八ヶ岳・中山尾根山行報告  (報告/ちびサンボ)


■日 程 : 2013年1月11日(金)夜から14日(月)

■山 域 : 八ヶ岳・中山尾根

■参加者 :

ちびサンボ

K部(山歩渓)
■行動日程

11日(金):22時大阪発夜行バスに乗車→翌朝(6:10)韮崎でK部さんと合流

12日(土)晴れ:美濃戸口駐車場(7:00)→(7:30)→赤岳鉱泉テント場(10:20)→中山尾根偵察へ出発(11:45)→中山尾根取り付き(13:00)→1ピッチ登攀後戻る→テント場(15:00)→就寝(21:00)

13日(日)晴れ:起床(3:00)→出発(4:45)→登攀開始(6:15)→日の岳頂上(10:15)→赤岳頂上(12:30)→中山展望台(14:00)→赤岳鉱泉テント場(14:40)→就寝(20:00)

14日(月)雪:起床(3:30)→出発(4:45)→大同心岩壁基部(7:00)→稜線(8:00)→硫黄岳頂上(9:10)→赤岳鉱泉テント場(10:10)→美濃戸口駐車場(13:15)→帰神(翌日1:30)




昨年、八ヶ岳の石尊稜、赤岳主稜を登ったので次は中山尾根と考えていた。中山尾根を登るには不動岩の砂被りをアイゼンで登れないといけないと聞いた事があった。山行の1週間前にトップロープではあるがアイゼンで登れたので準備はひとまずOK、気合十分でチャレンジする事になった。


12日

K部さんに韮崎駅へ迎えに来てもらい美濃戸口駐車場へ。装備を着けて準備しているとメラの初級メンバーも車で到着する。私達は一足先に出発した。K部さんは先週も八ヶ岳へ来ているが、その後雪が全く降って無いので雪が少ないと言っていた。私もこんなに雪の少ない八ヶ岳へ来るのは初めてだ。ただ、気温は低いのでアイスバーンに神経を使う。途中で車が身動きとれなくなっていてJAFを呼んでいた。赤岳鉱泉でテント設営後、中山尾根の取り付き偵察へ向かう事にした。中山尾根分岐から延々と樹林の登り。寝不足の為か体が重く歩みはのろい。

▲中山尾根取り付き
中山尾根のトポではスタートは右に下がり凹角を左上となっているが、凹角が崩壊している。目の前にペツルがあったのでそこからスタートだろうと判断し、時間があるので1ピッチだけ登る事にした。壁には雪が全くなく、不動岩で手袋を着けてアイゼンで登るような感じだ。ただ、岩が脆くて剥がれそうで怖い。終了点はペツルでしっかりした残置ロープが付いていたが、念のためバックアップのスリングを残置して懸垂下降した。取り付きは風が抜けて寒いので、明日は取り付き手前で装備を着けて登ろうと計画した。下山後、時間は早いのでつまみとビールで明日に向けて乾杯。夕食はK部さん自慢の鴨鍋。美味である。その後、少し飲み足りなかったので小屋に行くと前橋労山のH君がいた。久々に3人で少し話をして気分が良くなり、もう少し飲みたくなってワインのフルボトルを2人で空けてしまった。19時か20時には寝ようと言っていたのに、もう20時を過ぎていたので慌てて戻って寝た。


13日

3時起床。星が出ていて天気は良さそうだ。明るくなる頃に登攀出来るように、汗をかかないようにゆっくり歩いた。6時に取り付き手前に到着。ここで防寒対策にダウンを着て、ロープを出して明るくなるまで待機の予定が、後ろからヘッドランプの明かりが見えてきた。これはマズイと思って取り付きまで登る。明るくなるまで待ちたかったが、そういう訳にもいかずヘッドランプの明かりを頼りに登る事にした。1ピッチ目(III+)ちびサンボリード。昨日、登っているので支点は分かる。ただ、ホールドもスタンスも私には少し遠かったので、AOしながら登った。昨日、K部さんは中間から右の崩れた凹角を登ったが、私には手足が遠くて苦しかったので左の方にホールドを探した。すると、何となく登りやすそうな所を見つけられた。セカンドのK部さんにも「綺麗なライン取りが出来てる。これが正解や。」と褒められた!2ピッチ目K部さんリード、目の前の凹角を登るが、微妙なホールドとスタンスで苦しい。アックスが利かせられたらいいが、雪が無いので這いずり上がるようにして登った。ここからビレーしてもらった状態で雪稜を次の支点までちびサンボが歩き、少し広くなって安定した所でロープを引き上げK部さんに登ってもらった。ここからは岩と灌木交じりの雪稜なので、約100mをコンテで登る。そこから雪と少し外斜した岩の登りになったので、念のためにビレーをする事にした。ちびサンボリードで上部岸壁の取り付きまでを登る。

▲中山尾根 上部岸壁
ここからは地蔵尾根を登るパーティーが良く見える。会のメンバーは今頃どこだろうかと思うが、大人数のパーティーがどんどん登っているので全く分からなかった。ここから核心の5ピッチ目(IV+)凹角の直上、K部さんリード。支点の右から登って凹角に入る方が簡単そうなのでそのルートを行く。セカンドでちびサンボが登っていると、後続の男性が直上ルートを登ってきた。何回も中山尾根を登ってるので良く知ってるし上手い。でも、3人パーティーなので抜かれる訳にはいかず、急かされるように凹角を登る。ここを登るために不動岩の砂被りをアイゼンで登る練習をした。その成果はバッチリ!砂被りよりスタンスは大きくホールドもあったので、よく見て少しずつ足を上げて行けば登れた!凹角を抜けて上まで行くと50mだが、声が届かなくなるのでここでピッチを切っていた。6ピッチ目ちびサンボリード、岩稜から雪稜を登る。7ピッチ目K部さんリード、草付きと岩のミックスした雪稜。8ピッチ目ちびサンボリード。岩場の直上と左の草付きを巻くルートがあったが、せっかくなので岩を登り、左に巻いてピナクルの頂上に出る。稜線に出るので風がきつく声が届かず、岩を巻いてるのでロープの流れが少し悪かった。何とか合図して登ってもらった。ここから右へバンドをトラバースして一般道へ行く事も出来るが、せっかくなので凹角(IV)を直上する事にした。9ピッチ目K部さんリード、凹角に入る手前で右へ移る所のバランスが悪く怖かった。それ以外は難しくなかった。10:15登攀を終了した。

▲中山尾根登攀終了後 日ノ岳頂上
時間が早く天気が良かったので、このまま赤岳まで縦走しようという事になった。赤岳展望荘で休憩し、カレーうどんを食べて体を温めて頂上を目指す。休憩したにも係わらず赤岳への登りは体が重くしんどかった。頂上で360度のパノラマを満喫して文三郎尾根を下山する。それでも時間が早いので中山展望台に登り、今日歩いたルートを確認した。

▲中山展望台 中山尾根全容
ここへ登ったのは初めてだが、ここからの展望は最高だ!ルートを観察しながら明日は大同心稜から硫黄岳を縦走して帰ろうと決めた。まずはビールとワインで乾杯するため小屋の談話室に入る。赤ワインフルボトルを1本、今日も空けてしまった。テントに戻って豚シャブ鍋を食べて20時には就寝した。


14日

3時起床の予定が目覚ましを止めてしまっていたみたいで3時半になった。まあ、昨夜のうちに準備していたのでそれ程時間は掛からず、4:45に出発した。気が付かなかったが夜中から雪が降り始めていてずっと静かに降っている。今日は全く展望なしだ。大同心沢から少し歩いて左の樹林帯に入る。ヘッドランプの明かりで樹林帯を登る。大同心の岩壁基部に着く頃にヘッドランプが要らない明るさになった。基部を右に巻いてルンゼを登り稜線に出るが、ちょっとした岩と雪のミックスで緊張する所もあった。

▲大同心稜への登り


▲大同心稜
稜線に出る手前でゴーグルをつけようと思ったが、すでに凍っていて役に立たないので裸眼で登る事にした。稜線に出ると吹雪だ。雪が舞ってどこを向いても目に入る。よろよろしながら、高山植物を守るために立てられているポールを頼りに稜線を歩く。トレースは全く消えているし、風がきつく寒くてペースも上がらない。私が先を歩くが時々K部さんと距離が開く。離れてはいけないと思い、ゆっくりゆっくり前へ進む。体力が無かったらこんな所で低体温症になるんだろうなぁ〜等と思いながら歩いた。

▲硫黄岳頂上
硫黄岳頂上から下山道は、いつも右を巻いて降りるがK部さんは標識のある左から降りようとしている。私はいつものルートから行こうと降りK部さんを呼ぶがK部さんは着いて来ない。離れてはいけないと思ったので稜線に戻った。その時、風が舞いホワイトアウトになった。一瞬方向を見失って「マズイ。遭難する」と思った。しばらく風に耐えて、標識のある方へ降るとK部さんはそこで待っていた。そこから一緒に降るが、とにかく吹雪で目が開けられないし、トレースは消えてるし、視界不良で辛かった。時々遠くに見える赤岩の頭の標識に向かって降った。稜線から降ってようやく一息着く事が出来た。昨日とは雲泥の差だ!約1時間で下山。会の仲間が帰り支度をしていた。私達も早々にテントを片づけて下山した。駐車場では一晩で大雪が積もり車が動かせない。雪かきをして車を押したりしながら何とか駐車場を出た。帰りは関西へ戻る会の車に乗せてもらって帰るが、大雪で高速の中央道が閉鎖している。温泉に寄って、ご飯を食べて帰宅は翌日の1:30になった。東京へ帰るK部さんは20時間かかったそうだ。恐るべし大雪!!

今回の中山尾根は天候に恵まれた事と、トレーニングの成果が発揮できて充実したものとなった。雪が少なすぎたのは如何なものかと思う所もあるが、まぁ、経験を積んだという事で良しとしよう。雪が少ないせいでアックスがあまり使えず手で岩を持って登る事が多かった。ミトンを着けては登れないのでウールの手袋で登ったが、滑りそうで怖かったし、はやり冷た過ぎて手が悴んだ。手袋でも余裕で登れるようになるにはやはりフリーの力が必要だ。今年はフリーも頑張らねばいけないと思った。

使用した装備

シングルロープ10mm60m(50mが無かったので)、クイックドロー(60cmテープスリング)8、安全環4個、ルベルソキューブ1、120cmテープスリング1、残置用5mm100pロープスリング1、リンクカム#2、キャメロットC4,#1

メラピークKOBE(兵庫県労山に所属する神戸の山岳会)


北山公園ボルダー教室
初級雪山補講報告
八ヶ岳(渋の湯〜美濃戸口)

Copyright(c) 2009- MERAPEAK-KOBE All Rights Reserved.