小豆島・親指岳クライミング   (○玉)


mariko

カノン

ちびサンボ

○玉

■日 程 : 2011年7月16〜18日

■山 域 : 小豆島・親指岳

■参加者 : ○玉、ちびサンボ、カノン、mariko

(日程は本文参照)




剣岳クライミングに向けたトレーニングも週末は天気の巡り合わせが悪く、雨でパンプに変更という時がよくあった。どういう訳か海の日の3連休は特に予定がなかったので小豆島でクライミングを取り組むことにした。私は2007年11月にココノール、おー寒む君等と行って以来、4年ぶりになる。marikoは8年ぶりだろう。ちびサンボとカノンは初めてだ。8年前のこの時期に来た時はアルプス方面の梅雨が明けてなかったので急遽変更して来たのだった。ところが今年は7月8日に早々と明けてしまい、暑いのは覚悟の上でのクライミングとなった。 

7月16日、深夜0時にmariko邸に集合し、カノンの車に荷物を積み込むが、何が多いのか満タンである。神戸港の第3突堤にあるジャンボフェリー発着場に向う。この7月6日から小豆島便が運行されたばかりと3連休からなのだろうか、フェリー会社の手順がもたついている。40分遅れて01:40に出航した。最後の方に乗ったものだから船室は先客に広くスペースを取られてしまった。それでも片隅に陣取って小豆島の暑いクライミングの前途を祝って乾杯する。

▲赤いクラック 1P目

7時半過ぎに坂手港で下船し、車で橘へ向う。坂手港は30年以上の昔以来でここから峠を越えて歩いて行ったこともあった。この峠も今や橘トンネルが出来たのであっという間に橘だ。泊まる予定の荒神社に8時過ぎに着いたが、昨日夏祭りがあったのか、電飾が残っていた。08:35に出発し、薮の繁った踏み跡を辿って親指岳の取り付きに09:15着いた。

今日のルートは「赤いクラック」だ。今では親指岳屈指の好ルートとして多くのクライマーを迎えている。パーティーはL○玉―カノン、Lちびサンボ―marikoの二つにして○玉Pから登り始める。ヌンチャクすら持たないインドア・フリー三昧の年寄りにはギアが重たく身体が上がらない。夏の日差しがまともに降り注ぐ。20m上がったテラスでカノンを迎える。

次のピッチは左手から登り始める。5名ほど連れて登って来たKガイドが「左へ行くならそのまま行って下さい、右へ来ちゃダメですよ」と言うのでそのまま左方向へ進む。ピンが少なく結構難しい。ビレー点手前ではアブミを出したが、それへの乗り込みがしんどかった。カノンは駒形でアブミ練習を1回しただけだが、着実に高度を稼いで登って来た。3ピッチ目は二つ続く凹角を越えてから左手のスラブを登って行く。
 
▲赤いクラック 2P目                ▲赤いクラック3P目テラスから

▲3P目テラスで

次のピッチがこのルートの核心だが、ちびサンボPからテラスで待っていてくれとの伝言が届いたので暫く休憩をする。一寸したブッシュでも頭を突っ込むと少しは陽射しを遮れるので助かる。ちびサンボPのmarikoは疲れて懸垂でもう降りると言っていたとか。ちびサンボは重いギアをものともせずに一人でリードを続けている。いつの間にか13時を回り、核心部分は日陰となって来たので大分助かった。重いギアを外してフリーで登ればどんなに楽しいだろうか?と思いながらA0とアブミを駆使して登って行く。左へ周り込んだ上の垂壁もボルトが悪い。登り切って右上の岩の窪みでビレーをする。カノンは顔中に汗を噴出しながらも登って来た。ここも日陰で大助かりだ。いよいよ最後のピッチだ。左から回り込むと再び暑い日差しを浴びる。高度感のあるスラブを左へトラバース気味に登る。20mほどで棚状のテラスに突き当たる。左へ行くとダイレクトルートの4ピッチ目のテラスになる。棚へ上がって右のブッシュを越え、真上に登り詰めると頂稜となる。数m登ると頂上の正に終了点がある。○玉Pは15:30に着き、ちびサンボPは16:30に到着した。ギア類を整理し、フィックスを伝って北面へ降りる。下山路は滑りやすいので注意を要する。岩場の基部に降りると森の中は薄暗くなっていた。
 
▲赤いクラック3P目                          
いつもは神社のすぐ下のお婆ちゃんに挨拶していたのだが、家の戸が閉まっている。その近所も空き家状態だ。仕方なく橘の警察官駐在所に行って事情を話すると「200mほど先の民宿たちばな荘に自治会の総代がいるからそこで話をしなさい」と言われた。田舎の200mは遠い。1キロはあるのではと思った。たちばな荘で奥さんに神社に泊まることの承諾をいただきトボトボと歩いて神社に帰る。ビールは広瀬商店で買ったが、明日の日曜日は定休日とのことだった。夕食は「肉と野菜炒め」で美味しくいただいた。

7月17日、04:00起床、洋風雑煮だから時間がかかる。05:45出発。06:10取り付き着。今日のルートはダイレクトルートだ。パーティーは昨日と同じで○玉Pから06:30登り始める。出だしのチムニーは10年ほど前に坂崎君なんか両脚を広げてブリッジングで楽に登っていたが、自分のようなチビだとしんどい。ピンも少なくなっており、2箇所ほどカムを効かし、背中を当ててずりずりせり上がる。左の壁に移るところで苦労したが、右上のアンダーを使うと登り易かった。大分疲れて来たので1ピッチ目の終了点まで行かずに中間でビレーをした。カノンはリーチがあるから楽に登って来ていた。

▲拇岳頂上から

▲頂上での雄姿


2ピッチ目は左回りの易しいルートを登る。ビレー点手前のバンドに上がるところが難しかった。ちびサンボもカノンを追いかけるように登って来る。ところが、左回りのところで左に上がり過ぎていたのでクライムダウンしてから右寄りに登るように指示した。ようやく朝陽が射し出した。

3ピッチ目は完全にアブミで登る人工ルートになった。終了点手前だったろうか、下の方で声が聞こえた。まさかmarikoが落ちたとは全く分からなかった。カノンはリーチがあるからアブミを乗り込むよりA0代わりに使っていることが多かったように見受けられた。練習すればヌンチャクを掴むだけのA0で登ることが出来るだろう。カノンが登って来て、ちびサンボPはmarikoの事故で登攀を断念し、懸垂下降で降りたことを知った。カノンはこのピッチに1時間かかっているし、次のピッチはさらに難しくなるので登攀を止めるか、続行するかを尋ねた。暑い上にこの先難しくなり、時間が掛かるので登攀を断念する10:45。ルートの完登は出来なかったがアブミのトレーニングは充分出来ただろう。2ピッチの懸垂下降で基部に降りた。ちびサンボPは基部で待っている間にボルト打ちの練習をしていたそうだ。Kガイド等が今日登ったと言う西壁を見に行くが、ルートははっきり分からなかった。marikoは2ピッチ目終了点手前のバンド左端に上がるところでアブミに乗ったところハーケンが折れて、3mほど右に振られながらフォールし、その際左膝を打撲したとのことだった。自力では歩けるが、痛みがあるのでザックの荷物を3人が手分けして持つことにした。中でもちびサンボはザック本体を自分のザックの上に担いで小走りに下りて行った。登る力も付いて来たが、ボッカ力は大したものだと感心する。

神社に降りてから車で草壁の街まで夕食の買出しに3人で出かける。16時過ぎからお好み焼きを食べ始める。今夜は岡山労山の二人も泊まった。

▲拇岳全体

7月18日、4時に目覚めると同時に雨が激しく降って来た。昨日Kガイドに聞いた天気予報では昼までは曇りとのことだったが、予報が早くなっているのだろう。今日予定していた吉田の岩場は登れないが、帰りのフェリーの予約が20時ごろだったので朝便に予約変更してみることにして坂手港に急いだ。幸い、予約変更が出来て07:40のフェリーに乗り込み、小豆島から脱出することが出来た。雨は朝から終日降り続いた。
真夏の暑さの中で本当にお疲れ様でした。また、春や秋の季節に行って快適に登りましょう。「赤いクラック」はリードでは支点に問題があるからフリーでのクライミングは気を付けてもらいたい。しかし、フォローの場合は是非フリーでの登りに拘っていただきたい。そのためには六甲山やパンプでもレベルアップを目指してトレーニングに励んでもらいたい。ダイレクトルートはmarikoがハーケンの折損で怪我をしたように支点がかなり脆弱であることを肝に留めておいてクライミングをしてもらいたい。

カノン君はアブミトレたった1日だけでしたが、良く頑張りましたね。ちびサンボさんは次回すっきりとした完登を目指してください。marikoさん、10年前のようなトレーニング出来ますか?

メラピークKOBE(兵庫県労山に所属する神戸の山岳会)

 西ネパールの山旅
カルマロン登山隊2011の報告
20周年記念山行・劔岳

Copyright(c) 2009- MERAPEAK-KOBE All Rights Reserved.