなかの急登を歩き始めます。皆が雨具を着ましたが、僕は濡れるのを覚悟してTシャツ1枚で歩きました。isorokuは雨具を着ず傘をさして登っていました。雨が降っていて風も少しあったので僕にとっては暑くなく心地よくて、いいペースで快適に登れました。はっせーが少しばてている様でした。聞くと一昨日に沖縄家族旅行から帰ってきて昨日はほとんど寝ずに仕事をしていたそうでしんどそうでした。気づいてからはゆっくり歩きます。それでも3時間弱でテント場に到着できました。
テント設営後少し休息を取ってバットレスの取付きまで下見に行きました。大樺沢の左俣を登ってテント場から1時間程でバットレス沢出合付近に着きました。下からバットレス沢・C沢・D沢と順にあります。最初のバットレス沢の入口には大きな岩があります。取付きにはC・D沢間の尾根を詰めていきます。その尾根へは一度D沢を少し越した尾根を少し登るとまたD沢を取付きまでの尾根に戻るよう明瞭な踏み跡が分かります。取付きまで雪渓は無い事も確認できましたのでテント場に帰ることにしました。テント場に戻った頃には時折晴れ間も見え、明日の天気は大丈夫そうと皆が思っていたでしょう。小屋前でビールを飲んでいるとロープを取りに戻っただいだらぼっちが帰ってきたというか上がってきたというか、とにかく無事に合流できました。テントは15日下山のカノン組と縦走のRyuchan組と2張りに分かれています。夕飯はカノン組はだいだらぼっちシェフが外で手際良く焼肉定食を作っていました。肉を焼いているいい匂いがしていました。Ryuchan組はロコモコ丼をこれまたジャッキーが手際よく作ってくれました。ジャッキーはカツオのタタキも持ってきていてそれらは夕飯前のビールタイムに皆で完食してしまいました。明日は3時半発なので早々に就寝となりました。
▲雨の中の北岳ピーク
14日
夜中、結構な雨の音で目が覚めました。「めっちゃ、降ってるやん!」夜中は結構な量で起床時までシトシト降っていました。一応皆に起きてもらって早朝会議を始めました。やはり危ないということで、残念ですが登攀は中止にしました。明日帰らなければならないだいだらぼっち、本日、合流予定のS水の事や総合的な判断でスライドをする事もヤメにしました。この事は計画通りでした。暇ですし、もう少し寝てから北岳をピストンすることにしました。明るくなると少し晴れ間も出てきて、やきもきしましたが結果8時頃から結構な雨になってきました。北岳まで歩いている途中でしたが、やっと諦めがつきました。稜線に出ると風が冷たく雨で濡れていたのでさすがの僕も冷えてきて雨具を出しました。肩ノ小屋で少し休憩をしてから何も見えない稜線をピークまで歩きました。ピークではせめて看板をバックに集合写真をとり、寒いので早々に下山する事にしました。途中、肩ノ小屋で温かいものを飲んでサッサとテント場に戻りました。昼前には到着し、S水と合流しました。S水も一人で北岳ピークハントの予定でしたが天気が悪いのでヤメにしました。S水と合流してから天気が良くなってきて、さすが晴れ女パワーかとせめて明日からの縦走の天気に期待します。しかし、この日の稜線はずっと雲がかかっていました。小屋前のテーブルで昼から宴会です。だいだらぼっちとジャッキーがいろんなあてを作ってくれました。そのままテーブルを占領し尽くして夕飯へと時が経ちました。カノン、isorokuはリベンジの予定を立てていました。ジャッキー、はっせー、だいだらぼっちは秋の槍穂縦走の予定を話していました。話は尽きず盛り上がりましたが、長く飲みすぎて結局皆が早々に就寝となりました。
▲白根御池小屋で全員集合
15日
起きると天気は良さそうで星が綺麗でした。気を取り直して縦走を楽しみます。カノン組は下山です。申し訳ないですがRyuchan、ジプシー、はっせーのロープを余分に持って下りてもらいます。ついでにゴミも。だいだらぼっちは一昨日ロープを車に忘れて、わざわざ車に取りに帰ったのに・・。僕の車の予備キーを預けて
あつかましくロープを放り込んでもらうお願いもしていました。気をつけて帰ってください。
大樺沢の左俣を八本歯のコルを経由して間ノ岳に向かいます。途中コルまでに梯子が連続します。なかなかの急登で疲れましたが、バットレスがよく見えます。すると兵庫労山の仲間が登っているのが見える程です。昨日、小屋前で会って本日の登攀の事を聞いていました。御夫婦お二人です。天気が良くて羨ましい限りです。大声でエールを送ると返事が帰ってきました。第5尾根を登っているところまで何度も止まって観察していました。ルート図を照らし合わすと登るはずだったルートを明確に見ることが出来ました。メンバーにとりあえず説明が出来て良かったです。また皆で企画しましょう!
▲間ノ岳で集合写真
北岳山荘で休憩をして水も補給し間ノ岳までもう少しです。間ノ岳に着く頃にはガスが出てきて絶景は拝めませんでしたが、暑くもなく、寒くもなくとても快適な稜線歩きとなりました。間ノ岳から三峰岳(みぶだけ)へは地図の歩行時間が0:30とありましたがとても着かなかったです。道もあまり良くないので時間がかかります。皆も言っていましたがこの区間の地図時間の設定は辛めでした。三峰岳から三国平までの下りも初めはやせた岩稜で慎重に歩きました。下りはじめて気が付きましたが、どうやら足の指が靴ズレしている様です。靴が小さめだったのを分かって履いてきてしまったから仕方がないのですが、う~ん、痛い。この靴は引退です。
14時過ぎに熊ノ平小屋のテント場に着くことができました。テント2張り出来るいい場所も確保出来ました。水場も豊富でなんかあじのあるいい感じの小屋とテント場の雰囲気でした。ここは来るのは大変だけど、また来たいなぁと思いました。4号テントはRyuchan、ジャッキー、5号テントはジプシー、はっせー、S水と分かれました。4号テントを張って荷物を入れるのに中に入ると「なんか臭い!」そういえば今朝、だいだらぼっちがさんまを焼いていた。しかも、テントのなかで。入口を開放し続けて寝る頃には匂いが消えていることを祈りました。夕飯まで少し時間があるので小屋前のこれまたいい感じのテラス(右写真)でビールを飲むことにしました。ガスが消えて綺麗に見える間ノ岳をバックに写真を撮りました。皆で明日の話をします。明日は行程が長いので水の量を心配しました。北俣岳分岐の手前に水場があると地図にはありますが、本当に水が出ているのだろうか?地元の方とふれ合うのが得意なジャッキーに情報集めに行ってきてもらいました。小屋の大将の話によると、基本的に塩見小屋までは水は無いと思ったほうがいいということでした。水場があっても飲めるものではないらしいとか。小屋の大将も面白くていい人でした。ジャッキーも大将と話が盛り上がっていました。よってジャッキーはメラの「地域ふれあい部長」に任命される事になりました。夕飯は天気がよく外でする事にしました。パスタの茹で方であれやこれやとありましたが美味しく楽しくいただきました。暗くなり寒くなってきたので4号テントで少し飲んで明日は大移動なので本日も早めに寝ました。
▲熊ノ平小屋より間ノ岳
16日
ありがたく、今日も天気は良さそうです。熊ノ平小屋に別れをつげて出発です。塩見岳までの前半はたいしたアップダウンはありませんが、2,600mを超えているのに木が高く、ハイマツも大きくて歩きにくかった印象です。道を作るのに人の肩幅程刈ってくれているのですが微妙に狭くて歩きにくかったです。時々、腰の辺りで邪魔をする「ハイマツのゲート」の通過は結構疲れました。北荒川岳の辺りにくると景色が良く、地図にある通り塩見岳が大迫力で見えます。
▲塩見岳を背景に
稜線で時折目にするマルバタケブキの群がとても綺麗でした。歩きながらずっと見ていた後半の北俣岳分岐までの急登が気になっていましたが、近くまで行くとそれほど急ではありません。登っている途中、一部ガレていて悪いところがあります。下るのは少し怖いなと思いました。塩見岳に着くと少しガスってきました。西峰ピークで記念撮影をして休憩しました。ガスの切れ間から三伏峠方面が見えますがまだ結構ありそうです。天気は下り坂ですので何とか持って欲しいと思い歩きました。塩見小屋は工事中でしたがドリンクの販売はありました。良心的価格のコーラーを飲んで三伏峠まであと少し頑張ります。さんざん歩いてきたのであと少しのようなイメージでしたが最後の3時間半は靴ズレもあったので疲れました。ほぼ地図の時間通り11時間弱かかりました。
▲塩見岳西峰
三伏峠小屋に着きテントを張る頃には天気が怪しくなってきました。早々に外で食事を済ませたいところです。水場は往復20分を看板にあります。皆でくみに行く必要がないとなり、ジャンケンになりました。ジプシー、はっせー、ご苦労様でした。往復30分以上かかっていました。相当下の沢まで下りなければなかったようで、誠にありがとうございました。食事後、疲れていたのか5号テントは早々に就寝につきました。4号のRyuchan、ジャッキーは調子良くなってきて20時頃まで飲んでしまいました。その頃には雨が降ってきました。
17日
朝から結構な雨が降っていました。朝食を4号テントで済ませて、雨の中テントを撤収しました。2時間ほどの下山でしたが、途中、切れた所やツルッといきそうな丸太梯子が結構出てきて慎重に歩きました。大雨になりゆっくりと歩きました。他の下山者にも数パーティー会いましたが鳥倉登山口に着くと、そのまま歩いて駐車場に行く人とバス停でバスを待つ人とに分かれました。
ずぶ濡れになっている我々をバスに運転手が乗せてくれるのか心配になりましたが、席もゆうゆう座れて中で着替え、パッキングも出来たくらいでした。道中、他の乗車客が乗ってきたらどうしようかというくらい、バスの中で皆が荷物を広げ散らしていましたが、どうやら登山者専用バスのようで料金も普通の市バスより高いみたいです。その後、停留所で一応、停車しますが、ほぼ乗ってくることはなかったです。2時間弱の快適なバス移動でした。伊那大島駅についてお腹が空いていたので中華屋で食事にしました。Ryuchan、ジプシーが車をタクシーで取りに行き、その後、帰阪となりました。誠にお疲れ様でした。