大台ヶ原、サマーコレクション登攀報告  (報告/ちびサンボ)


■日 程 : 2012年5月24日(木)夜発〜5月26日(土)

■山 域 : 西大台ヶ原

■参加者 :

ちびサンボ

K部(山歩渓)
■装 備 : 1パーティーで、シングルロープ60m1本、クイックドロー20本弱、ロングスリング1本(バンドのトラバース前は木が支点になるため)、他、一般クライミング装備、カム・ナッツは使用せず

■行 動 :

24日 22:30頃大阪発、大台ヶ原駐車場泊

25日(曇りのち雨) (5:00)起床、(6:00)出発、(19:00)就寝

26日(晴れのち曇り) (4:40)起床、(5:50)出発、(7:10)1ピッチ目登攀開始、(7:30)2ピッチ目、(10:00)4ピッチ目核心、(11:30)6ピッチ目、(12:00)7ピッチ目、(12:50)8ピッチ目、(14:10)頂上、(15:00)駐車場着




大台ヶ原のサマーコレクションはいつか行こうと話していたところだ。しかし、今の自分の実力ではまだ無理だ。今回、K部さんが東京へ行くとサマコレには行けなくなるから5月中に行きたいと言われた時は、正直行けるのかなぁ〜と悩んだ。何とかK部さんに登ってもらおうと思い、核心はK部さんリードということでチャレンジした。
24日仕事が終わって、22時半頃大阪を出発した。大台ケ原へ向かう途中でK部さんが爆弾発言をした。「サブザック忘れた」と。何だと!K部さんがリードは空荷でフォローだけがザックを背負って登るから、サブザックは1個でいいと言っていた。その1個が無いなんて・・・。仕方がないから、私の45Lザックに荷物を入れて登る事にしたが、何となく不安の残るスタートだった。2時前に大台ヶ原の駐車場に到着。明日は昼から雨の予報だから、西大台ヶ原へ入るオリエンテーションを受ける前に行ってしまおうと考えた。少しだけビールを飲んで、5時起床の目覚ましをかけて就寝した。

▲水平道からこの赤テープを目印に谷を下降

25日、夜中に目覚めたときには星も出ていたが、すでにどんよりとした空。昼まで天気は持たないかもしれないと思ったが、とりあえず出発することにした。歩き始めて10分ほどでパラパラと雨が降り出した。K部さんは「あかんわ、やめよか」と言ったが、まだ本降りになりそうな感じはないし、取り付きまで行ったらいいんじゃないかと提案した。じゃあ、そうしようかと言うことになって再び歩き始めた。雨は少しして止んだ。立て看板から水平道に入り、大きな石の上に木が生えているところと向かいの木に赤テープが貼ってある所が目印で、その間の谷を降りる。これが案外悪くて足を取られた。ところどころに赤テープを発見するが、「本当にこれで合ってるの?」と思うくらいに良くない。右方向に岩が見えたのでこの辺から岩方向へトラバースするが、ちょっと位置が高く先が無い。あっちでもないこっちでもないと言いながらルートを探した。 登る壁は見えてるので、この辺りだろうと思われるところから藪こぎしながらトラバースして壁に向かった。

▲サマーコレクションのプレート
壁沿いには歩きやすそうなルートがあった。取り付きを見つけるのに2時間近くかかった。1ピッチ目、K部さんリードで登攀開始。ちびサンボセカンドで登るが、ザックが重くしんどかった。有名なプレートで写真撮影。2ピッチ目をK部さんリードで登ろうとするが、またまた雨が降り出し、壁が濡れていて登攀困難と判断。潔く懸垂で降りることにした。ペツル2本打ってあるので、「明日登りにきて回収しよう。」と言うことでスリングを残置して懸垂した。帰りは岩壁伝いに登り返すが、やはり途中から道が良く分からなかった。帰ってからオリエンテーションを受けるが、10分程度で終わった。

26日5時起床の予定より早く目覚めた。夜中に起きたときには月も星も出ていたが、風がきついのが気になった。風が吹いたら壁が乾くからいいことなんだけど、車のドアが開けられないぐらいにきつかった。ゆっくり朝ご飯を食べて、身支度を調え出発した。昨日、取り付きまで行ってるからルートは分かっていたが、やはりどこが正解なのか分かりにくい道だった。1ピッチ目ちびサンボリードで登攀開始。壁は乾いてるので登りに不安は無かった。2ピッチ目の支点には昨日残置したスリングが大人しく残っていた。K部さんがフォローで登ってくるが、やはりザックが重いと言っている。サブザックを忘れたことが痛い。2ピッチ目K部さんリード。昨日、保持出来なかった薄カチを持って登るが、1ピン目までが遠く緊張する。慎重にルートを見ながら登って確保した時はホットした。セカンドの私はK部さんよりやや左側から登った。その方がホールドもスタンスもあったからだが、そこからピンまでトラバースするのが怖かった。2ピン目までは少ししんどかったが、3ピン目からは細かいホールドとスタンスを上手く拾えば何とかいけた。

▲サマーコレクション2ピッチ目
3ピッチ目K部さんリード。ここで思わぬアクシデント。ギアの整理をしていたK部さんがルベルソを落とした。青のルベルソが岩に当り乾いた音を立てて下に落ちた。「あ〜・・・」これは大変!!これからが核心なのに、K部さんはきっとショックだろう。ここは何事も無かったようにしないといけないと思い「ムンターで確保したらいいね」と言った。しかし、やはり動揺している「何でや。一度に二つの事をしたらあかんのに、しゃべりながらやったからや」と興奮している。気持ちを落ち着かせながら、一つ一つの動作に注意して準備した。ここは5.9程度の快適なルートのようだが、背の低い私には4ピン目あたりを取るのが苦しかった。だんだん簡単になってくるので気が緩んだのか、7〜8ピン目の辺りで縦ホールドに置いた足を滑らせてテンションしてしまった。もったいない・・・。

▲サマコレ4ピッチ目の核心ルート
4ピッチ目K部さんリード。核心は5〜6ピン目辺りか。K部さんは行きつ戻りつしながらホールド、スタンスを確認し、レストしながら慎重に登った。核心を越えて安定したところに着いた時は子供のように喜んでいた。5ピッチ目の終了点は少し被っていて足場も悪いので、そのまま継続して上まで行った。私は核心のところで細かなホールドとスタンスを捉えたが、ザックが重く体が引き上げられない。何とか頑張って乗り込もうとしたがテンション。2回ほどトライしたが腕力を消耗するばかりだったので諦めてAOした。ああ、悔しい。6ピッチ目ちびサンボリード。ここはバンドをトラバースして左上だが、完全なアルパインだ。左の壁に移るところは足元の岩が崩れかけていて、微妙に手が届かず苦労した。落ちたくないのでAOして移った。K部さんは簡単に手が届いたそうだ。7ピッチ目ちびサンボリード。ここが有名なハンドトラバース。ホールドはガバガバだが、足元は少し細かい。

▲左のコの字がハンドトラバース         ▲快適な!?ハンドトラバース
この時点で12時になっており疲れも出ている。何だかしんどくてレストしながらトラバースした。8ピッチ目K部さんリード。高度感もあり快適な登攀。

▲8ピッチ目からの景色
9ピッチ目K部さんリード。最初にカンテを右に巻いて出るが、2ピン目のホールドが遠く怖かった。腕力も限界にきていたので遠慮なくAOした。最後の乗っ越しは体力の限界。耐えられなくて膝をついて登った。ああ、やっと終わった。K部さんは全てオンサイト、完登した事に満足げな表情だ。私は悔しさか感動か分からない涙が出てきた。とにかく疲れた。頂上からはコンパスで東を確認し、素直に歩くと登山道に合流。約30分で駐車場に着いた。早く終わったら温泉に寄ってと考えていたが、遅くなったのでそのまま帰阪した。
最初から分かっていた事だが完敗だ。烏帽子の「イジわるおヨネ」が調子よければリード出来るぐらいの私の実力ではしんどいだけだった。サピエンスがリードできる人には何て事は無く、快適な登攀になる事だろう。2ピッチ目の1、2ピン目以外はピンの間隔が狭いので、最悪AOも可能だ。グランドの危険があるからそう感じるのかも知れないが、リードでは核心と言われる4ピッチ目より、2ピッチ目の2ピン目までが怖いと思う。ホールドやスタンスが細かいので、リードは空荷で登った方が快適だと思う。今回はフォローが一般縦走用のザックで登ったから重かったが、サブザックなら問題ないだろう。軽量化の為にはアプローチ用のシューズは軽い運動靴がいいと思う。取り付きまでの道が悪いと言っても、芦屋川から有馬への下降が難なく歩けるなら問題ない道だ。技術的にギリギリの状態で登っていた私は、「フリーを心から楽しめる時が来るんだろうか」とK部さんにぼやいていた。しかし、終わってみると楽しかったと思う。AOした事に悔しさも感じている。力をつけて登れるようになったら、もっと快適な登攀が出来るだろう。今回は初めてフリー用のシューズで登った。元々少し痛いのに、ピッチを増すごとに激痛になる。この第2・3足趾の関節がシューズに当たる痛みは慣れるしかないんだろうか。色々シューズを変えてみたが、アルパイン用以外はどれも痛い。フリーを楽しめるようになるにはまだまだ課題が沢山ありそうだ。とりあえずは、練習あるのみかな。

▲頂上にて、疲労困憊!

メラピークKOBE(兵庫県労山に所属する神戸の山岳会)

山スキー
楽しかった 岩木山・八甲田山

沢登り教室 第1回実技
比良 へく谷

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