小川山クライミング報告  (報告/ちびサンボ)


■日 程 : 2012年6月28日(木)夜発〜7月1日(日)

■山 域 : 奥秩父山系 小川山

■参加者 :

ちびサンボ

K部(山歩渓)

H(山歩渓)
■行 動 :

28日(木) 夜行バスで東京

29日(金) 東京でK田部さんにピックアップしてもらい9:30廻り目平、菊地クライミング講習会に参加、(屋根岩2峰セレクションルート、親指岩・小川山レイバック)

30日(土) 5:00H君合流、烏帽子岩左稜線6:30スタート、16:15頂上、17:30廻り目平着

(1〜4K田部リード、5〜9ちびサンボリード、10〜12Hリード、13〜14K田部リード、15Hリード、16懸垂下降、17〜18K田部リード)

7月1日(日) 5:00起床 6:40出発、ガマルート(マルチのリードトレの為、H君全てリード)7:20スタート、10:00頂上着、11:00解散、温泉に入って品川駅までK田部さんに送ってもらい新幹線で帰神




小川山に行くのは全くの初めて。しかも、小川山はちょっと難しいし、私の苦手なクラックばかりだと聞いていたので不安がいっぱい。K田部さんが菊地敏之さんのクライミング講習会に入っているので、私もクラックを教えてもらおうと思い1日講習会に参加した。

28日の夜行で韮崎まで行ってK田部さんに迎えに来てもらう予定だったが、予定のバスに乗り遅れ、京都から東京行きへ乗る事にした。その事をK田部さんに連絡して、東京で拾ってもらい小川山へ。約束の9:30より少し早く到着したのでテントを設営。マルチルートを登りたいと希望し、屋根岩2峰セレクションルートを登らせてもらう事に。そこの取り付きでまずテーピングのし方を教えてもらう。取り付きにある2本の木の間をクラックと仮定して練習する。上手く決まらず苦戦する。ダブルロープで菊地さんに登ってもらう。

▲屋根岩2峰 1ピッチ目を登る菊地敏之さん
(1)5.7短いルートのクラック。菊地さんの指導通りにしようとするがなかなか上手く決まらない。何とか耐えながら登った感じ。

(2)5.8スラブ。傾斜はそれほど無いがスラブはやはり緊張する。

(3)ブッシュからチムニーを登る。(4)5.8クラック。下部がワイドに広がっているので乗り込むのが難しい。前の木に足を掛けて登るが、足が届かず滑ってテンションした。

▲見た目より難しい4ピッチ目のクラック
(5)5.7トラバース。ここから上へ抜けて終了する人もいるようだが、ここはトラバースして残り2ピッチ登るのが正解らしい。このトラバースが一瞬怖い。

▲出だしがちょっと怖い5ピッチ目のトラバース
(6)5.9クラック。バランスを取りながら手足を入れ替え登るのが難しい。何とか登らせてもらった感じだ。ここで終了。

50m懸垂で一気に降りて廻り目平へ戻る。少し時間があるので小川山レイバックへ連れて行ってもらう。

▲小川山レイバック
K田部さんは2回フォローで登った事があるらしい。私は初めてなのでトップロープでお願いした。最初に菊地さんが見本で登ってくれる。K田部さんも最初はトップロープで登るのかと思ったら、いきなりリードで登る事に。かなり緊張し呼吸の荒い登りだったが、菊地さんのアドバイスを受けながら登りきった!おめでとう!!私はK田部さんが掛けて行ったカムを外しながらトップロープで登った。凄くしんどかった。次に、小川山レイバックは2ピッチあるんだと教えてもらう。その2ピッチ目を登るために再び菊地さんがリードで登る。フォローでK田部さんとちびサンボが登る。2回目は何となくクラックへの決まり具合が分かって、かなり早く登れた。ちょっと楽しくなってきた!2ピッチ目はハンドで登る感じ。短い登りだが面白かった。頂上は景色が良かった。

30日、4:00H君到着。朝ごはんを食べながらゆっくり準備をして5:40出発。トポに書いてある「落ちそうな白い石」は昨年落ちてしまったようだが、トポ通りに歩いて行くと取り付きに到着した。6:30K田部さんリードでスタート。

(1)「汚い溝を登る」とトポに書いてあるが、その通りで木がグラグラで良くないルートだった。

(2)クラック5m直上後、右へトラバース。右へのトラバースに手が届かず怖かった。

(3)ダブルクラックを登りバンドを右へ。ここもクラックの最後がワイドで手が決まらずしんどかった。

(4)階段状の岩棚からてっぺんの木まで。上部は細かいホールドを持ってスラブを登るが乗り込むのが怖かった。ちびサンボリードへ交代。

(5)、(6)、(7)岩稜とブッシュ歩きのミックス。支点はほとんど木や岩だが、終了点にはそれなりにいい木やハーケンがあった。

(8)リッジ上を上がり、岩のテラスが終了点。見晴らしがよく気持ちいい。

(9)カンテがちょっと怖くてやや右側から登った。H君リードへ交代。

(10)一瞬怖いトラバースからリッジの頂点へ。ここでH君がまだ先へ行こうとする。U字に屈曲するからロープが流れない。H君が行きつ戻りつしながら支点を探している。U字に屈曲した先に支点を作った。行ってみると屈曲する手前のリッジの頂上、岩の割れ目に杭があった。カムを使ったり、岩にスリング掛けたり出来るやろうと、K田部さんや私ならどこで取るかを指導。半分登ってきたし、昼前になったのでここでちょっと休憩。

(11)L字に曲がる快適なリッジ。K田部さん側のロープをL字の手前で掛けてないので、切れた電線のように垂れ落ちている。ビレー点もメインロープを岩全周に巻いてセルフを取ってるから、次にリードで登るH君はスタート出来ない状態。カムを使えば支点構築出来るのに、どうもカムが苦手なようだ。

(12)少し下り、リッジから少し登ってクラック基部へ。支点が上手く取れずにロープが電線状態。終了点は木しかないが思うような良い木が無くて苦労している。腰をかがめてしんどそうにビレーする事に。K田部さんリードへ交代。

(13)有名な美しいハンドクラック。昨日練習したから大丈夫かと思ったが、足は決まれば痛いし、手がなかなか決まらず苦労する。荷物もあるからバランスを取るのが難しい。高度感もあって怖い。

▲烏帽子岩左稜線 13ピッチ目の美しいハンドクラック


▲烏帽子岩左稜線 本峰

(14)稜線を歩いて本峰頂上、さらに10m降った木からリッジの懸垂下降。

(15)クラックの走ったリッジからガレたチムニー登り。自然の物で支点を取る練習のためH君のリードへ交代。今まで注意した事に気をつけながら、カムを駆使し、木で支点を取りながら登って行った。

(16)約10m懸垂して、歩いて岩の基部へ。ここからエスケープも可能。今まで結構時間がかかってるし天気も崩れかけてるし、下山の事も考えたら止めようかとも思ったが、K田部さんリードなら何とか行けるだろうという事で残り2ピッチK田部さんリードで登る事に。

(17)ワイドクラックを登ってチムニー基部まで。ワイドクラックは手が無く見た目より登りにくかった。


▲烏帽子岩左稜線 最終ピッチのチムニー
(18)チムニー登りだがこれが結構難しい。K田部さんは途中で外側に出てきてしまい、チムニーの中へ入り直す事に。ここでうっかりしていた事に気が付く。御在所で、チムニーはザックがあると登りにくいから後から引き上げた事を思い出した。K田部さんに「ザックを後から引き上げるから、支点に掛けて残しといて」と声を掛ける。2番手はちびサンボ。ザックを置いてあるところまでちびサンボもザックを背負って登る。そこでいったんセルフを取り、H君のロープを緩めて下に垂らして8の字を作り、K田部さんのザック、ちびサンボのザック、H君のザックを先に引き上げてから登った。上部のチムニーは膝を完全には曲げられないので、芋虫のようにちょっとずつ、ちょっとずつ登った。途中、ハーネスの足のループが下がる感じがあったが、何とか登りきった。登って見てみると、ハーネスのレッグループを止めている金具が、チムニー登りで引っ掛かってウエスト部から外れたようだ。こんな事が起こるなんてびっくりだ。H君も問題なく登ってきて16:15終了した。スタートから約10時間。しんどかった。

▲烏帽子岩左稜線 登攀開始から10時間後
下降は終了点直ぐ先のコルから右へ降ると、比較的踏み後もしっかりして分かりやすかった。間違って左に行く人がいるらしく、それは大変困難なルートになるそうだ。1時間ほどで廻り目平に到着した。焚き火をして、バーベキューをしてゆっくりした。

7月1日、5:00起床。ガマルートを登る。(1)5.6、緩い傾斜のスラブ。終了点は木を使って上手く取っていた。歩きで右方向から上へ抜けて、左へ道成りに歩くと2ピッチ目の取り付きへ到着。(2)5.9、宮崎比叡山のスラブを思い出す。下部は手が無く、一瞬滑りそうになってしんどかった。終了点にはペツルがあった。(3)5.8、階段状のところを真っすぐ上に上がるが、H君は右にある段のところを登ってからそのまま右へ右へと難しい方へ登っている。そして、ジグザグにルートを取ってしまった。下から真っすぐ上を目指せと声を掛けるがどうも分からないようだ。2番手のちびサンボはH君の後を登ろうとしたが怖くて登れない。右にある1ピン目のヌンチャクを回収してからクライムダウンして真っすぐ上に登り直した。とても簡単だった。2ピン目、3ピン目もジグザグに取ってる支点を回収しながら真っすぐ登ると、何の事は無い登りだった。そこからまた少し歩いて次の取り付きへ。(4)5.7、この頃から天気が怪しい。H君またまた悩みながら登っている。ロープが出たり10mほど落ちてきたりを2回ほど繰り返す。終了点で悩んでいた様だ。トポではそこで終了せず上まで登るようになっていたが、ロープが足りなくなったら困ると思って途中で切ったようだ。確かに悩みどころの場所ではあったが、早く判断しないと時間ばかりかかってしまう。天気もいよいよ悪くなってきた。(5)5.4、コンテで壁の下まで行き、残り10m程は階段状のところから簡単なスラブを登る。10:00頂上着。懸垂支点は二つあるが、1個はかなりボロイ。しっかりした懸垂支点を使い、50m一気に下降する。とうとう雨が降ってきた。もう少し遅ければ大変な目に合うところだった。10:30廻り目平へ到着。片づけして11:00に解散した。

今回、H君とマルチの練習を目的としていたが、去年の屏風岩も一緒に行ってるし大丈夫だろうと思っていた。H君はフリーをやってるから登れるけど、マルチの流れを全く忘れていた。ビレー解除と声を掛けてないのにどんどんロープを引っ張ろうとする事が2回ほどあった。中間支点の取り方も分からなかったようで、落ちたら怪我するだけですまない感じだ。H君は今まで終了点にはペツルが打ってあるような、ハーケンやリングボルトが支点にあるようなところしかリードした事無いと言っていた。今回のように支点を自分で考えて作らないといけない、しかも上がったり下がったり屈曲したりする所は難しかったかもしれない。でも簡単なルートだから練習するにはちょうど良かったと思う。いい経験が出来た事でしょう。

私の課題のクラック登りは、菊地さんにアドバイスしてもらって2回続けて小川山レイバックを登った時は習得した!と思ったが、クラックの形が変わると全然駄目だった。なかなか難しいが練習して慣れないといけないと思った。登れるようになったらもっと楽しめるはずだ。関西ではどこでクラックの練習をすればいいのだろうか?小川山は楽しい!休みがあれば何度でも行ってみたいと思った。いい経験になりました。

メラピークKOBE(兵庫県労山に所属する神戸の山岳会)

沢登り教室 第1回実技
比良 へく谷
錫状岳クライミング報告

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