小同心クラック  (報告/カノン)


■日 程 : 12月27日(金)〜30(火)

■山 域 : 南八ヶ岳

■目 的 : 練成山行

■参加者 :

ココノール

カノン
■行動日程

27日 神戸21:30発→翌2:30着 駒ケ岳SA(仮眠)

28日 駒ケ岳SA 5:00発→6:30美濃戸口着→7:00発→10:15赤岳鉱泉着→12:00赤岳鉱泉着→13:40大同心基部近く→14:20赤岳鉱泉着

29日 7:00赤岳鉱泉発→9:20小同心クラック取付き→11:50小同心の頭着→12:40小同心の頭発→15:35赤岳鉱泉着

30日 7:00赤岳鉱泉発→9:15美濃戸口




事前の天気予報では、あまり芳しくない。28日は冬型で29日には寒気が下りてくる。山岳天気の八ヶ岳の予報でも、気温が低く、風も強く、雪や霧の予報だ。あまり期待はせずに集合場所の県連事務所に行く。今回は、県連の冬山登山学校の講師、スタッフによる練成山行で、まず28日は阿弥陀の北稜を登り、29日にNaさんとShさんパーティは赤岳主稜、Ka会長とNoさんパーティとココノール、カノンパーティが小同心クラックを登る予定だった。ほぼ時間通りに出発して駒ケ岳SAで車の中で仮眠をとる。4:15分頃に起きて朝ご飯にラーメンとチャーハンのセットを食べてから5時過ぎに出発する。先週の山行の疲れが抜けてないのか今回はずっと眠たい。美濃戸口の駐車場に到着後、早々に準備をして出発するが予定より少し遅くなった。空も予報通りどんよりした感じだ。赤岳鉱泉までは、特に問題もなく進み明るくなるにつれて空には青空も時々見えてくる。Ka会長とココノールさんらで話した結果、時間的に厳しいので本日登る予定の阿弥陀岳北稜は取り止めて、明日の下見に12時から、それぞれで行って15時までには戻ってくる事とする。それまでテントを張って中で休憩を取る。今回のテントはお借りしたものだが、新しいゴアテックスのテントで前室のみを作る為のフライが付いていた。時間が来るまでは、やる事もなく少し時間を持て余した。時間になったので簡単な装備のみで出発する。大同心稜を登るのも初めてだったので尾根に入る場所を確認しておく。尾根に入るとすぐに急登となり、トレースもなくなる。ここ数日の雪でトレースはなくなったようだが積雪自体は少ないようだ。大同心が見える場所まで1時間ぐらいで到着する。ここからは、アイゼンを持ってきていたココノールと私で大同心から小同心へのトラバースルートが見える場所まで行って見る事にする。少し登った辺りから雪の量が多くなり、時折腰近くまで潜る。大同心の基部に近いのだが、時間的には無理だと判断して元のルートを引き返す。小屋の前でKa、Noパーティと合流して小屋で身体を温めてコーヒーで一息いれる。

Na,Shパーティは、15時ギリギリに戻ってきた。ルートを阿弥陀北稜に変更したようだ。少しして小屋を出てテントに移動する。火を焚いてお茶を飲んだりするが、ゴアテックスのテントだと熱がみんな逃げていく感じがしてテントの中があまり温まらない。今日の食担は自分で鍋料理だ。いつも通りアゴダシを使う。あとはしょうゆでミリンを入れる。野菜は白菜1/4、大根10cm、ニンジン1/2、揚げ1枚、シイタケ3枚、えのき、豚バラとつみれ、ラーメン2食、丸餅6つ。味が薄くなったので途中で塩を追加。自分が持ってきたコッヘル(19cm)では1回ですべて入れるのはちょっと厳しいので2回に別ける。今日の味付けは今ひとつだったように思う。明日は4時30分に起床予定だ。今回は寒い予報だったので厚めダウンを持ってきた。ダウンの上下に、象足をつけて寝る。朝方は少し寒かったが寝れないほどでもなかった。予報では29日の赤岳の6:00時の気温は-24度だ。テント場ではどのくらいだったのだとうか?

ココノールさんの声で目が覚める。少し寝過ごした。朝も自分の担当だったが昨日アルファ米を作ってなかったのでココノールさんのラーメンに変更する。天気予報では本日の予報もあまり良くなかったのだが、予報に反して朝の時点では快晴だ。しかし気温は予報通り低いようだ。風はどうだろうか? 6時30分出発予定が少し遅れて7時前の出発となる。尾根を少し登っていくと先行パーティ3人組が歩いている。他にもいるのだろうか?踏みあとからは判断が付かない。朝の空気は冷たくて、肺に冷たい空気が直接入っていくのが少し苦しい感じがする。ラッセルを予想していた場所では、雪が締まっていて苦労なく進めて大同心の基部辺りに到着する。

▲大同心


▲大同心稜上部


▲赤岳と阿弥陀岳


▲大同心基部からの小同心
今回の登攀では景色に関しては期待していなかったのだが、逆の意味で期待が裏切られて、このルート全般に、かなり綺麗で迫力があるものだった。何枚か写真を撮りながら進む。基部の岩の部分を少し登ってからトラバースに入っていく。この辺り雪崩の危険性もあったり、雪の状態によっては難しいようだが、今回は特に問題なく取り付きに到着。

▲小同心クラック
取り付きは十分な広さがあります。ココノールさんから順番はどうするか聞かれたので、とりあえず先に行く事にする。手袋をした手ではロープがハーネスのタイインループに入りにくく手間取る。少し先行パーティの登攀を待ってから登り始める。支点が雪に埋もれているせいか見当たらない。岩にタイオフして支点にするが結構ランナウトする箇所が多い。それと今回は風が吹いても顔にあまり直接あたらないように昔のバラクバラを持ち出してきたのだが、口元を開ける為に下げると視界が遮られる。アウターのフードと両方で周りが見えなくて困った。それでもガバホールドが多いので登れる。出だしはスラブで途中からはクラックではなく、チムニーとなってペツルの終了点の2つ目でピッチを切る。2ピッチ目はココノールさんリード、出だしで支点を取るところがなくて暫らく思案して登っていく。このピッチは一旦左側のペツルの支点があるテラスから右に少しトラバースして、再びチムニー状の箇所を登っていく。途中足を広げて右に移動して最後も奥に入らずに手前の方を足で突っ張りながら登ると2ピッチ目の終了点に到着する。3ピッチ目は体は入らない広さのクラックで始まる。ココノールさんはステミングを勧めるが、自分には無理だと思い思案するが、最終的にはとり合えず身体を上げると小さな岩棚に座れてしまう。このピッチもランナウトするが簡単なので、そのまま登るが、もう少し支点をうまく構築する必要があるように思う。広いテラスに出るとペツルの支点があったが、まだ、あまり登っていないし登攀終了点もすぐそうだったのでもう少し上まで行ってみるが、直ぐにペツルの支点があったので、もうないかと思いピッチを切る。下にコールをかけるが声が届かないようだ。ロープいっぱいの声は聞こえたので確保の準備をする。ココノールさんが登ってきて、残り数メートルをそのまま登り登攀の終了となる。ここからは稜線上を。意外とたくさんの人が縦走しているがよく見える。その中に1人がこちらに向かって手を振ってきたので、こちらも手を振って返す。また、ここからの景色もなかなかすばらしい。ここまでは風もなく、天気は登るにつれて雲が増えてきたが、まずまず良かった。テルモスのお湯を飲み行動食を食べて、Ka,Noパーティを待ち、全員揃った所で記念撮影を行う。

▲小同心の頭
ここからは稜線沿いを少し歩き、岩棚を登ってから主稜線にトラバースを行う。トラバースは少し危険な感じがしたので、潅木で支点を取り、ロープで確保しながらココノールが先頭でルート工作を行う。全員一般道に出て歩き始めるが、少し前から雲が湧き出してきていたが、一般道に出ると風が強い。推定だが20m弱位の風も吹いていたと思う。その中を硫黄岳を経由して下山していくが横岳の縦走路で単独行の人とすれ違う。硫黄岳から先では、20人弱位の人とすれ違ったと思う。無事に赤岳鉱泉に下山した。山行前の天気予報からは登れないかもしれないなと思っていたので満足できる内容だったと思う。Sh,Naパーティも既に阿弥陀北稜を登って帰ってきていた。この晩は、全員我々のテントに集まって交流会を行う予定になったので、早々にお茶を飲んで、晩御飯の用意を行う。今日の食担はココノールさんで、2種類のうどんを食べた。4人用のテントで6人入るのでスペース確保の為にザックに荷物を入れて外に出す。皆で色々と話をして過ごすが、Shさんはずっと眠そうだった。8時30分頃にお開きとなり、明日の出発時間を決めるが私とNoはゆっくりで良いんじゃないかと言ったが却下されて明日も同じ時間に出発となる。今晩は昨日よりも気温が上がっているように感じる。

今朝は、昨日の夜に作っておいたアルファ米でおかゆを作る。まあまあな味だ。今日はスムーズに用意が完了だ。今日も天気が良い。予定通りに7時過ぎに出発して、無事に駐車場に到着した。原村のもみの湯で温泉に入り、駒ケ岳SAで昼食にB級グルメのローメンを食べて神戸の県連前に到着した。



感想 ココノール

今回は県連冬山登山学校の講師・スタッフによる錬成山行として小同心クラックに登った。結局登れたのは1日だけであった。幸いにも2日目は気温低めであったが午前中は天気に恵まれ風もあまりなく登攀日和となった。このルートは14年前にフォローで登ったことがあり、そのときは簡単に思えたが今回リードしてみると2ピッチ目の出だしはランナウトして少し緊張感があった。後続パーティでフォローしたNoさんによれば残置支点があったということだった。そのNoさんパーティもリードしたKa会長はそれを見つけられず、やはりランナウトしたそうだ。フォローの場合は余裕で観察できるのかもしれない。課題が残った登攀であった。来期はメラピークKOBEのほかの会員も参加してください。


メラピークKOBE(兵庫県労山に所属する神戸の山岳会)

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