鹿島槍東尾根山行  (報告/ちびサンボ)


■日 程 : 2014年5月2日(夜)~4日

■山 域 : 北アルプス・後立山連邦

■目 的 : 積雪期バリエーション

■参加者 :

ちびサンボ

N嶋(大阪アルデ)

K林(大阪アルデ)

ベタコ(山歩渓)
■行動日程

2日(金):(晴れ) 18時過ぎ神戸発→0時美ヶ原温泉「ホテルニューことぶき」着

3日(土):(晴れ) 6:50出発→松本駅で朝食→8:45大谷原着→9:10出発→14:30二の沢の頭着幕営→18:40頃就寝

4日(日):(晴れ) 2時起床→3:50出発→5:00第一岩峰取り付き→7:00第二岩峰取り付き→8:20第二岩峰上部→9:30鹿島槍北峰→10:30鹿島槍南峰→12:00冷池山荘着→12:50下山→西沢下降→14:15西俣出合→15:00大谷原駐車場着




鹿島槍東尾根は昨年同時期にトライしたが諸事情により二の沢の頭で敗退した。今回は天候が良い予報。ただ、行くための手段が無くて困っていたところに職場の友人が松本まで車に乗せてってくれるとありがたいお話。当日朝、家に迎えに来てもらって仕事終了後直ぐに出発できるようにした。

2日18時過ぎ神戸発、連休前夜なので渋滞を予想していたが、神戸を抜けるのに渋滞したぐらいで中央道は渋滞なくスムーズに走れ、昼間から集合している仲間の宿へ0時到着した。

3日6時に起床し、友人とはそこでお別れした。松本駅で朝食後大谷原へ向かうが、昨年は一般道にも雪が積もっていたのに今回は全く雪が無い。大谷原では長野県警が計画書をチェックしにくる。雪が少ないので藪漕ぎもあるかもと教えてもらう。本日は非常に暖かい。麓で16度。大汗を掻きたくないので出来るだけ薄着にした。稜線への登りも雪が無い。雪があるとトレースがあって分かりやすいが、無いので赤テープを目印に藪漕ぎしながら登る。稜線に出たくらいから雪渓が出だした。1時間毎くらいに休憩を取りながら登る。昨年は1580m付近でいったん下山、再度登り返したのは1800m付近だったなぁ~などと思い出しながら登る。一の沢の頭手前は雪渓と灌木を行ったり来たりしながら基本稜線上を目指して歩く。藪漕ぎが大変なのでトラバースルートへ行こうとしたが、雪が腐っていて足がはまる。

▲二の沢の頭までの稜線・・・昨年と比べて雪はほとんどありません
余計に危ないのでやはり藪漕ぎの方を選択して稜線上を歩いた。二の沢の頭までも同じような状況が続いた。二の沢の頭にはテントが3張りあった。いいスペースがあったのでここで幕営することにした。テントを張って暫くすると低気圧の通過のためか強風が吹き荒れた。

▲二の沢の頭より
ポールがしなり折れるんじゃないかと心配になる。今回のテントはエスパースの4テンだが、稜線上は背の低いダンロップの方が安定していていいと思った。テントの中で暖を取るが右手が冷たく感覚が無い。右第4指が白っぽい紫色になり少し腫れている。でも痛みは全くなく他の指も感覚が無いので凍傷なのかな?と思った。しかし、指先を触ってみると骨がカクカクと動く。これは折れているのかもしれないと思った。感覚が無いのは冷えているせいか、鬱血して痺れきっているせいなのか・・・温まってくると何となく腫れもひどくなっている気がする。指の色も紫が濃くなっている気がするので血抜きが必要だと思った。針を火であぶって刺して血抜きした。そして、割り箸で添え木してテーピングした。第一関節は折れてなさそうだからこれで行けるだろうと思った。皆も心配してくれているが、核心手前まで登っているのでここから降りるのもけっこうきつい。岩壁を登るのはセカンドなら何とか登れるだろうと判断して、登る方を選択した。稜線を登ってる時で、雪渓と灌木の境目に足がはまり右手でピッケルを抑え込む形になってしまった時に折れたのだろう。仕方ない。19時就寝予定であったが、周囲はもうすでに寝る体制になっていたので19時前に就寝した。こんなに明るいのに眠れるだろうかと思ったが何とか眠れた。ただ、温まると指がズキズキしてきて眠りは浅かった。

4日2時起床、身支度を整え4時前に出発。先行は1パーティーのみ。ヘッドランプの明かりだけだがトレースはしっかりあるので問題ない。

▲第一岩峰
第一岩峰へ着くころにはヘッドランプもいらない明るさになっていた。N嶋・K林パーティーが先頭で行く。指さえ折れてなければ何てことない岩稜上りだが緊張した。2ピッチ目は灌木でビレー、そして雪稜の登り。雪稜を登りきると稜線に出て第二岩峰下部へ着く。

▲第二岩峰
ここも完全に岩場状態。1ピッチで行けるのかもしれないが2ピッチに切った。核心はチョックストーンの登り。ベタコさんが不動の砂被りみたいなもんやと言っていた。実際、そんな感じでスタンスは砂被りよりしっかりあるので問題ない。ただ、私は右手が不自由なので指の代わりに肘を使って登るので辛かった。

▲第二岩峰・・・チムニー、チョックストーン越えが核心
怖いので引っ張り気味にしてもらったが、何とかテンションせずに登れた。そこからは雪稜を延々とトラバースして歩くが、右斜面にして歩かないといけない。右手でピッケルを握ることが出来ないので不安で歩みがのろくなった。万が一滑ってもこの右手では滑落停止出来ないと思ったのでいつもより慎重に歩いた。

▲鹿島槍北峰~東尾根の稜線
なのでかなり時間がかかってしまい、先行のN嶋・K林パーティーとは随分差が開いてしまった。鹿島槍南峰下部で先行していたN嶋・K林パーティーと合流。鹿島槍南峰で集合写真を撮る。ここは爺が岳方面から登ってきた人達でごった返していた。ここからはほとんど雪が無いのでアイゼンを外す。12時に冷池山荘へ到着。少し休憩して西沢から下山。15時に大谷原駐車場へ到着した。下山後、整形外科の救急病院へ直行。レントゲンの結果やはり骨折だったので、もう一度血抜きをしてもらってちゃんとしたシーネで固定してもらった。

▲鹿島槍南峰頂上
今回はかなり雪が少ないので写真で見るような雪稜が歩けなかったのは残念だが、山行としては計画通りだった。私が怪我をして皆に迷惑を掛けたのは申し訳なく思う。治ったらまた一緒に登りましょう。


メラピークKOBE(兵庫県労山に所属する神戸の山岳会)

西穂高岳から間ノ岳山行報告 北アルプス 剱岳源次郎尾根

Copyright(c) 2009- MERAPEAK-KOBE All Rights Reserved.