紅葉の御在所クライミング   (おー寒む)


カノン

ちびサンボ

おー寒む

■日 程 : 2010年11月12日(金)夜発〜14日(日)

■山 域 : 御在所・藤内壁(前尾根、一の壁)

■参加者 : L=おー寒む、ちびサンボ(医・食)、カノン(写真)





ちびサンボは、目標に設定した前尾根P5、P4のリードを完璧にこなした。グレードは、III級だが初見のリードでミスなく落ち着いてリードできたことが素晴らしい。中級登山学校修了後の最初の成果だ。来年も御在所クライミングを実施する予定だ。次回は、パートナーとつるべ式で登るか、サポートに入ってもらえるのなら、P4後半のピッチのリードを受け持ってもらいたい。

朝6時に集合し、近鉄湯の山温泉駅に集合。三重交通の湯の山温泉バス停から内蔵助公園脇を過ぎて駐車場へ。見て驚いたのは、駐車場よりもまだ通行止めのスカイラインに止められた車の多さ。この場所に止めるということは、中道、一の谷新道または本谷に取り付く登山者だろう。裏道から入って7時前に藤内小屋に着いた。

朝早すぎたのか、小屋は閉まったまま。モンベルが寄贈した小屋も鍵がかけられていた。紅葉シーズンだというのに、金曜日からの入山者はおらんのか!?前日、電話で小屋が開くことを確認したのに、小屋が開いていないとはどういうことだぁ?

▲P7(1ピッチ目)

まずは、トイレ。岳連小屋に行ってトイレ棟が1つ開いていることが判った。ちびサンボさんに失礼して先にすっきりさせてもらう。次は、ザックのデポをどうするか。小屋の前で携帯がつながったので、小屋の主人に事情を説明し小屋裏にデポする了解を取り付けた。ちびサンボさんも食材を積んでかなり重いザックになっている。前尾根と言えどもパンパンに膨らんだ60Lのザックを担いでは登れない。この時期、ご主人は毎日小屋にいると思っていたのですがそうでもないようです。次回から気をつけます。

一息ついたところで、さあ出発というときに、カノンさんが自前のロープと絡まって何やらしている。登攀用のザックを持っていないので、20Lほどのミニザックを持ってきたようだ。ロープをザックに収納できないので肩に回して担いでいくのだそうだ。とりあえずコンテ時のロープの持ち方を説明する。長時間歩く場合は、ロープを束ねて担ぐ方法をとった方がよい。しかし、こんなところで時間を食っていると、前尾根はたちまち渋滞するので私がザックに収納することにした。これで準備が整い、藤内沢を目指して出発(8時を回ったか?)。

9時前に、1番に到着。1ルンゼ前の空き地で登攀具を見に着け、前尾根取り付きへ。天気はイマイチだが、雨は降りそうにない。ビレイの準備をしている間に、2番手、さらに3番手が。おお!ゆっくりしてらんねーぞ。おー寒むリード、ビレイはちびサンボ、カノンの順に交代することでスタート。

ピーク7(以下、Pの後にピークのナンバーを記す)の1ピッチ目(以下、ピッチ数の後にPを記す)は、ちょっと癖がある。クラックのようで登攀はクラックではない。2ピッチ目も難解ルート。核心は、ボルダリングの様にムーブを考えさせられるルートだ。ここで、二人とも花崗岩スラブの洗礼を受けた感じではなかろうか。3ピッチ目はやさしいスラブで、終了点は立ち木だ。

P7とP6 の間は、少し歩きが入る。が、ロープを解くほどでも無い。P6取り付きまでロープを伸ばした。P6では、太い幹にスリングを巻きつけてビレイの準備をしていると、後続のパーティに追いつかれた。つるべで登っているので先を譲った。先行パーティは、速いと思ったがそうでもなかった。なんでもないP6の1ピッチ目で、フォローがあせっている。

ここで、ちょっと遊び心が出て岩の中央を走るクラックルート(5.9)に挑む。下のクラックは、ナッツ3番、キャメロット2番、1番が有効(いずれもBlack Diamond)。しかし、その上のクラックは幅がやや広くなる。キャメロット3番〜4番が少なくとも2個は欲しい。この土日に、APECの首脳会議が横浜で開催されるため関東圏のコインロッカーがほとんど封鎖された。200円のロッカーに分散収納せざるを得ず、装備をかなり省いたのでカムは3個持ってきただけ。先行パーティがチムニーを抜けたので、クライムダウンして通常のフェースルート(V級)から登り直すことにした。

岩の左側を登ると、トラバースに移る。テラスというほど広くなく、バンドというには幅があるが、とにかく天井が低い。積み重なった2つの岩の隙間を這うような感じで息苦しい。ここは、体のでかいカノンさんは、辛いところだ。2P目は、2つの岩を並べてできた隙間を芋虫のように登る内面登攀。垂直ではなくやや傾いているところがいやらしい。上部がすぼんでいるので、ザックを背負って登るとつかえた。クライムダウンしてザックを降ろして再トライ。ザックは、後でロープで引き上げた。

ここの登り方は3パターンあることが分かった。おー寒むは、スラブ面(緩傾斜面)に向かって、左手でカンテを、足は被った面にキョンで(すぼんでくると、背中を押し当てて)登った。出口では、被った側の岩の縁の下にあるホールドを掴む。カノンは、後続のパーティのアドバイスを信じて、被った面に向かって、スラブ面に背中や足を当てて(おー寒むと反対を向いて)登った。本人曰く、体が反り返っているので、上に進めないらしい。リーチがあるので出口のホールドに手が届き登り切った。ちびサンボは、下部をおー寒むと同じ方法で、すぼんできたところで体を返してカノンと同様に登った。ちびサンボの登り方が正解だろう。次回はリードできる?と聞いてみたが元気な返事が返ってこない。なお、おー寒むとちびサンボは、雨具を羽織って登ったので、背中がこすれて穴が開いてしまった。

2メートルの垂壁を登って、地道に上がる。ここからしばらく歩きなので、シューズを履き替え、コンティニュアス(以下、コンテ)で登ることにした。ロープを肩に巻きつける方法を再度説明した。ちびサンボはうまく束ねて巻くが、カノンは持ち前の性格でロープの輪の大きさが整っていない。ここで時間をかけるわけにはいかないので先に進む。P5までは、一部土砂が流出して崩壊した赤土の上を歩く。

P5は、左端のルンゼルートがIII級、その右にIV級、さらにフェースのV級がある。ここで、ちびサンボにリードを交代。ちびサンボは、本チャン初リードなのでIII級ルートを登ってもらった。下から見ていて、何の不安も感じさせなかった。ランニングの支点にカムを使ったが、よく効いていた。

▲P6(2ピッチ目)の内面登攀
▼リードするちびサンボ 左:P5、右:P4
ロープを解かず、コンテで進む。P4の手前で、II級程度の岩場をトラバースする。II級と言っても落ちると止まる所がないので、足元に要注意。P4もルンゼを登る。ビレイの支点は、ルンゼより数メートル離れた右側にある。多分、この支点は、フリーのルート用に設置されたものだろう。ルンゼはIII級なので、支点は無くなったのかもしれない。ルンゼから途中、IV級のクラックが派生するが、小型のカムしか持っていない。ここでも、ちびサンボには物足りないがそのままIII級を登り切ってもらった。

P3は、3ピッチある。ここから再びおー寒むがリードする。1ピッチ目は、Aスラブと呼ばれ、ランニングの支点が少なく侮れない。フリーのルートもありペツルが打たれているが、残念ながらルートが離れており利用できない。

P3のBスラブは、2本ほどルートが取れる。今回は、クラックルートを選択した。ここでは、カム2番があると安心。ここで、○玉さんが報告によく書いていた『ちびサンボの雄叫び』を初めて聞けた。登ってきたちびサンボの表情は真剣そのもの。カノンは、親指の爪を痛めており、クラックはきつかったようだ。

最後のCスラブは、人に合わせて岩場ができていないことをつくづく感じさせられる。登り切ったあと、1メートルほどクライムダウンしないといけない。そのことを考慮してか、終了点の位置が高く設置されており、フォローが登り切ったあと、確保をムンターヒッチに変えてクライムダウン。

いつもの事ながら、時間をメモっていないので何時にP2(櫓)に着いたのか覚えていない。紅葉と伊勢湾を背におー寒むから登る。キャッスルウォールの中央カンテよりムズイと思った。途中でナッツをセットしたが、その際、ナッツ1本を落としたことに気付かなかった。ちびサンボのまん前に落下したそうだ。セットしたナッツも外れるし、まだまだ未熟モンです。すんません。続いてカノン。このルートは、背の高い方があきらかに不利だ。テンションはかかっていないと思うが、案の定、核心でつかえて固まる。ちびサンボが痺れを切らせて登り始める。後続のパーティが(まだ登ってくるのか!)諦めて裏道へエスケープルートを下っていく。このとき、カノンが入会して間もなく、烏帽子岩で一緒にクライミングしたとき、「太陽がいっぱい」で1時間ねばったことを思い出した。1時間はかからなかったが、かなり苦心の末、なんとか登ってきた。ちびサンボは、核心をそれなりにスムーズに登った。どのように登ったのか、上で確保していると見ることができないのが残念。
14時半に終了。P1を経て裏道にでた。前尾根の所要時間は、5時間半。カノンのロープが新しく、よくキンクした。それを解くのに時間が多少かかった。しかし、途中でのおー寒むのお遊びや、説明が長かったことが予定より時間がかかってしまった原因だとおもう。一の壁には行かず、裏道をまっすぐ降りて、学連小屋前でテントを設営した。

無事、完登したのでビールで祝杯をあげた。夕飯は、レトルトカレー。その後、皆が持ち寄ったつまみをあてに、ちびサンボの白ワインで話が盛り上がった。夜間、かなり雨が降った。


▲一の壁3ルート

2日目の一の壁は、1時間遅らせて、9時頃に出発した。にも関わらず、風が全く吹かなかったせいか、壁はべしょべしょ。地元の2パーティが、2ルート(IV級)に取り付こうとしていた。見学して岩の状況を見ることにした。

最初のパーティは、アイゼンで登り、2番目のパーティは3名でクライミングシューズでの登攀。それなりに登れそうだと判断し、おー寒むリードで登ることにした。予定では、アップ替わりに中央のV級をおー寒むリード、2人にはフォローで登ってもらってから、2ルートと3ルートをちびサンボにリードしてもらうつもりだった。壁が濡れているのでV級は登るのは困難。2ルートは、湿っぽいのでおー寒むリードで登ることにした。ちびサンボは、次回のお楽しみと言うことでガマンしてもらう。

2ルートから取り付く。上から見ていて、岩が乾いていれば二人共にリードできそう。下降路をクライムダウンして、2本目に取りかかる。しかし、カノンが、やたら咳をすることに気付き、はじめは、クライミングアレルギーだと茶化した。が、カノンは、2本目はキャンセルすると言い出した。ちびサンボがカノンの表情を見て、風邪だと診断。カノンには、下で見てもらうことにした。


▲一の壁全景
その後、1ルート、3ルートを登って11時半。風が吹き出し、岩も乾いてきたのでこれからというところだが、カノンの症状か悪化(鼻がずるずる)しだし、見るからに気の毒な状態に!岩場からの下降も大変だし、帰りの運転もあるので、ひどくならないうちに下山を決定。

岳連小屋に戻ってテントを撤収し、当初予定していた、中道〜裏道間の尾根を越える一般道を通って駐車場に戻った。スカイラインに下りても、駐車場まで5分ほど歩かねばならず、素直に裏道でスカイラインに出たほうが楽だと判った。

片岡温泉で一風呂浴びて、知る人ぞ知るラーメン屋(鎧屋)で辛みそのラーメンで体を温めて、おー寒むは近鉄桜駅でおろしてもらって、カノン、ちびサンボは無事帰神した。

ちびサンボは、次回の前尾根はつるべで、一の壁は端から順に登れるようになりたいといってくれた。

カノンは、終始フォローでもくもくと登っていたが、初見のリードを全くする気が無いようだ。しかし、リーチがあるのでもっと積極的になってもいいと思う。



〜 感想 〜

ちびサンボ : 前尾根はP6の2PにしてもP2櫓の登りにしても、ちょっと窮屈で登りにくいなぁ〜と思った。天気が良ければもっと爽快に登れたのかもしれない。初見でのリードはIII級であっても緊張する。やはり、練習して慣れないといけないと感じた。一の壁は大きいし、たくさんルートがあって面白そうだった。アイゼンで登ってる人達はどこに登るんだろう?もう少し近かったら、月1でも来てトレーニングしたいと思った。

メラピークKOBE(兵庫県労山に所属する神戸の山岳会)

チュルー峰登頂 2010 タイ・クライミングツアー

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