前穂高岳北尾根~奥穂高岳縦走  (報告/ちびサンボ)


■日 程 : 2015年5月1日(金)夜~5日(火)

■山 域 : 穂高岳

■参加者 :

ちびサンボ
(リーダー)

Ryucyan
■行動日程

1日(金): 21時ちびサンボ自宅集合、Ryucyan車で出発→2:00槍見平駐車場着、車中泊

2日(土):(晴れ) 4:50起床→タクシーで上高地→6:00上高地出発→12:30涸沢ヒュッテ着→13:05出発→15:20前穂北尾根5・6のコル着→幕営

3日(日):(晴れ後時々曇り) 3:00起床→4:50出発→(7:35)3・4のコル→(10:15)3峰ピーク→12:10前穂高岳頂上→12:30出発→14:00紀美子平→17:15奥穂高岳頂上→18:30穂高岳山荘→22:00就寝

4日(月):(雨) 5:00起床→7:30出発→8:45涸沢ヒュッテ→9:30下山開始→11:50横尾→13:10徳澤で幕営→22:00就寝

5日(火):(曇り) 4:00起床→6:00出発→7:30上高地→アルプス街道平湯で温泉→14:30帰神




5連休あるので前穂北尾根~奥穂~西穂の縦走を計画した。本当は慶応尾根からの予定だったが、先週偵察に行ったRyucyanとジプシーの結果から前穂は5・6のコルから入る事にした。ちょうど中日が雨になりそう。例年より雪が少ないうえ、前々週からの快晴続きで雪の状態はあまり良くない。元々3人の予定が2人になったので装備もちょっと重い。色々不安もあるが、行って見ないと分からないので経験のつもりで行こうと決めた。

2日:槍見平駐車場から始発のバスに乗るつもりで起きたらバスが出発した。ゴールデンウィークのため臨時便がたくさん出ていたのだ。慌てて準備するとタクシーの運転手さんが声を掛けてくれる。5人で乗れば一人800円だからと他の3人パーティーに声を掛けて乗せてくれた。ラッキーだ!上高地にはどんどん人が入ってくる。計画書を提出して出発。ほとんど夏道だが、横尾の手前は残雪のため沢筋にルートが取られていた。横尾の吊り橋には鯉のぼりが揚げられていた。本谷橋の所で休憩。ここからアイゼンを履く人達が大勢いた。「アイゼン履きますか」とRyucyanに聞かれたが、ゆるい雪なので問題はないだろう。私達はアイゼン無しで涸沢を目指す。暑くてしんどくてペースが上がらない。小屋が見えてからも遠い。ウンザリしながら何とか昼過ぎに到着。生ビールが私を誘惑する。今日は前穂北尾根5・6のコルまで目指す予定だが、「ここで幕営して1日分の食材を減らして早出するのも有かなぁ」何て事をRyucyanに言ってみるがOKはもらえず、諦めて水の補給をして涸沢を目指す事にした。アイゼンとヘルメットを装着して出発。トレースはあるが本日のものでは無さそう。休憩しながら何とかコルに到着。

▲前穂北尾根5峰
ラッキーな事に整地されたテント跡があるので有難く使わせてもらう。本日はRyucyan特製、ベーコン・ウィンナー・野菜たっぷり鍋だがどう考えても四人分だ。「二人分も四人分も量の違いが分からへん」と、たくさん持って来ている。減らさないと重いので頑張って食べるがキツイ。残りは明日朝へ回すことにした。昨晩ほとんど眠れてないので早々に就寝。無風で快適だった。

3日:昨日の鍋の残りと乾燥そうめんを2人前準備する。絶対に多いと言うのに「食えるでしょう!」と。やっぱり多くて朝からお腹が苦しい。月明かりが綺麗なぁ~なんて言いながらのんびり準備していると1パーティー登ってきた。「やばい。のんびりし過ぎた!」大慌てで片づける。準備できた頃には4パーティーが登ってきていて、うち2パーティーがすでに取り付く。後からも続々と登ってくる。我々は3パーティー目で出発した。取付きはほとんど雪が無く岩稜登りだが、荷物が重くて足が上がらない。途中でソロと若者3人組に先を譲る。まだまだ何パーティーかに抜かれるのを覚悟してマイペースに登る。Ryucyanが先に取り付いたが、途中の雪稜でちびサンボがトップを交代する。5峰はほとんど岩稜、時々雪稜という感じで特に問題はなかった。

▲前穂北尾根4峰
4・5のコルで休憩する。先行の3人パーティーが上部岩壁に取り付いているが、涸沢側にルート取りをしている。ここは奥又白側からの方が楽なのになぁ~と思いながら登りを観察。休憩していると男性一人と女性三人のパーティーが到着し、同じように休憩する。彼らの方が荷は軽そうだが、四人だから抜かれるとまずいと思い出発。ちびサンボが先行して登る。下部は涸沢側のルートを登っていたが、ちびサンボが押さえて乗り込もうとした平たい大きな岩が突然ぐらっと動いた。「わー、この岩動くで。あかん。横から登るから足元見て!」とRyucyanに足場を教えてもらって回避した。あんな大きな岩は落とせないし、乗り込んでたらえらい事になったと思ってドキッとした。Ryucyanが後続のパーティーに「ここの大きい岩、動きますよ」と声を掛けた。それ以外のどの岩も動くから慎重に登る。4峰、上部岩壁もノーロープで行けそうだが、Ryucyanにロープを出しましょうと言われたので出した。1ピッチ目ちびサンボリード。奥又白側に回り込んで40m程登った雪稜の途中でピッチを切る。リングボルトとカムで支点を取った。夏はここから涸沢側に回り込んだ岩場を登るが、雪が付いている雪稜から岩稜の2ピッチ目をRyucyanがリード。ピークまではちょっと届かないので途中の岩場でピッチを切る。ピークまで約15mの岩稜をちびサンボリードで登る。ここでロープを回収。ここから稜線上を歩いて3・4のコルに行けるはずだが、雪稜にトレースがあるので昨年同様、雪稜側を下降する。

▲前穂北尾根3峰~1峰
3峰はほとんど雪が付いていない。3・4のコルで再びロープを結ぶ。大岩下の取付きまでちびサンボがリードで登る。1ピッチ目Ryucyanリード。スラブの岩を乗っ越すのは荷物が重くて苦労する。1番カムを上手く使って越えていた。そこからは奥又白側にルートを取り、大岩の上でピッチを切るはずだが、Ryucyanはバンドの途中でピッチを切っていた。少し中途半端な場所なのでアイゼンで立つには安定しない。2ピッチ目はちびサンボがリード。二本あるチムニーのうちの緩やかな涸沢側のチムニー手前までロープを伸ばす。先行パーティーは中央の深いチムニールートを登っているので苦労している。3ピッチ目Ryucyanリード。先行パーティーの三人目がまだ登り切ってないので、Ryucyanはチムニーを抜けたところでセルフを取って待つ。先行が登ったのでRyucyanが登りだす。「屈曲するからスリングもっと伸ばした方がいいで」と声を掛けるが「うん」と言いながらそのまま登ってしまう。案の定、ロープがめちゃくちゃ重かったらしい。岩が立ってるので大変だったが、少しある氷にバイルを刺しながら何とか登った。4ピッチ目、最後の岩稜手前でピッチを切る。ここから涸沢側の雪稜にもルートを取られているが、夏ルートの岩稜から登れそうなのでそちらを勧める。乗っ越すところは2番カムを使っていた。

▲3峰ピークから見る槍ヶ岳方面の稜線
ピークは雪稜になっていたので、2峰の取り付きまでロープを伸ばした。先行の3人組の姿はもう見えない。ここからはロープを片づけるつもりだったが、Ryucyanがロープを着けて行こうと言うのでそのまま着けて登る。40m程登ったところでピッチを切る。

▲3峰ピーク~8峰への稜線
ここからも右へトラバースするルートと上部の稜線へ抜けるルートとあるが、稜線のルートをRyucyanがリードで登る。懸垂地点でロープを解き、ちびサンボが先に懸垂下降する。1峰は雪稜を上り詰めるルートと、夏道沿いの岩稜と雪稜のミックスルートがある。

▲前穂北尾根1峰
ちびサンボはミックスルートのつもりでロープを片づけたが、Ryucyanは何となく気持ち悪いからロープを着けたいと言う。ええ、こんな所で。と思ったが、不安に思う人がいるなら出すしかないと思い、再びロープを結ぶ。ちびサンボが頂上手前までトップで登る。途中、念のため2番カムを使って支点を取ったが、危険な場所は無かった。ここでロープを解き片づける。頂上に着くと少しガスが掛かってきた。このペースで行くと、奥穂の小屋には18時から18時半頃になるだろうなぁ~と思い、「12時半には出発するよ」とRyucyanに声を掛けて休憩する。

▲前穂~奥穂の吊り尾根


▲前穂高岳頂上
奥穂までは雪があれば稜線通して行けそうだが、雪稜が微妙な感じなので紀美子平まで降りてから行く事にする。奥穂南陵から来た人達が奥穂まではほとんど夏道だと教えてくれる。それなら何とか行けるかと思い、紀美子平を目指し降りるが、雪稜はグズグズで歩きにくい。雪稜と岩稜を降りながら、このペースで大丈夫だろうかと不安になる。遅れて着いてくるRyucyanの様子を確認すると「僕は無理ですわ」と言い出す。「重太郎新道から降りたら行けるんちゃうんですか」と簡単そうに言うが、私は無雪期しかこのルートを降りたことが無いから分からない。また、皆がこのルートから降りないという事は、残雪期はいいルートでは無いんじゃないかと思った。どうしたものかと考える。かなり降りてきたが、前穂のピークに登り返して奥明神沢を下降するか、奥穂までは夏道だと言うので紀美子平まで行けば何とかなるだろうか、重太郎新道はどうなのだろうか、色々考えながら、登ってくる人達に聞きながら悩みながら下降する。奥穂南陵を登って前穂へ登ってくる人達が皆、夏道だから大丈夫と話すのでその方がいいように思う。紀美子平で休憩している二人組が居たので、そこで最終判断しようと決めた。やはり皆と同じ意見で、絶対に奥穂までの方が安全、雪稜トラバースだから楽だと言われる。Ryucyanに奥穂までの吊り尾根ルートでいいか確認する。頑張ると返事してくれたので奥穂まで行く事にした。4時間掛かったとしても18時、まだ明るいので何とかなるだろうと判断して出発する。そこからは雪稜のトラバースが何か所もあり、他は夏道を忠実に歩くだけで特に危険な個所は無かった。時間は掛かったが何とか奥穂へたどり着いた。

▲奥穂高岳頂上
そこから西穂の稜線を見るとトレースがあり、ジャンダルムからこちらへ向かってくるパーティーを見つけた。行けたら行きたいなぁ~と思う反面、クタクタなのでこの体力じゃぁ無理だなぁ~とも思う。

▲奥穂~西穂の稜線
明日は雨なので素直に穂高岳山荘へ下降する。ここもほぼ夏道で行けるのに、最後の梯子の手前は雪稜の下降。弛んだ雪にズボッと足がハマり腹が立つ。何とか無事に小屋へたどり着いた。直ぐにテントサイトの手続きをして、先ずはビールで乾杯した。テントは適当に空いている場所に設営したが、まともに整地しなかったのでえらくボコボコで寝心地が悪くなった。今日は野菜たっぷりのマーボー春雨。明日は徳澤まで下山して、残りの食材を消費して帰ろうという事にしたので、ゆっくり飲んで寝た。


4日:夜中からずっとみぞれが降っていた。寝心地も悪かったので寝不足だ。今日は降りるだけなので野菜たっぷりスープだけの朝食。アイゼンとヘルメットを装着して涸沢を目指す。真っ白で何にも見えないが、トレースは山のようにある。出来るだけ自分の歩幅に合うトレースを探して下降する。もっとツボ足になって歩きにくいかと思ったが、そーでも無く順調に涸沢へたどり着く。涸沢ヒュッテのテラスではKCCのK脇さん、N勢さん、K岡さんが居た。少し酒をいただき、お話ししていると、また生ビールとおでんの誘惑に負けそうになる。何とか我慢して徳澤を目指す。普段の山行ではまず泊まる事の無い徳澤で幕営する。時間が早いのでアテで飲んで、早めの夕食にした。今日は野菜たっぷりワンタンスープ鍋。今回の山行の感想や反省を本音で語り、山に対する思いを話して遅くまで飲んだ。

5日:雨は止んでる。1人前の雑炊を分けて食べて出発。上高地はお花畑なのに、ゆっくり花を見ながら歩くことが無かった。せっかくなので、お花の写真を撮りながら歩く。上高地からは15分おきにバスが出ていた。今日も明日も天気がいいので登ってくる登山者はたくさんいる。あー、やっぱり1日停滞して、西穂までトライすべきだったのかも…と少し考えながら温泉に浸かり、昼過ぎに帰路についた。

メラピークKOBE(兵庫県労山に所属する神戸の山岳会)

白馬主稜 御在所クライミング

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