初級夏山教室 剣岳・立山 修了山行報告  (報告/Ryuchan)


■日 程 : 2013年8月12日(月)〜17日(土)

■山 域 : 北アルプス 剣岳・立山

■目 的 : 初級夏山教室修了山行と雪渓での雪上技術訓練

■参加者 :

   〜テント1班〜

Ryuchan(装備)

ジャッキー(食担・会計)

アムロ(医療)
   〜テント2班〜

もりやん(食担・会計)

S水(気象)

ココノール(渉外)
■行動日程

8/12 先発隊(ココノール)朝から出発、後発隊 Ryuchan車(Ryuchan、ジャッキー、S水)20:10 JR大阪駅より、もりやん車(もりやん、アムロ)20:00JR三宮駅を出発→13日1:10立山駅前着駐車場にてテント設営及び車内泊

8/13 6:00立山駅ケーブル発、バスを乗り継いで室堂へ→7:30室堂より行動開始→8:30雷鳥坂で休憩→9:45〜10:05別山乗越で休憩→10:45剱沢テント場着→11:10テント設営完了→18:50就寝

8/14 3:00起床→4:40出発→5:30一服剱→7:35剱岳ピーク→7:50下山開始→10:40剱沢小屋にて反省会→11:15剱沢テント場着→19:00就寝

8/15 3:30起床→5:35出発→5:55真砂岳→6:45大汝山休憩所→7:20〜7:40雄山→8:20一ノ越→9:00室堂着(もりやん、S水は下山)→9:35室堂発→12:10剱沢テント場着→20:20就寝

8/16 3:30起床→5:50出発→6:20下部の雪渓着(テント場間近)、傾斜の緩い雪渓で歩行訓練→7:40別山登り口横の雪渓着、少し傾斜がある雪渓で歩行訓練及び滑落停止の訓練→13:20雪上技術訓練終了→13:40剱沢テント場着→16:30懇親会→19:30就寝

8/17 3:30起床→5:50出発→6:25別山乗越→8:25室堂着→9:05バスで下山→10:10立山駅着(ココノールは17日以降、クライミングメンバーと行動)


はじめに

今年の初級夏山教室の対象者はもりやん、ジャッキー、アムロ。近郊でのトレーニングを経て北アルプスで修了山行となる。もりやんは森林限界を超える高さは初めて、ジャッキーは何十年ぶりかの剱岳、アムロは初めてのアルプス登山で剱岳に行くことになる。3人とも体力はあるので、歩行は問題なさそうだ。今回は岩稜の歩行も混じるので新たな山歩きの経験ができる。パーティーでの行動やテント生活は一度氷ノ山で経験しているがこの修了山行で再度復習をしてまた新たな課題ができたら体得してほしい。スタッフは私のほか、ココノール、S水にお願いした。二人がいたので安心してリーダーを務めることが出来た。ありがとうございました。


行動報告

8/12 大阪組と神戸組の2台に分かれてほぼ同じ時間に出発をした。ココノールは剱沢合宿の最終の交通手段を考慮して一人で朝から出発している。誠にご苦労様でした。途中のサービスエリアでRyuchan、もりやん車が合流しそこから2台並んで走る。サービスエリアで休憩中にもりやんとアムロが話すのが「ザックにものが収まらない。」と言う。クライミングギアもないし、冬山の重装備ではないので、そんなことはないはずなのだが。聞くと、もりやんは毎日の着替えが入っていて、アムロも同じく着替えが多く、ズボンも余分に持ってきていた。それらを減らして車に置いていくようアドバイスをした。順調よく車が進み1時過ぎに到着し3時間ほど寝ることが出来た。テントを1つだけ張ってS水、アムロ、ジャッキーがそこに寝てRyuchan、もりやんは車で寝ることにした。

8/13 早々に朝飯を済まして、共同装備の確認をして皆がパッキングを始める。私の班の食料をジャッキーが分担する。3人+ココノールの1日分を分担するがものすごく重いし大きい。ジャッキー、アムロ、Ryuchanは1人6sほどあるみたい。丸4日の食料であったが重すぎる。ビールも1人4~8本ぐらい持ってあがったので夏山の登山なのにザックがパンパンになった。テント場について中身を確認したら食料運搬の軽量化が全く考慮されていなかった。食材の梱包も工夫されなくそのままで、帰りはゴミがわんさかたまった。調味料もビン丸ごとの物もあり、これらが重量をかせぐ。ジャッキーは今回経験していろいろ工夫しなければならないことを学んでくれたと思う。まだ今回はベースキャンプでの行動だったのでよかったが、縦走になるとそうはいかない。食材のパック化や調味料の容器の工夫は大事である。料理は毎日おいしかったので、もうひと工夫で次回からは軽量化を考慮していただきたい。
例年通り、ケーブルとバスを乗り継いで室堂まで上がる。ココノールが早起きをしてキップの購入で既に列に並んでいてくださった。ありがとうございました。室堂に上がっても晴天で予報では3、4日は天気が良さそうだ。パノラマの景色を観察して、見える範囲のルートを説明する。

▲室堂で立山バックに
記念撮影後に歩き出す。室堂は15、6度のはずだが日差しが強く近郊で歩いているように暑く感じた。途中、雷鳥坂ではアムロのペースが落ちる。やっぱり重いのか時々足が止まっていた。別山乗越まで2度休憩をはさんだ。剱御前小屋で長めの休憩をとり、天気のいいうちに剱岳をバックに記念撮影をする。天気のいいうちに写真を撮りまくっていたが最終日までほぼ全日天気が良かった。剱岳沢キャンプ場までの下りはジャッキー、もりやんがゆっくりと歩く。二人とも膝が本調子ではないみたいで、本番を前にかばって歩いているようだ。早々にテント場ついてしまったので、天気図作成の16:00までかなり時間がある。ミニ宴会を始めて天気図までに夕食の準備をしておいた。もりやんが小さな網を出してきてシシャモを焼いてくれてテントの前が「居酒屋剱沢」になっていた。ジャッキーが米を炊き、アムロが食材をカットしていた。二人とも手つきがよく段取りよく下準備を進める。4時になってラジオを聞き天気図を書く。高気圧が張り出していて明日も天気が良さそうだ。食事の本準備を始める。1班は焼き鳥丼、鍋で鳥を焼き香ばしいにおいがする。2班はすき焼きのようでプライパンでガーリックと牛肉を焼きこれまた、たまらないにおいをまき散らしていた。明日も早いので歓談もそこそこにして就寝とする。

8/14 3時に起きて5時までの出発を目指す。1班食担のジャッキーは朝食の段取りをよく考えていて、前日の夕食時におにぎりを作っておいたり下準備も済ませていたので短時間でかつ腹いっぱいの朝飯が毎日食べることが出来た。Ryuchanがトップで4時40分出発、薄暗かったがすぐにヘッドライトは不要となる。剱山荘に行くまでに雪渓を大小3回渡ったが踏み跡が多くついていて歩行に問題はない。剱山荘で小休止、ヘルメットを装着してここから登りが始まる。一服剱手前で日が昇り出し、赤く焼けた山面がとてもきれいだった。歩いている人は多かったが予想していた渋滞はなさそうだ。

▲カニのタテバイ(アムロ)
前剱を超えてカニのタテバイで少し詰まっていた。皆が順番に間を空けながら登るのでいつもここで詰まっている。我々のメンバーも順調よく上っていたが、途中、下から「ラク」の声がした。メンバーが石を落したのか心配になって振り返ったがよくわからない。後で聞くとアムロが万歩計を落していた。剱岳を登るのに万歩計はつけないほうがいい。彼も反省していた。他は順調に登り3時間ほどで頂上に着いた。

▲剱岳頂上
メンバー皆がパノラマの景色を堪能していた。どんどん登山者が上がってきて頂上がいっぱいになってきたので15分程休憩をして下山をする。今日は荷物も軽いので皆、軽快に下っていく。途中、カニのヨコバイでは皆、足のステップを探しているのでカノンステップを得意げに教えた。この右足のステップは分かりにくいが一昨年も通ったので覚えていたし、よく見たら赤のペンキでマークがしてあった。

剱山荘からは再び雪渓を3度通過するが雪が緩んできて踏みぬきを心配して間をとって慎重に歩いた。剱沢小屋まで着き、ここで冷たい飲み物を購入し1回目の反省会を行った。

今日もお昼前にテント場に帰ってきて、夕方まで時間をつぶす。天気図を書くと明日も天気が良さそうだ。明日は行動時間も今日よりは長いので早めに夕食をとり就寝とした。

8/15 今日は3時半に起床で5時半に出発。ココノールは明日の雪上トレ場所の偵察のためにテント番。今日はS水がトップで歩く。S水ともりやんは今日このまま下山するので荷物は他より重い。別山乗越まで行かずに途中を左に別山に向いた直上ルートを通る。途中ガレている所も多く落石が無いように慎重に歩いた。朝はガスっていたのでそれほどいい景色を見ることが出来ずに歩いていた。景色もよくないので別山はトラバースをしてとばすことにした。雷鳥平側をトラバースの夏道をしばらく行く。真砂岳はピークまで上がることにした。ピークで少し休憩をして口に物を入れる。そのあたりから空のガスがとれてきて景色が見えるようになってきた。ふと見るとブロッケン現象になっていた。何回も見ることが出来た。アムロは初めて見たので喜んでいた。今日は風も少しあり、皆ちょっと寒いと言っていたが私はちょうど心地よかった。富士の折立の登りは思っていたほどガレてはいなかった。それほど多くの人がよく歩いているからだろう。富士の折立頂上付近の夏道は基部まで行かずに大汝方向にトラバースになっていた。5月の連休で雪の付いていた時はもう少し基部まで登った記憶がある。大汝山休憩所で少し休憩をとり、すぐに雄山の神社にたどり着いた。ジャッキーが神社でお金を払って参拝しご祈祷をしてもらっていた。満足げに神社から下りてきた。

▲立山雄山頂上
雄山からの下りはガレているところが多く、上がってくる登山者に石を落さないように慎重に下る。一ノ越に8時過ぎに着いたのだが、このころからたくさんの登山者が登ってきた。もう少し遅かったら、雄山からの下りで時間がかかっていたかもしれない。室堂のターミナル付近になると子供連れの家族も多くなり更に賑やかになっていた。もりやん、S水とはここでお別れ、我々3人はまた雷鳥坂を登らなければならないと思うと疲れてきた。もりやんに気を付けて帰るよう別れを告げる。30分程休憩をとって、コーラーを買ってパンを食べてエネルギーを充填した。ココノールに途中報告で無線連絡を試みたが尾根が邪魔をして届かなかった。少し腹を満たしたところで歩き出した。初日の登りとは違い、荷物が軽いのでアムロは軽快に歩いている。12時過ぎに剱沢テント場に着くとクライミングメンバーの○玉が到着していた。けいとmahoは剱岳登山を楽しんでいるらしい。この日は午後の1時頃から6時頃まで雨が降ったりやんだりしていた。いつものように夕食を外でしていたが最後はあわてて片づけることになった。○玉テントから呼び出しがかかりこっちの3人で出向いてミニ2次会が始まった。毎日7時頃に就寝していたが今日は1時間ほど残業をした。

8/16 今日は雪上技術訓練(参加者:○玉、ココノール、Ryuchan、maho、けい、ジャッキー、アムロ)。最初はテント場を少し別山方向に上がった傾斜の緩い雪渓で歩行のトレーニングをした。直上、直下降、トラバース、斜歩行、斜下降それぞれを何度かして、今度はアイゼンを装着して同じように歩く。ツボ足では登山靴のエッジを効かせて歩いたのと反面に雪面に対してフラットにアイゼンの爪を置くように指示する。後は足の左右の間隔を広めに歩いてアイゼンを引っかけないようにして歩くことを心掛ける。一通りこなすと別山ふもとの傾斜がある雪渓に移動した。ここは前日にココノールがバケツを掘ってくれていた。下部と同じように歩行の訓練をした。傾斜があるので皆が慎重に歩いていた。

▲雪上トレ(滑落停止のけい)
次は滑落停止の訓練、最初に見本をみせろと言われたので緊張したが労山方式で一応形通りに止まれた。mahoはくるっと体を反転させて岳連方式できれいに止まる。ジャッキー、アムロは初めてするので最初はうまいこといかない。労山方式で胸でピッケルを押えるのがうまくいかず、脇も開いてしまっていた。何回も挑戦して段々形になってきた。グリセードも練習した。私は苦手なのだが去年のトレーニングよりはうまくできたと思う。しかし時間が経って雪がだいぶ緩んできてうまく滑らなくなってきた。スコップで掘って固い面を出し1m程の垂壁を作り、アイゼンの前詰めだけで登る練習もした。雪面がそんなに固くないので難しかった。皆がこれを一番むきになってしていたような気がする。皆が熱心にトレーニングをしていたので時間が経つのも早い。昼頃になってきたので最後に更に上のきつい傾斜をキックステップで登ろうということになる。アムロ、ジャッキーは慣れていないので疲れたみたいだ。アムロは途中アイゼンが片足外れて焦っていたがココノールがすぐ後ろをフォローしていたので対応してもらった。アムロに後で聞くと外れた時はかなり怖かったみたいだ。遅れてアムロが登ってきて少し休憩をしてもらって、今度は下降。バックステップでピッケルとアイゼンを確実に効かせて下りる。1時半頃に雪上トレを終了とした。今日はそろそろカノン、JIKA-TABIがテント場に到着するころだ。テント場に帰り二人の到着を待つ。今日は最大の9名、宴会をすることになっていた。それぞれの班が料理を作りビールで乾杯。夕方になって雲が出てきたが何とか雨は耐えてくれた。話に盛り上がったがクライミングチームは朝が早いので7時にお開きとした。ここに4日間いるなか、それぞれの班のバラエティーにとんだ食糧を見てきたが皆がおいしそうなものを考えてきて、すごいなと感心していた。明日も天気は良さそうなのでクライミングチームの安全と我々3人が無事に下山出来るように祈って就寝についた。

8/17 3時半に起きて朝食の準備をしているとごそごそとクライミングチームが出て行ったみたいだ。声をかけることが出来なかったのが残念であったが改めて無事を祈る。今日は帰るだけなのであわてることはないのだが3人ともいつものスピードで準備と片付をして早々に出発できた。久しぶりに荷物が重いので気を付けて歩くように話した。ジャッキーはここにきて膝が痛くなってきたのか、別山乗越からの下りに時間がかかっていた。連日の疲れが溜まってきたみたいだ。アムロもそれに合わせてゆっくりと下る。二人ともよく頑張ったと思います。9時過ぎのバスに乗れて下山が出来た。まず何事もなく合宿が終わったのでほっとした。帰りの車では渋滞にも巻き込まれずに夕方5時頃に大阪に着くことが出来た。

メラピークKOBE(兵庫県労山に所属する神戸の山岳会)

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〜パキスタン・アフガニスタンの
国境地帯を歩く〜

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