北アルプス 剱岳源次郎尾根  (報告/Ryuchan)


■日 程 : 2014年5月2日(金)晩~5日(月)

■山 域 : 北アルプス 剱岳源次郎尾根

■目 的 : 春山の登攀

■参加者 :

L・Ryuchan
(気象、会計)

ジプシー
(装備、記録、医療)
■行動日程

2日(金) : 20:30 阪神今津駅集合~1:45立山駅駐車場(仮眠)

3日(祝) : (晴れ後風雨) 6:40立山駅(ケーブルとバス)~8:00室堂~10:30剱御前小屋~11:15剱沢(テント泊)

4日(日) : (晴れ) 4:10剣沢~4:45源次郎尾根取付き~6:20 I峰取付き~7:10 I峰頂上~7:20 I・IIのコル~8:15 II峰懸垂下降支点~8:40 II峰のコル~9:30剱岳頂上10:00~11:00平蔵のコル~13:15剣沢(テント泊)

5日(月・祝) : (風雪) 6:10剱沢~7:00剱御前小屋~9:00室堂(ケーブルとバス)~10:30立山駅(下山)



5月の連休は初級雪山教室の修了山行の予定でした。アムロさんが急遽仕事で行けなくなり、スタッフだけで立山に行くのもなんなんで、ジプシーと話し合い、剱岳のバリエーションで源次郎尾根と大日岳を縦走して下山する山行を計画しました。しかし、最終日の5日は朝から天気が大荒れで大日岳を諦めて早々に室堂からケーブルとバスで下山しました。大日岳は去年も行けなくて残念でしたが、また来年にとっておきたいと思います。剱岳源次郎尾根は雪のコンディションも比較的良く安定した登攀が出来て快適に頂上までの時間を過ごせました。特に2峰から先のピークまでは階段状にトレースがしっかりと有り楽に歩けました。下りは平蔵谷を下りましたが疲れもピークに達し、剱沢の雪渓をテント場まで登り返すのがヘロヘロになって時間がかかってしまいました。ジプシーはやはり体力があります。行きの登りも必死についていきましたが、最後の登り返しは離されました。ジプシーと僕とのボッカ力の違いを思い知らされました。

5/2、出来るだけ早く仕事を切り上げ、8:30過ぎに何とか待ち合わせ場所に到着できて西宮を出発しました。ジプシーは仕事が休みだったので眠気は無いのか、行きのほとんどを運転してくれて助かりました。しかし、咳がよく出ていてあまり調子は良くなさそうでした。僕も連休前半から風邪気味が長引き咳と痰が止まらない状況で調子は良くなかったです。立山駅に到着して3時間強も眠れたのと行きの車でもそこそこ眠らせてもらったので朝起きた時は僕の調子は良くなっていました。

5/3、5時に起きてすぐに切符売り場に行きましたが、すでに結構並んでいました。二人おにぎりを食べながら並んで、結局始発は乗れずに6:40発のケーブルになってしまいました。室堂に着くと天気は良かったですが風はありました。何度も来慣れている道を歩きます。雷鳥沢の登りは階段状になっているトレースを探して楽をして登りました。別山乗越に来ると雲が多くなってきました。11時過ぎに剱沢のテント場に到着しテント設営後、一服をしました。トイレはちゃんと掘られていました。僕達が到着した頃、テントは7張り程度だったと思います。今日は取付きまでの下見を予定していましたが、テントに入る頃には辺りガスがかかり、雨が降り始めました。視界は20m程になっていたので下見に行っても意味がないので待機していました。結局夕方まで雨はやまず次第にみぞれになっていきました。ガスも晴れなかったので下見は諦めました。事前にちびサンボさんにアドバイスを頂いていたので大丈夫だとは思っていましたが、やはり下見が出来ていないのは少し心配でした。4時頃から食事(塩ちゃんこ鍋)と一杯を始めて18:30に就寝にしました。明日は今日よりかなり気温が下がると聞いていましたが、朝までそれほど寒さを感じることなく良く眠れました。ジプシーも風邪薬を飲んでよく寝ていました。

5/4、2:30に起床して早々に朝飯(餅入り鳥雑炊)を済まし、共同装備の確認をしてパッキングを始めました。4:10に出発をしましたが、前方遥か前に1パーティーのヘッドランプが見えました。30分程で源次郎尾根末端付近に着きました。

▲源次郎尾根取付きルンゼ
同着で他2パーティーがいました。1パーティーは3人組でおそらく20代、もう1パーティーは5人組で30代。どちらも若くて元気そうなので先に行ってもらおうと思いました。事前にちびサンボさんに送っていただいた写真を出して一応、取付きで間違いないか確認しました。バッチリ写真通りのファザードでした。大きな雪のルンゼが遥か上まで上がっていました。早速体力勝負です。何メートル登るのでしょうか?ひたすらキックステップです。時折、傾斜の緩い所はくっきりとしたトレースを探して楽をしました。今朝は気温もかなり下がっているみたいで雪質がよくアイゼンとピッケルがしっかりと効き終始、安定して登ることが出来ました。

遥か上に1パーティー(3人組)、少し上に1パーティー(20代3人組)、僕達のすぐ上にもう1パーティー(30代5人組)、そして僕達二人、少し下に1パーティー(3人組)と連なって登る感じでした。全体が少し詰まっているようでしたので、少し空けるように意識しました。ルンゼの幅の中に3列程トレースらしきくぼみがあり、傾斜が緩くなれば踏み跡が表れる感じでした。各自がそれぞれの列に分かれるようになりました。少し傾斜がきつくなったところでダブルアックスにしました。ルンゼを大きく3つに分けると前半は段々と傾斜が強くなり、中盤は傾斜が強めで、後半は段々と緩くなる感じでした。ですから中盤はあまり休憩せずに一気に登りました。後半の少し緩い所で初めて水分を取る休憩をしました。その後は立って歩行が出来る様になり、Ⅰ峰の取付きに到着しました。

▲Ⅰ峰の登り
ここからは少し岩が顕になっている所を進みます。少し登ると前の5人は左方の岩混じりの雪壁を最短直上している様でした。なんか難しそうやなと思い、ジプシーと遠回りだが右の雪面を巻いた方が緩そうと相談しました。例のちびサンボさんからの写真を取り出し確認すると考えと同じく右から巻いていました。カンニングだらけですが助かりました。右から巻いた所からは先ほどのルンゼより緩い登りでした。稜線に出ると踏み跡がしっかりと階段状にあり、楽にⅠ峰の頂上まで歩けました。そこで休憩をしたかったのですが狭いのもあって、ジプシーも先に行こうとするし諦めて先を行くことにしました。Ⅰ・Ⅱコルまでの下りはトレースをたどって中盤はバックステップで問題なく下れました。コルでも休憩が出来そうになくてそのままⅡ峰に登ることにしました。

▲Ⅰ峰からの下り
登りはトレースをたどるとダブルアックスで登る様な所は無く、ほとんど立って歩行が出来ました。Ⅱ峰の頂上辺りでやっと平らな所が出てきて休憩することが出来ました。少し先でⅡ峰のコルへ懸垂下降をします。久しぶりに口に物を入れようとしたら、さっき追い抜いた5人組がやって来ました。ジプシーはもう行きたそうで、先に懸垂下降をしたいのでしょう。抜かれても構わないので休憩を懇願して座りました。そしたら彼ら5人も休憩しだして、それならと急いでパンを食べて歩き出しました。少しナイフリッジをトラバースしますが、雪も固くアイゼン、ピッケルが良く効くので、先週の北穂東稜を思うと楽勝でした。5人組も追ってくるので早々に懸垂の準備をしてロープを投下すると50mロープ(半分で25m)が下部で3m程余っているぐらいでした。考えてみれば本ちゃんの雪壁でアイゼンを履いて懸垂下降をするのは初めてで、少しの時間でしたが気持ちが良かったです。

▲Ⅱ峰からの懸垂下降
2番目にジプシーも下りてきてコルでロープを片付けます。ジプシーがロープを片付けている時、彼のザックからテルモスがポロっと落ちて平蔵谷まで滑り落ちていきました。実は剱岳からの下りをどうしようかと考えていて、前剱の下りで結構渋滞するとの情報もあったので平蔵谷を下りようかとも思っていました。ジプシーのテルモスのおかげで平蔵谷から下ることが確定しました。

Ⅱ峰のコルから剱頂上まで40分程でした。コルからはしっかりとした踏み跡が階段状になっており楽に上がれました。頂上には20人程いたでしょうか。同じく源次郎尾根からと別山尾根、早月尾根からとまだ、たくさん登ってきています。天気もまだ崩れそうでないので30分程ゆっくり休憩をとりました。

▲最後の剱岳頂上への登り
たっぷり景色を堪能したので下ります。列について行ってしまって早月尾根の方向に行ってしまいました。皆さんロープを出しているのでおかしいなと思い、人に問うと別山尾根はあっちやで!恥ずかしい思いをして少し戻りました。途中、岩稜ミックスをバックステップで下ります。時折、チェーンが顕になっています。カニのヨコバイは完全に顕になっています。メラ通称北村ステップは赤ペンキで印が付いており、しっかりとアイゼンでステップしました。その後、ハシゴを下りて少し行くと平蔵のコルです。ここからは永遠に下りますが、ジプシーは剱沢との出合まで30分で下りると言います。僕は1時間かからして欲しいとお願いをします。トレースを踏んだほうが楽なのか、新しく横を踵で下りた方が楽なのか、ずっと考えながら歩いていました。ジプシーは少し先を行くが時々止まって待っています。先でテルモス片手に手を振っています。あったようです。さほど傷も付いていませんでした。剱沢の出合で休憩です。ここからの登り返しがうんざりとしてきました。ジプシーに先に行ってもらい40分程遅れでやっとテントに着きました。腹が減ってヘロヘロで途中何度も止まりました。

剱岳山頂でジプシーのドコモスマートフォンは電波ありでした。今晩と明日の天気を確認すると荒れ模様でした。夕方から予報通り雲が出てきて風が強くなってきました。時々みぞれも降っています。元々明日は無理しないつもりだったので、中止とし室堂から下山する事を決めました。夕飯はジプシー得意のトマト鍋、締めにパスタを袋全部入れてしまって、めちゃ膨らみました。二人共、腹パンパンです。残りの焼酎を飲み干して今日も18:30に就寝です。

朝起きると風が強いです。レトルートのスープ焼き飯を食し、風の中片付けをしました。朝は風雨で別山乗越まで向かい風で歩くのが大変でした。途中、風で倒されそうになり、何度も踏ん張りました。剱御前小屋で休憩しましたが山小屋の人にも天気はもっと悪くなるので早く下りた方がいいと言われました。寒くはないのですが去年の堂園さんが顔を少し凍傷した事を思い出して目出し帽をかぶりました。別山乗越のトラバースではピッケルを出してゆっくり歩きました。室堂に近づくと風雪になってきて、やっぱり大日岳は絶対無理やったなと思えました。ミクリガ池辺りになると天気が悪いにも関わらず子供連れの観光客がたくさんいました。いつも思うのですが、こちらとひとつ尾根の向こうとはギャップがあるなと。

メラピークKOBE(兵庫県労山に所属する神戸の山岳会)

鹿島槍東尾根山行 県連登攀教育部錬成山行 小川山

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