アイガーミッテルレギ稜登頂&ブライトホルン登頂 (報告/ちびサンボ)


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(・・・つづき)

12日

他の泊り客は2時頃からゴソゴソしていた。メンヒかユングフラウを登るのだろうか。我々は素泊まりで朝食は無いし、ユングフラウヨッホ駅始発が9時なので早く出ても仕方ない。のんびり準備して出発する。ユングフラウヨッホ駅は色々見るところがあるらしいが早すぎて店は開いてなかった。切符を買いたいのに30分前になっても窓口に人は来ない。どーなってるんだ。もう直ぐ出発時間が来るって時に駅員さんに言いに行くと、乗り場を案内してくれる。切符が無いんだけどと言うがお構いなし。えい、乗ってしまえと取りあえず電車に乗る。こんな朝早く下山する客は居ないらしくガラガラだ。心配しなくても切符は車内で普通に買えた。クライネシャイデック駅で時間待ちがあった。今日は帰って寝るだけなので、登頂を祝してビールを飲んで乾杯した。玉ちゃんが前来た時にパラグライダーしたら楽しかったと言うので、グリンデルワルトでパラグライダーをする事にした。明日は昼から天気が悪いから今日飛んだ方がいいと言うので、言う通りにした。その時間までは洗濯をしにコインランドリーへ行ったり、買い物をしたり、昼寝したり各々自由に過ごした。宿泊先から歩いて10分ぐらいの所にロープウェイの乗り場があった。そこからフィルスト(2167m)まで登って飛んで降りる。私はスカイダイビングをやった事はあったが、パラグライダーは初めての経験。足が宙に浮く瞬間は気持ちよかったが、後はまあこんなもんかという感じだ。もっと上に上がる予定が、上手く上がってくれなくて早くに下に着いた。クレームもんだがドイツ語はしゃべられないし、英語もままならない。一生懸命に状況を説明してくれている。空中遊泳中に撮影した写真とムービー画像はタダであげるとSDカードをくれた。(本当は40CHF取るのだが…)明日、もう一度飛ぶ時間もないし、景色は見られたからまあいっか。

▲グリンデルワルトの町並み
宿に戻って皆とお祝いの晩餐。今日この町はアルペンフェスティバルがあるらしい。少し見に行こうと出掛ける。ここの町の人が民族衣装を着て踊ったり、生のヨーデルを聴いて酔いしれる。ミッテルレギ小屋の明かりや北壁トンネル窓の明かりも見えた。皆は疲れて早々に寝たが、やはり私は眠れない。一人、最後までダイニングで酒を飲んだ。 13日:今日は予備日。この周辺にはハイキングにいい山が沢山ある。しかし、登山列車を使うと交通費が高くつくのでバスで行けるファウルホルンを登りに行く事にした。1800ⅿぐらいまでバスで登る。バスでどんどん登っていくが何となく途中から気持ち悪くなってきた。バスに酔ってる感じはないが胃がもたれてる。バス停に着いて反対を向くと、アイガー、メンヒ、ユングフラウの山々がよく見える。素晴らしい。そこから牛糞に気を付けながらゆっくり登る。ハイキングと言っても、ここからピークまでは800mの登り。このルートは本来下山に使うので、前半はほとんど誰とも会わない。休憩し、景色を眺めながら登る。疲れた体に牛鈴が心地よく聞こえる。途中で蛇口から出ている水を少し口にしたが硬水は美味しいと思えなかった。何とか昼にファウルホルン頂上着。ここからは反対側のインターラーケンやトゥーン湖の景色も見えて360度のパノラマだ。素晴らしい!!持参した「うどんスープ」のジフィーズを食べたが、胃に優しくとても美味しくてホッとした。

▲バッハアルプゼー
ここから有名なバッハアルプゼー(湖)へ。残念ながら湖に移るベッターホルンの姿は見えなかったが、ベルナーアルプスの山並みは雄大で美しかった。そこからフィルストまでほぼ平坦な道を歩く。フィルスト頂上の展望台で景色を眺めながら各種ビールを飲んだが、私は胃がもたれて全く美味しいと思えなかった。

▲フィルストから見るベッタ-ホルン
そこからは歩いて下りる事も出来るが、疲れたのでロープウェイに乗って下山した。明日はツェルマットへ移動するだけなので、買い物したり、荷物をまとめたりしながら過ごした。

14日

9時過ぎにグリンデルワルトを出てツェルマットへ向かう。とうとう、アイガーともお別れだ。ツェルマットに着いたら駅前の観光案内へ向かい、本日から泊まる宿を探すことに。しかし、ここでは案内はするが予約は自分でやれと言う。ええ!ネットは無いから公衆電話から掛けるしかない。玉ちゃん英語頑張って!!小銭を集めて電話するが、聞いた宿はいっぱいで泊まれないと断られる。何ていい加減な案内だ。もう一度観光案内へ行って、何件かの連絡先を聞き、順に電話を掛ける。なかなか繋がらなかったり、空いてなかったりと苦労する。これで宿が取れなかったらどうなるんだろう・・・と不安になるが、何とか3件目くらいの所で取れた。ただ、家主は今は居ないので17時過ぎに来てくれと言われる。取りあえず予約は取れたんだろう。宿を確認しに現地に行くと、家主から頼まれた人が掃除をしに来ていたらしく、部屋を案内してくれた。非常に広くて綺麗。(後から値段を言われたが、ハイシーズンなので4泊5日、3人で600CHF。聞いていた値段より高いが仕方ない。グリンデルワルトより割高だと感じた。)本当にここで大丈夫?と思うが、まあ、何とか泊まれるならいいか。その人はドイツ語で何か話すが全く分からない。ベッドルームやバスルームやテラスを見た後、OK?と必ず聞かれるので、OKとだけ返事する。マッターホルンが登れるか天気確認とヘルンリ小屋の予約をしにガイドオフィスへ。土日の天気は良くない。月曜日から回復予定だがそれでは遅い。一応、アタック予定を日曜日とし、土曜日の小屋予約をするため電話を掛ける。小屋に予約を入れると何しに来るんだと聞かれる。マッターホルンを登りたいと伝えると「Impossible」と返答されたらしい。登れなくても小屋だけに泊まりに行きたいと言うと予約を取ってくれた。ただ、予報は非常に悪いのでやっぱり諦めようと夜は決めた。

15日

山に登らなければする事が無い。2日間散策と言っても景色は望めないし、物価は高いからのんびり街で過ごす余裕もない。部屋に居ると時々晴れ間も見えるしそんなに悪くない気もする。ダメ元で小屋まで行ってみるかと、アタック準備をして出発する。ロープウェイに乗り、そこからは明瞭な道を歩く。ハイキングで小屋まで行く人もいるようだが、今日は天気が悪いのでほとんどいない。途中で山岳警備っぽい服を着た人に会う。どこへ行くのか聞かれたのでマッターホルンを登りにヘルンリ小屋まで行くと言ったら、「天気は今日も明日も悪い。こんな時に登るなんて、Crazy」と言うような事を言われた。やっぱりそうなのかと思いながら登っていると途中から雨が降り出した。雨具を着込んで登っていくと、3000mを越える辺りから雨が雪に変わった。どんどん雪が降って小屋手前では吹雪いてきた。

▲ヘルンリ小屋手前
取りあえず小屋の軒下へ避難。この状況を見たら諦めもついたね。と、皆納得して下山。下山途中の分岐でルートを間違う。まあ、歩いても下りられるハイキングコースがあるので歩こうかと下るが、雨の降る中歩き続けるのは疲れる。途中のロープウェイ乗り場から乗ろうとコースを変えるがこれが大失敗。今まで下ってきた道を延々と登り返す感じで、結局、最初に降りたシュヴァルツゼーの乗り場まで登り返した。これは精神的にかなり疲れた。

16日

完全な休養日。天気は昨日と同じく雨が降ったり止んだりなので各々自由に過ごした。

17日

玉ちゃんはブライトホルンは2回登ったから今回はロートホルンを登ると一人で出かける。私とベタコさんは4000m峰のブライトホルンを目指して一昨日と同じロープウェイ乗り場へ向かう。ロープウェイを乗り継ぎ、途中でイタリアに入る感じだ。

▲グレッシャーパラダイスから見るマッターホルン
トイレをして身支度を整えるが、トイレは2CHF払わないと入れなかった。出たところはスキー場だが、途中でアイゼンを着けるのも大変なので最初からアイゼンを着けて歩く。ここから見えるマッターホルンはちょっと太った形であまり恰好良くない。マッターホルンは真っ白だ。あれだけ雪が着いたらもう登れない。スキー場からの分岐でロープを着けて氷河を歩く。私が先に歩いていたがスピードが速いと注意され、ゆっくり歩くとロープが緩んで踏みそうになり歩きにくいと不満を言われた。その問題を解決する為に、ベタコさんに先に歩いてもらい、私が後ろでロープを操作するようにした。ガイドパーティーが多く、どんどん抜かされる。

▲ブライトホルン
まあ、頂上は見えてるので問題ないだろう。稜線への登りは見えていたより長く、ベタコさんは調子が悪いようで足が進まない。「俺はもう登られへんから、ちびサンボちゃん一人で登ってきたら」と稜線手前で言われる。それでも良かったのだが、もう稜線は目の前だし、ゆっくりでも登れるなら登ったらいいんじゃないかと思い、取りあえず休憩した。頭痛や吐き気がする訳でなく、登りだすと空気が薄いと感じるらしい。私は全く何とも無く元気だった。そこからもゆっくり歩き休憩しながら頂上を目指す。時々青空が見える。頂上で景色が見られたらいいなぁ~と思っていたが、頂上は真っ白だった。何にも見えないけどイタリアの国旗らしきものが頂上に立ててあった。ヤッター、4164m。自己最高峰だ!!見えないながらも写真を撮って下山した。

▲ブライトホルン頂上
スキー場に着いてからはロープを解いた。緩やかな傾斜だがベタコさんは登るのが非常にしんどいと言う。標高が下がってもしんどいと言うのは高度障害ではなく、単純に疲れているんだろう。部屋に戻ると玉ちゃんはとっくに帰って来ていたらしい。運よく、一瞬の晴れ間に湖面に映るマッターホルンの撮影に成功したと。羨ましい!

18日

18時の飛行機なので残りの買い物をして時間をつぶす。11時過ぎにアパートを出発。ちょうど出るころに家主さんが来たので挨拶をして別れる。ツェルマットからチューリッヒまで長い列車の旅。「世界の車窓から」の景色とはもうお別れだ。私は昨夜から目の調子が悪かった。どうも雪目になったらしく夜中から急に目の痛みで目が開けられなかった。ブライトホルン登山の時にサングラスを忘れていたからだ。曇っていたが、標高が高く雪の照り返しがきつかったのだろう。日本の山でサングラスしなくてもこんな事になった事は無かったので驚いた。適宜目薬を点し、冷却して目を休め、痛み止めを飲んでいたら帰国時には治っていた。チューリッヒ発の飛行機は1時間ほど遅れた。我々はイスタンブールでの乗り換え待ちが短くなるので、さほど焦りはなかった。

19日

18時過ぎに無事関空に到着し、今回の山行は終了した。 なんだかんだあったが、目標のアイガーミッテルレギ稜から登頂できた事は良かった。せっかくだからマッターホルンもと考えていたが、天候不良はどうしようもない。また、2座登頂しようと思うなら体調管理が大事だ。天候よくマッターホルンを登るチャンスがあったとしても、全員が元気に登れていたかどうかは分からない。アイガーでは時間が掛かりすぎた。ロープを使い過ぎたからだ。3級から4級ルートなのだから、懸垂以外は使わない覚悟で行動していたらもっと早かっただろう。初めての海外登山でスケールに呑まれてしまっていたと反省する。今回、一番辛かったのは飛行時間。久々の海外渡航で本当にしんどかった。その次は自分の胃腸の弱さだ。乳製品は好きな方だが、連日、本場のチーズ、ハム、オイル系の料理を食べ続けるのは辛かった。時々、うどんや鍋など、日本の出汁が恋しくなった。さすがにベタコさんと玉ちゃんも、最終日前日の朝は食欲が無いと言って食べなかった。飲み過ぎ食べ過ぎもあっただろう。料理全般はベタコさんがメインで玉ちゃんがサポートでやってくれた。ゴミ出しはN嶋さんが主にしてくれた。皆さんありがとうございます。ちょっとしたコミュニケーション不足ですれ違いもありましたが、楽しかったです。次はどこを目指そうか…


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メラピークKOBE(兵庫県労山に所属する神戸の山岳会)

御在所クライミング 北岳から塩見岳縦走の山行報告

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