屏風岩 東壁雲稜ルートクライミング   (ちびサンボ)


他、3名

ちびサンボ

■日 程 : 2011年9月22日夜(木)〜25日(日)

■山 域 : 屏風岩

■参加者 : K脇、H、K部(以上3名山歩渓)、ちびサンボ(メラ)

       パーティー編成:K部-ちびサンボ、K脇‐H

■行 動 : 

22日 22:00 JR西宮駅集合、4:00頃平湯駐車場着、仮眠

23日 平湯6:00発バス乗車、6:50上高地バスターミナル出発、9:00横尾テント場着、テント設営後、屏風岩取り付き下見へ出発、梓川渡渉場所探索に約1時間かかる、12:20、T4尾根取り付き開始、 15:00、2ピッチ登攀後下山、16:00横尾テン場へ戻り夕食準備、21:00頃就寝

24日 3:00起床、4:10出発、5:50、T4尾根取り付き着、別パーティーの事故があり準備に時間がかかる、8:30、T4テラス着、11:25、3ピッチ目登攀開始、終了点手前の支点で懸垂準備、14:20大テラスから懸垂開始、17:30横尾テント場着

25日 5:30起床、7:00横尾出発、9:30上高地着、16:50西宮着、解散





▲梓川渡渉

会に入りクライミングを始めて2年。昨年、中級登山学校を修了して本格的なクライミングを始めたのはこの春から。5月の宮崎の雌鉾岳、8月の剱岳、そして今回の屏風岩。屏風岩は憧れの岩場。こんなに早くチャンスが巡ってくるなんてラッキーだ!ただ、アブミのトレーニングが出来なくてちょっと不安があった。

22日22:00西宮に集合、私は先週に引き続きというか、3日前に上高地から帰ってきたばかりだ。でもメンバーは違うし目的も違うから、新鮮な気持ちで上高地に向かった。3連休だから上高地バスターミナルは大勢の人で賑わっていた。ほとんどが一般登山風だが、ヘルメットを持ってる人を見ると、どこに登るんだろうと興味がわく。今回は横尾ベースだから少々荷物が重くても頑張れる。ビールを買って出発する。横尾に着いたら、まだテント場は空いていた。さっさとテントを設営、私は3日前にデポした焼酎を回収に行く。良かった。そのままの形で残っていた!準備が出来たら取り付きへの偵察へ出発。涸沢へは何度か通った事のある道を行くが、屏風岩への取り付き地点には全く気がつかなかった。こんなところに目印があったんだと知ってびっくりした。しかし、沢は数日前の雨で増水して渡渉出来そうに無い。どこか場所は無いかと上へ行ったり、下に下がったり、倒木を橋渡ししようと試みたが流されてしまう。渡渉が出来なくて敗退したと聞いたこともある。今回はそのパターンなんだろうか・・・頑張れば渡れない事も無いが、沢の経験が無い私は下手すると転んで流されそうな感じ。1時間以上粘って、結局裸足になって勇気を出して渡る事になった。沢経験のある3人は上手に岩を歩くが、私はへっぴり腰だから膝上まで濡れた。おまけに水が冷たくて悲しくなる。何とか転ばずに渡渉して取り付きへ向かう。屏風岩東稜が近づいてくるとワクワクしてきた。すでに登ってるパーティーがいた。また、ソロで登る人が取り付きにいた。ルートが詰まっているから左へトラバースするルートから登る事にした。今日の最初の予定はT4までだったが、2ピッチ目までを目指す 事に予定を変更した。1ピッチ目(35m:IV)K部さんリード、トラバースルートはかなり悪く終了支点も不安定だ。2ピッチ目(35m:V-)K部さんリード、最初からハーケンが抜けるし草付きは滑るし最悪。こんなので明日登れるのだろうかと不安だけが残った。夜はK部さんの手料理、焼き肉&野菜焼き&シーザーズ!?サラダ。酒は各種で楽しい晩餐会となった。

▲屏風岩東壁全景

24日あまり早く行動しても真っ暗な中の渡渉は危ないからと、3:00起床、昨日渡渉で濡れた靴は凍って紐が結べない。「大丈夫かなぁ」と不安な気持ちで4:00過ぎに出発した。やはり下見は重要。沢の渡渉ポイントは直ぐ分かったがとにかく水が冷たい。裸足は無理。靴も出来ればこれ以上濡らしたくないと思って、靴を脱いで靴下を履いた状態で渡渉した。裸足よりちょっとマシだった。取り付きにはすでに1パーティー登っており、何故だか6本のロープが垂れていた。良く分からない状況だが取り付きに行ってみると負傷者がいた。捻挫?動けなさそうだ。たまたまガイドがいたからテキパキと処置をしている。負傷者は何とかして下山すると言ってるが、どうも骨折しているようだ。ヘリを呼ぶにも携帯は繋がらないし、取り付きにヘリが来るのは無理。ある程度広い場所まで降ろさないといけない。患肢を固定してツエルトで負傷者を保護して、支点を確保して、滑らすように負傷者を降ろす準備をしていた。自分が同じ立場だったらこのような対応が出来ただろうか。セルフレスキューの講習を受けているが、実践で出来る自信はないなぁ〜と思った。本来なら1時間以上待つ事になっていたと思われるが、先行パーティーが抜けたので出発する事になった。

▲雲稜ルート1ピッチ目
1ピッチ目(35m:IV)、昨日と違って本来の直登ルートから登る。K部さんからスタートだが、落ちて骨折した人を見た後ではビビって慎重になる。多分、いつもより慎重に、時間をかけて登ったと思う。2ピッチ目(35m:V-)ちびサンボリード。途中からは昨日フォローで登ったところだが、ちょっとしたハングがしんどくて唸りながら登った。3ピッチ目(100m:ルンゼ)、K部さんに支点より少し先まで上がってもらい、その後コンテでちびサンボリードで登る。道はかなり悪くて嫌な感じだった。4ピッチ目(30m:III)、K部さんリード。チムニーとスラブを登って開けたT4テラス到着。テントが一張あった。先行に3人パーティーと、前日のソロで登ってる人がいた。1ピッチ目(50m:X)K部さんリード。ここは途中で切って2回に分ける事が出来る。

トポ図によってピッチの切り方が違うが、前のパーティーが40mぐらいのところで切ったので同じところでピッチを切った。ここがあまりいい支点では無かった。上部はちょっと滑りそうになって苦労していた。そこから続きをちびサンボリード。1ピッチ目の核心でちょっとしたハングを登る。AOしたが手の届く支点のハーケンが悪い。カムを使ってAOして乗っこした。次のピナクルの支点で先行パーティーがいたので少し手前の支点でビレーした。これが間違いで、ピッチを短く切り過ぎて時間がかかる事になってしまった。本来の2ピッチ目(30m:(V+)III・A1)ちびサンボリード。正直、どう行けばいいのか良く分からなかった。右方向へトラバースして登っていくはずだが、次の支点が見つからない。もたもたしてると「アブミを使ったらいいから」と声がかかるが、すでにアブミは使ってる。皆からはルートが見えないから私が何をしてるか全く分からないようだ。結局、やや直上気味にルートを取って登る事にした。ここでもかなり時間がかかってしまい、扇岩テラス手前のピナクルで切ってしまった。次の扇岩までK部さんリード。扇岩で小休憩を取った。後続のK脇パーティーが上がってきて、「こんなペースでは今回は抜けられないから、

▲3ピッチ目
3ピッチ目の終了点から懸垂で降りよう」と言われた。11時過ぎだった。ビバーク覚悟で準備して登ってきたのに、この時間でその判断になるのか・・・と残念に思った。3ピッチ目(35m:(5.11)III・A1)K部さんリード。古い残置スリングがかかった有名なルート。K部さんは自分の体重と荷物を考えると80Kgになるから、皆が落ちなくても自分は落ちると思って恐怖でいっぱいになりながら慎重に登ったらしい。アブミでヌンチャクを使い過ぎてヌンチャクが足りなくなったので、途中の終了点で切った。セカンドの私がそこまで登り、上部へ登って懸垂支点を探した。あまりいい支点が無かった。上から下りてきたパーティーに、懸垂にいい支点はあるかと聞いたら「ない」と言われた。それなら、K部さんが取った支点で懸垂しようという事になったが、上に登った私は降りるのが怖い。アブミを掛け直しながら少しずつ下降した。扇岩テラスへ戻り、大テラスへ降りるのもちょっと悪いので懸垂した。大テラスからの懸垂は50mギリギリだ。先行パーティーはロープが引っ掛かり回収出来なくなったので手伝ってあげた。少し下にも支点があるからそこから取ればロープは足りるし、引っ掛からないと思われたが、強引にその場から懸垂した。何とかロープは回収できた。あとはそのまま来た道を下山した。晩御飯はキノコ&鳥鍋、各種酒類で乾杯して就寝した。

25日5:30起床、7:00出発。いつも同じルートだから違うルートを歩こうと言う事になって、新村橋を渡り右岸を歩いて9:30に上高地へ着いた。順調に車を走らせ17:00前にJR西宮駅着、解散した。

▲上高地にて

今回は山歩渓の山行に参加させてもらう形で屏風岩に行けた。リーダーのK脇さん、パートナーのK部さん、Hさん、ありがとうございました。課題だけが残ったクライミング山行でした。登る技術が足りない事はもちろんだが、ピッチの切り方が悪くて余計に時間がかかった。天候が悪かったり、渡渉が出来なくて敗退する事もある。今回は条件は非常に良かったのに、力不足で登れなかった。悔しい思いだけが残った。来年もチャレンジしてやる。来年はもっとすっきりと登ってやると心に決めた。

メラピークKOBE(兵庫県労山に所属する神戸の山岳会)

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