二人とも焼岳には登った事が無かったので焼岳からの縦走を計画した。
上高地は梅雨明けの快晴に恵まれ多くの人で賑わっていた。しかし、焼岳方面へ登る人の姿はほとんどなく静かな山登りとなった。
23日、焼岳小屋までは人気のない静かな登山道で、久々に山に行く私にはリハビリがてらちょうど良かった。焼岳小屋から焼岳の登りは見晴らしがよく、頂上付近になると硫黄のいい臭いがした。
西穂山荘についたらさっそくテラスで生ビール、そこには雪崩講習会で一緒だった京都労山の団体がいた。登山学校の終了山行が西穂から奥穂の縦走。私達の横でラジオを聴きながら天気図を作成していた。私にはさっぱり分からなかった・・・(^_^;)。
▲ジャンダルムからの奥穂高岳
24日、3時起床。朝食のお弁当を食べ、コーヒーを飲んで4時出発。ヘッドランプをつけての歩きは非常にしんどく、「この先大丈夫だろうか・・」と不安になる。しかし明るくなるにつれ、焼岳の少し朝焼けしてる山容を見て元気をもらい西穂独標へ到着。京都労山チームはお弁当を食べていた。先の長い私達は写真だけ取ってさっさと先へ進む。西穂高岳頂上には先客が一人。少し休憩していよいよ縦走コースへ・・
そこからの先客はなく、ただひたすら岩稜を進む。西穂からのコースは下りメインで足元の見えにくい岩稜が続く。
天狗岳の頂上でようやく逆コースからの人に出会った。小学生二人を連れた家族が到着。お父さんが荷物を背負ってるにしても、こんな岩稜を小学生が歩いてくるなんてすごいなぁ〜と感心。とにかく、登っては降り、降りては登りのコース。何でこんなコースが好きなのかは自分でも分からないけど、なんか好きで歩いてしまう。しんどいながらも順調にジャンダルムへ到着。
ジャンダルムまで来ると奥穂は目の前、「なんか、いいペースで来たなぁ〜」と思っていた。ロバの耳の下りで軽装にナップサック姿の青年に出会う。ジャンダルムを往復するらしい。地図も持たず、雑誌を見てやってきた感じ。「若いってすごいなぁ〜」なんて思いながら、注意していくように送りだした。私達はいよいよ馬の背の登りへ、青年はどこまで登ったのか振り返るとジャンダルムの登りへ「あら、早い!」と思ったが、直登コースのスリングの下で立ち往生している。何気なくこちらに振り向いた青年は無邪気に手を振る。登りやすいトラバースルートを選択するように左へ行けと手で合図。青年は登ろうかトラバースしようかと思案していた。遠くからジェスチャーでやり取りする事約20分、青年はようやくトラバースルートを発見。頭の上に両手で丸を作りOKの合図。私達もようやくホッとして先へ進む。馬の背手前の頂上で振り返ると青年はジャンダルムの頂上にいた。そして、大きく手を振って私達に合図。その後、頭を下げてお礼をしてくれた。なんか、人助けしたみたいな清々しい気持ちになる。
そして穂高岳山荘へ到着。牛乳とラーメンという変な組み合わせで昼食。45分ほど休憩にして北穂へ出発。出発してすぐ、階段を数段登ったところで「体が鉛のように重い。ちょっとヤバいかも・・・」と不安に。やはり、トレーニング不足でこのコースはちょっとまずかったかな?!と思うが、涸沢岳はすぐなのでとりあえずそこまで頑張ろうと思い歩く。でも、ホントにしんどくて「高山病?」と何かのせいにしたい私は理由を考えながらだらだらと頂上へ。
▲奥穂高岳頂上
頂上へ着くとそこから最低コルまでは下るだけなのでその間に体調が回復するかも・・と思いそのまま歩く。しかし世の中のそんなに甘くない。下りはいいけど登りは非常にしんどい。下りで歩けるという事は脚力でなく体力の問題だ。北鎌のトレーニングで来たんだからここで頑張らねば!と言いながら歩くが、数歩行くと「ああ、しんど」「もう、勘弁してくれ」と、ぶつぶつ言いながら休み休み歩く。優しいカノンさんは「写真を撮りたいから休みましょか」と言いながら、私に休憩のチャンスを何度も与えてくれた。ホントに有難かった。
途中、明石労山のM本さんに出会う。途中で山歩渓のN勢さんたちにも出会ったらしい。皆、同じ時期に同じ山に登ってるようだ。北穂が見えてからも足が上がらず気がつくと心の中である歌を歌っていた。三輪明宏の「よいとまけの唄」。多分、今回の山行の前にラジオで聞いていたのが記憶に残っていたんだと思う。「父ちゃんの為なら、エンヤコラ」なんて思いながら一歩一歩登る。辛くなったら、「トレーニング、トレーニング」って自分に言い聞かせながら頑張る。ホントにしんどかった。最後の最後に出会った人とも、「一歩、一歩、歩かな進まへんから歩こか」と励ましあいながら北穂の頂上へ!「ああ、やっと、終わった」って感じ。ちょっと感動して涙が出そうだった。
北穂の小屋で手続きを済ませたら部屋にも上がらず、まず「生ビール!」。これが最高に美味い。30分ほど休んですぐ夕食だが、私は全く食欲が無く食べられない。味噌汁やお茶をたっぷり飲んだら少し体が楽に、「ひょっとして脱水?」よく考えたら、炎天下を10時間以上歩いてたのに2Lの水分がまだ300mlほど残っている。しばらくすると胃腸が回復。その後は北穂高ワインを飲んでまったりした。
25日、北穂高山荘からの朝焼けは素敵なのでカメラを持って外に出たが、カノン・カメラマンも腕が振るえず、でも、諦めきれずにじっと朝日に輝く槍ヶ岳までの稜線を眺める。もう一日休みがあれば槍ヶ岳まで行きたかったなぁ〜と思いに耽る。
北穂高岳からパノラマコースで下山予定だったが、雪が多く危険なため通常ルートで下山。温泉に入って、カレーを食べてさわやか信州号でのんびり帰る。
感想
ちびサンボ : 今回は数日前に摩耶山に登っただけで、全くトレーニングしてなかったからホントに辛かった。カノンさんと二人の山行は初めてでしたが、私は全く気を使わず、しんどい時はしんどいと言えたので精神的に楽でした。色々助けていただきありがとうございました。感謝、感謝です。北鎌トレーニング山行ですから、本番の北鎌もよろしくお願いします。
カノン : 最近はピークハントがほとんどだったので、久ぶりに縦走をしました。合計の歩行時間が結構長くて足の裏やつま先もボロボロになり、もっと歩かないといけないなと思いました。しんどかったのは私も同じですよ。北鎌の良いトレーニングになったと思います。