西大台ケ原サマーコレクション、マルチピッチクライミング報告  (報告/けい)


■日 程 : 2014年9月21日(日)

■山 域 : 西大台ケ原

■目 的 : マルチピッチフリークライミング

■参加者 :

ちびサンボ(L)

けい
■行動日程

9月20日:21時前、会ミーティング終了後神戸出発

9月21日: 0時過ぎ大台ケ原駐車場着、仮眠→6:30起床→8:30レクチャーを受ける→8:45出発→9:00分岐→9:50取り付き到着、装備装着→(10:25)2ピッチ目から登攀開始(けい)→(11:30)3ピッチ(ちびサンボ)→(12:15)4・5ピッチ目(けい)→(13:25)6ピッチ目(ちびサンボ)→(13:50)7ピッチ目(けい)→(14:25)8ピッチ目(ちびサンボ)→(15:00)9ピッチ目(けい)→15:30登攀終了→16:30駐車場着

■装 備 : シングルロープ60m、クイックドロー20本、アルパインヌンチャク数本(大凹角トラバースで使用)、登攀用ザック(2人で1つ)、他一般クライミング装備、カムナッツは使用せず




20日

21時前、神戸での会のミーティングを終えてけいの車で出発。大台ケ原の駐車場に着いたのは0時過ぎだった。昼間に雨が降ったようで駐車場の路面は濡れていたが空は晴れてたくさんの星が見えていた。翌日は高気圧に覆われて晴れる予報。壁も南向きなのですぐに乾くだろうと話しビールを飲んで車で就寝。


21日

6時半に起床。きれいな青空が広がり予報通りのいい天気だ。サマーコレクションを登るのにはビジターセンターで講習を受けて西大台に入る許可証をもらわなくてはならない。天候やクライミングの時間を考えると早く取付きまで行きたいところだが、当日の講習は一番早くても8時半からだった。7時過ぎにビジターセンターの入り口が開き職員の人がいたので、時間を早くしてもらえないかダメ元で聞いてみたがやはり無理。ゆっくり準備をして講習を受けた。講習は15分程度で内容は基本的な登山マナーの説明だった。リードは空荷で登り、セカンドのみがザックを背負って登る事にしたのでヘルメット、ギアを装着し、ロープや食料等をまとめたザックをけいが担いで駐車場を出発。アプローチはシオカラ谷へ向かう登山道を10分程歩いて目印になっている看板から道を外れて踏み跡から水平道を歩いて、赤テープの巻いている木が出てきたらガレたルンゼを下って行く。WEBでいろいろと調べてはいたが予想以上にこのルンゼが悪い。汗をかきながら取り付きまで下りた。今回はちびサンボが行った事があったおかげで迷わずスムーズに辿り着けたが初見だと時間が掛かるかもしれない。取り付きでけいはギアを装着。1ピッチ目はノンプロのスラブだ。岩もカラカラに乾いていて慎重に行けば問題は無さそうだったのでロープは出さずに2ピッチ目まで上がった。

▲2ピッチ目 2ピン目を取るまでが意外と細かくて怖い
2ピッチ目のビレイ点からはルート全体が見える。誰もクライマーは見えず今日は貸切だ。2ピッチ目10aはけいがリード。ここからロープを出してのクライミング。ビレイ点から壁に沿って少し上がって行ったとこから取り付いて1ピン目を取ってビレイ点の真上の2ピン目までトラバースして行くが手も足も小さい。グランドフォールしそうな恐怖でいきなりヌンチャクを掴みたい気持ちなる。なんとかテンションせずに登りきったがこれで10aなの?という感じで少し不安になる。二人で1時間掛かってしまった。3ピッチ目10b/cはちびサンボがリード。トポにはリーチがあれば5.9とある。核心のホールドが遠く、横にはスリングが掛かっていたがちびサンボは細かく足を上げてスムーズに核心をクリアした。続けてけいがフォローで登る。核心はやはりリーチがあれば簡単だった。まだ先は長いのに空が急に暗くなり出したので雨が降ってこないか心配になる。核心の確認だけして後はA0も使い上がった。4、5ピッチ目はけいがリード。4ピッチ目10b/cはサマコレの核心ピッチだ。

▲4ピッチ目 核心部のけい
5ピン目あたりで左のカンテから行くか右のフェースから行くか迷って止まってしまった。イレブンをオンサイトできるくらいの人なら簡単に登ってしまうのだろうと考えていたら、自分のオンサイトグレードが10bだったのに気づいた。下でビレイをしているちびサンボに言うと「今頃?じゃあ頑張ってグレード更新やな」フェースからのルートが正解に見えたので思い切って行ってみると、自分の思っていた通りの動きで核心を抜けることができた。ルートファインディングと細かいスタンスでも落ちない自信があれば悩まずにもっと早く行けただろう。

▲4ピッチ目 核心をオンサイトしたけい
核心から少し上がった位置に4P目の終了点があるが少し被っているのでピッチを切らずに5ピッチ目も繋げて登った。5ピッチ目の終了点は中央バンドの木で取ると聞いていたが新しそうなハンガーボルトが二本あったのでそこでビレイした。20本持って行ったクイックドローも全部使った。5ピッチ目は5.9と易しめだが二本繋げると50メートルになり最後はロープが引っ張られてるように感じる程重かった。6ピッチ目はちびサンボがリード。1ピン目にクリップしてから草木の生えたバンドを左に行って大凹角をトラバースして左上して行ったところで終了点だ。バンドのトラバースは足元は崩れているし、草でスタンスはよく見えない。支点もランナウトしており木でも支点を取っていた。アルパインのルートといった感じてフリー用のクイックドローだけでは怖いだろう。7ピッチ目はけいがリード。階段状の壁を右上してから左へのハンドトラバースだ。足は細かいが大きなガバを持ちながらトラバースして行く。下を覗くと取り付きまで見えていて高度感は抜群。途中ガタガタ動くガバには緊張した。8ピッチ目ちびサンボがリード。中間あたりで少し止まっていたのでどうしたのかと思ってセカンドで登ってみると、疲れのせいもあるかもしれないが5.9より難しく感じた。

▲8ピッチ目 この高度感が最高!
終了点の展望は最高で気持ち良かった。最後9ピッチ目はけいがリード。カンテ左のフェースが階段状で快適そうなのにピンはカンテを右に巻いている。1ピン目と2ピン目が殆んど同じ高さでそのあと上に上がるから長いクイックドローを掛けてもロープが屈曲して流れが悪かった。ホールドも遠い。カンテ沿いを上がって行くと傾斜が緩くなって木の茂ったテラスに着く。WEBで調べているとここで終わりと勘違いしてピッチを切っている人もいたが、まだ最後にハング超えが残っている。上を見るとハングした岩が見えてボルトが一本見えた。ルートは分かったが、ここからは何故かボルトが少なくなる。木にスリングを巻いて支点を作りハング目指して上がるが結局ハングまでにボルトは無かった。ハングを乗っ越したところで木にスリングを巻いて終了点を作った。最後にセカンドのちびサンボが上がって来て全9ピッチ無事完登する事ができた!

▲無事完登!
登攀中は何も食べていなかったのでレーションを食べてギアを片付け駐車場へ戻る。帰り道は斜面を登りコンパスを見て尾根を東に向かって歩くと登山道に出る。帰りに小処温泉に入って帰阪した。 フリークライミングをやるようになってからいつかはサマコレに行きたいと思っていたが会ではフリーをやる人も少ないのでこんなに早く登れる機会が来るとは思ってなかった。自分のリードしたピッチを全てオンサイトで登ることができたが、初めての長いフリーマルチで時間が掛かってしまい、ちびサンボは15時半に終われるように4ピッチ目はA0で登るなど気を使ってくれていた。快適に楽しく登るにはイレブン台を安定して登れる力が要りそうだ。また次回来たときに成長を感じられるようにトレに励んでいきたい。これからの課題はまだまだ沢山あるが今は充実感でいっぱいだ。またこんな楽しいクライミングをやりたい。ちびサンボさん、ありがとうございました。



<ちびサンボ・感想>

サマーコレクションは2年前に初めて登り今回は2回目。その時の印象から、イレブン台を快適に登れるようにならないとしんどいと感じたのでまだ2回目を登る予定にはしていなかった。けいが是非登りたいと言う。彼はイレブン台を登ってるから行けるだろうと思い計画した。ただ、入山レクチャーの開始時間が遅い事と、日が短くなってきているという不安要素はあった。核心は全部けいにオンサイトしてもらおうと思っていた。2ピッチ目からクライミングスタートしたが思った以上に時間がかかっている。フリーは久々のようだしフリーマルチの経験が少ないので仕方ないのかもしれない。1ピッチに1時間掛かっていては終了時には真っ暗になる。そして時々怪しげな雲がかかり雨が降るかもしれない。これでセカンドまで粘ると時間がかかり過ぎる。リードに時間が掛けられるようにセカンドではサクサク登ろうと決めた。4ピッチ目の核心でけいは悩んでいたが、何とか登れた時には「よく頑張った!」と、こちらまで嬉しくなった。おめでとう!昨年末からけいと一緒にフリーをする機会があり、今回は二人でトライすることが出来た。登り終えた時にはけいも初回トライ時の私と同じ事を思っていた。快適に登れる力を着けないといけない。これからもお互いにトレーニングを頑張りましょう。そして、色んなルートにトライしていきましょう。


メラピークKOBE(兵庫県労山に所属する神戸の山岳会)

ロレチュリ登頂は大雪に阻まれる 大杉谷を抜けて大台ケ原へ

Copyright(c) 2009- MERAPEAK-KOBE All Rights Reserved.